クリーニング豆知識

第百四十回:「不良品と自主回収」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百四十回は、「不良品」について


明らかな不良品が出た場合、
アパレル側はどう対応するのか


ほとんどの方の日常とは関わりがなく、
それ故に考える機会がほぼない事柄です


新聞には、毎日のように
「不良品による自主回収のお知らせ」や、
「誤表記による返品のお知らせ」などが掲載されているため、

何となく
「明らかな不良品が発生した場合、
メーカーは必ず自主回収するだろう」
と思いがちです


しかし、ZARA・ユニクロ・Gapのような
大手アパレルの製品を含め

「何故、このような不良品が販売されているのか。
そして、何故自主回収されないのか」

・・・と思えるような衣類は、今までたくさん目にして来ました

つまり、不良品は必ずしも
@アパレル側が不良品であると告知して
A自主回収、あるいは返品・返金をする
・・・と言う訳ではありません



ただし、クリーニングにより破れ・色落ちなどが発生した場合

・クリーニング業者側の処理(洗い・シミヌキ・仕上げ・保管)に問題がある
・製品そのものに問題がある
・購入した消費者の扱いに問題がある
・時間の経過による劣化


・・・と言った要因が考えられる事から、単純に
「クリーニングで問題が発生した」⇒「不良品」
と言う訳ではありません


そのため、
「どこに原因があるのか」が分かりづらい事から、
明らかな不良品であったとしても、そのまま流通しており

多くの消費者が購入してクリーニングに出し、
事故が発生する・・・と言う事情があります
また、会社やブランドがもはや存在せず、
アパレル側の窓口がない、と言うのは良くある話です


衣類に関して、
世の中には
「回収されていない不良品」がたくさんあります

その事を頭の片隅に置いておくと、いざ何らかのトラブルに遭遇した場合、
「あ、これは不良品かな?」・・・と、頭を切り替えて対応する事が出来ます