クリーニング豆知識

第百五十九回:「洗い方の指定」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百五十九回は、「洗い方を指定出来るの?」について



当社では以前より、こちらのコラムや、セールの特設ページなどで、

ドライクリーニング:汗や食べこぼしは落ちづらいが、衣類へのダメージが少ない
水洗い:汗や食べこぼしを良く落とすが、衣類へのダメージが大きい


・・・と言う事を、お伝えしてきました
そして、汗をかく夏場は基本的に、
「水洗い可能な衣類」を着用して欲しい、
ともお伝えしてきました

ネットで検索すれば、
このような情報はいくらでも出て来るため、当社のお客様でも、
衣類の扱い方に非常に詳しい方は多く見受けられます


ただ、例えばクリーニング店において、
「水洗いをして下さい」
あるいは
「ドライクリーニングをして下さい」と伝えた所で、
『洗い方』の決定権は、100%クリーニング店にあります

そして、水洗い・ドライクリーニングの両方が可能な衣類の場合、
ドライクリーニングの方が型崩れをせず、仕上げが楽である事から、
ドライクリーニングを優先して行うクリーニング店は、必ずあります

当社の場合、両方が可能な衣類をお受けした場合には、
水洗い・ドライクリーニングの両方の色落ちをチェックした上で、
可能な方で洗う、と言うやり方をしています


これがどういう事かと言うと、夏に着る衣類として、
水洗い・ドライクリーニングの両方が可能な衣類を購入したとします

買った本人としては、水洗いも可能な衣類であるため、
クリーニングに出せば、
必ず水洗いしてもらえる、と思っています


しかし、実際にはクリーニング店で
ドライクリーニングを行っている事から、汗が蓄積して、
脱色・変色が発生する・・・と言う事があり得ます


その場合、クリーニング店としては
「ドライクリーニング可能な衣類でもある」事から、
品質表示の通りに洗いました、と主張する事が可能です


一部のクリーニング店において、追加料金ありで、
「ウェットクリーニングコース」のような加工を用意している所もあります

一口に
「水洗い」と言っても、
水洗い・ドライクリーニングの両方が可能な衣類を、
追加料金を支払い、水洗い指定にするのか

そもそも水洗い出来ない衣類を、
特殊な洗浄液などで
「水洗いと同等の汚れ落ち」にするのか、
クリーニング店によってやり方は様々です


今や、ネット上にクリーニングに関する情報が溢れています
ただし、
「一番いいやり方」を見つける事と、
「クリーニング店が実際にやってくれるかどうか」は別です

多くの場合、

「クリーニング店でやってもらえる訳ではない」
と知って初めて、
そのような事態が起こり得る・・・と言う事に気付くと思われます


特に夏に着る衣類の場合は、
汗が蓄積すると脱色・変色の恐れがあるため

「夏服は、家で水洗い出来る衣類を必ず選ぶ」と言う買い方も、
賢いやり方であると思います