クリーニング豆知識

第百四十八回:「コロナ下のクリーニング店」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百四十八回は、「コロナショックとクリーニング店」について


コロナショックに、
クリーニング店はどのような影響を受けたか


緊急事態宣言が解除され、
クリーニングの業界紙や新聞で、その影響が取り上げられていました

まず、売上はほとんどの店舗で大幅にダウンしました

ただし、コロナウィルスの感染者が発生した店舗以外は、
基本的にずっと営業していたようです

当社も、緊急事態宣言が出た直後は、休業を覚悟していましたが、
結果として一日も休む事なく営業を続ける事が出来ました


クリーニング店の場合、
「お客様の衣類をお預かりしている」と言う仕組みから、
「営業していないので、他のお店へ」と言う訳には行きません

預けた衣類を引き取る場合、
基本的には預けた店舗でしか受け取る事が出来ないため、
「休むに休めない」と言った事情もあります

東京都が、休業要請を出さない業種・出す業種として、
一覧を発表した際、クリーンニング店は
「生活に必要な事業であり、休業要請はしない」と言う分類の一つでした


このまま待っていてもお客様は戻って来ない・・・と言う事で
セールやキャンペーンを行った店舗も、当社を含めたくさんあります

しかし、逆にセールを行って
多くのお客様が来店した場合、どう対応するのかなど
スーパー各社が、折込チラシを自粛したのと
同様のジレンマも抱えています


当社の考えとしては、
「緊急時こそ、なるべくいつも通り」でした

世間が緊張・混乱している状態で、

「いつも通り営業をしているお店」
があると、人はホッとします

当社の目の前にある東急ストアも、
営業時間を変更してずっと営業していましたが

「東急ストアはずっと開いている」と言う状態は、周辺の住民に、
計り知れないほどの安心感を与えていた、と感じます


また、緊急事態宣言の発令から一ヵ月も経過すると、
「消費者の間の新しい常識」と言うものが出来ている、
と感じました

当社では、特にウィルス対策について、
お客様に対応をお願いはしていません


ただ、他店が独自に考え、
実行している
「クリーニング店での、ウィルス対策のお願い」が、
多くのお客様の間に浸透している事を感じました

具体的には、
@店内に入るのは一組だけ
Aマスク着用
B入店と退店の方は互いに距離を取る

・・・などです
当社からお願いした訳でもなく、
自然とこのようなルールが浸透していました


世界を見渡しても、多くの方がこのようなルールを守り、
互いに気を遣う文化が根付いている国は、非常に希少です

今回のコロナショックを受けて、当社も大きな影響を受けましたが、
『日本人であった事は、本当に幸運であった』、と感じます