クリーニング豆知識

第百五十三回:「スニーカークリーニング」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百五十三回は、「スニーカークリーニング」について



「スニーカークリーニング」が、
テレビで取り上げられました

当社の周辺のクリーニング店でも、
「スニーカークリーニング」のポスターを掲示して、
行っている事をアピールしている店舗がいくつか見受けられました

実はこのスニーカークリーニング
2019年の前半あたりには、
話題になっていました

今後、更にクリーニングの需要が減少していく事は確実です
そのため、新たな販路を開拓しようと言う事で、
かなり前からクリーニングの業界紙などで取り上げられていました


ただ、当社ではスニーカークリーニングは行っていません
理由としては

@既に大手が扱っているため、価格面で太刀打ちできない
Aスニーカー専用の機械を置くスペースがない
B劣化した部分の割れ・欠けと言ったリスクが高い


と言った事が挙げられます


@に関しては、ワイシャツのボタン付けや
エリ・ソデのシミ抜きと言った、
大手チェーン店との差別化が難しいため
「同じ内容なら安い方で」となるのは当然です

当社のような中小・零細企業は、どうしても規模を大きくしてコストダウン、
と言う仕組みが難しいため、価格面で大手と勝負しても消耗するだけです


Aに関しては、通常の衣類とは別に、
「スニーカーを洗うための機械」を設置する必要があるため、
大きな工場を持たない当社には、その余裕がありません


ただ、一番の理由はBです
スニーカーと一口に言っても、劣化の具合は千差万別です
そして、クリーニングする際に、どうしても負荷がかかるため、
劣化していた部分に割れ・欠けが発生する場合があります

その場合、クリーニング店としては、
「割れ・欠けの原因は劣化によるものです」
と説明する事が出来ます
(このあたりの対応は、店舗によって違います)


ただ、弁償・賠償と言った事がなくとも、
スニーカーをお持ちになったお客様との関係は、
悪化する事が避けられません

お客様の側からすると、また使いたいから
スニーカーをクリーニングに出したのに

もう履けない状態になって戻ってきたので、
何とかしてよ、となるのは当然でしょう


しかし、クリーニング店側からすると、
購入してから数年が経過、
あるいは酷使していたようなスニーカーを

絶対に割れ・欠けもなくキレイにして返して下さい、
と言われても保障しかねます


スニーカークリーニングは、
確かに便利なサービスであると思います

ただし、割れ・欠けのリスクがあり、
誰もその補償をしてくれない場合もあり得る
・・・と言う事も忘れないで下さい


ただ、子供の上履きや、割れても構わない、
古いスニーカーで利用する分には、
とても良いサービスである事は確かです