クリーニング豆知識

第百六十三回:「付属品」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百六十三回は、「付属品」について



ごくまれに、ではありますが
クリーニング業者の目から見て

洗うと危ないと言う事を、
この服を作った人は、
分からない訳がない

・・・と思ってしまうような衣類を、お受けする事があります

正確には、受付の段階でご説明した上で、
「クリーニングの結果、
付属品の破損・裂けなどが発生しても構わない」
と言う事を、
ご了承の上でお受けする事があります


分かりやすいものが、大小さまざまなビーズの付いた服
家庭用洗濯機も、業務用洗濯機も、
内洞部分は金属です

そのため、ネットに入れたとしても、
内側にぶつかって割れる可能性があります

また、糸で縫い付けているのではなく、
接着剤で貼り付けている場合、
摩擦や時間の経過による劣化で、
剥がれ落ちる事が多々あります


このような服をデザイン・販売している側は
「時間の経過や洗濯により、付属品が脱落・破損する」と言う事を、
認識しているはずです

しかし、デザインに一目ぼれして購入した消費者は、例えば
「このビーズが、洗うとボロボロと落ちて来るかもしれない」
とは考えないでしょう


また、表面に模様がプリントされた服も、
プリント部分が時間の経過や洗濯で劣化して、剥がれ落ちる事があります
特に球場で販売しているような、野球の応援ユニフォームの背番号は、
基本的に熱接着のプリントなので、少しずつ剥がれ落ちて来ます


製造・販売した側は、その事を理解しています
ただし、販売する際に
「このプリント部分、剥がれて来ますよ」とは言わないでしょう


時間の経過による劣化や、
デザインが原因となる事故の場合
基本的には自己責任となります

製造・販売した会社も、クリーニング業者も、
「この状態は、製品の特性によるものです」と言えます


そのため、購入前に品質表示を良く読み、
「リスクがあると思ったら買わない」と言う判断を徹底して、
自分で自分の身を守るしかありません

そのような点で、
ユニクロの服は非常に優れているといつも思います

コンセプトが、
「シンプルで、長く着る事の出来る服」なので、
派手なプリントやビーズの付いている服は
あまりないように思います


クリーニング業者として、
基本的に
「大きな付属品の付いた服」はあまりオススメしません

ボタンが大きかったり、ベルトのバックルが
非常に凝ったデザインで、大きいものなど

そのような服は、家庭で洗濯しても、
クリーニングに出しても、付属品が破損する可能性がある、
と言う事を忘れないようにして下さい



まずは、以前にもこちらのコラムで書いた、
「シンプルな色の組み合わせ」
色々試して見る事をオススメします

それでも満足できず、
リスクを承知で様々な服を試してみたいと思う場合のみ、
品質表示を良く読んだ上で購入するようにして下さい