クリーニング豆知識

第百六十四回:「洗える付属品」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百六十四回は、「洗える付属品」について



前回、
「洗うと危ない付属品」を取り上げましたが、
では
「洗える付属品」とはどんな付属品を指すのか?

店頭においても、
「このベルトは洗えますか?」
と聞かれる事が多くあります


クリーニング店側から見て、「洗える付属品」とは

〇本体と同じ色・生地である
〇プラスチックや金属製の部品が付いていない
〇品質表示に「付属品は洗わないで下さい」
のような明確な表記がない


・・・と言ったものが、『洗える付属品』と判断する基準です
ただし、これはあくまで
「クリーニング店側の基準」であり、
服を製造・販売しているアパレル側の基準も、
全く同じであるとは限りません

また、この基準は当社のものであり、
クリーニング会社によって異なります


と言うのも、品質表示に

「付属品は取り外してクリーニングして下さい」
と書いてあるのみで

別々に洗えば良いのか、そもそも洗う事を想定していないのか、
非常に分かり辛い表記が、とても多く見受けられるからです

また、そのような表記があるのはまだ良い方で、
「品質表示に何も書いていないけど、
明らかに洗ってはいけない付属品」

と言うものは、世の中にたくさんあります


そのため、
「付属品は取り外して下さい」
と言う表記のある衣類を

付属品と本体を別々にしてクリーニングした結果、
色落ちや縮みなどの事故が発生した場合

クリーニング店側は
「製品に問題があります」
と主張する事が出来

アパレル側は
「品質表示に、取り外して下さいと書いてあります」
と主張出来ます
そして、結局困るのは消費者です


特に冬物のコートやオーバーで、
エリやソデ部分にアクリルもしくは
毛皮の付属品が付いている場合
基本的にはあまり洗わない方が無難です

ボタンで取り外しが出来る付属品の場合は、基本的に
「洗う時は取り外して、本体だけ洗って下さいね」と言う、
アパレル側からのメッセージである可能性があります


本当は、そのような事を品質表示に
しっかり明記して欲しいのですが、
そこまで詳しく明記する義務はないため、
メーカー毎で対応がバラバラです

対応がバラバラと言う事は、分からない部分は、
調べるなりクリーニング店で聞いた上で

「自分なりの判断基準」を持ち、
自分で自分の身を守る必要があると言う事です


品質表示に関しては、法律が改正されて、
詳しく明記する事が義務付けられる・・・と言う事は、
少なくとも当分ないと思われます

全てを疑いの目で見ると疲れてしまうので、
「付属品に関して、品質表示に何も書かれていないと言う事と、
その付属品を洗えるかどうかは別」
と言う事だけ、
頭の片隅に置いておいて下さい