クリーニング豆知識

第百三十七回:「返品するには訳がある」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百三十七回は、「『洗えません』と返品されたら」について


当社では、
「他のクリーニング店で、『洗えない』と断られた」
と言う衣類が、良く持ち込まれます

そのほぼ全てが、品質表示がない、
あるいは、自分で切り取ってしまった衣類です


品質表示がない衣類と、
品質表示を自分で切り取ってしまう事のリスクは

ほとんどの方が、
クリーニング店で受付を断られて初めて気付く事です


当社では、品質表示がない場合、

「そもそも何洗いか?」
が分からないため

色落ちや縮みが発生して、着られなくなる可能性があります、
と言う事を説明した上でお受けしており、
色落ちのチェックで
「危ない」と判断した場合、
返品する場合も多くあります

今まで、品質表示のない衣類をたくさんお受けして来ましたが、
そのような衣類の、色落ちや縮みの発生するリスクは、
総じて
「高い」と断言して良いでしょう


全体が白の衣類の場合、色落ちのリスクはありません
また、水色など薄い色合いの衣類は、
色落ちしても目立たない事があります

ただ、
上半分が白・下半分が黒のような衣類で、
品質表示がない場合は要注意です

当社では、基本的に色落ちのチェックをした上で、
クリーニングをしていますが、
チェックの時点では色落ちせず、
洗浄の時点で色落ちが発生した例は、たくさんあります


また、色落ちが発生しなくとも、上着であれば袖部分
ズボンやスカートであれば、ウェスト部分が大幅に縮む事で、
着られなくなる可能性はあります

「縮む」と言っても、全体が均一に縮むわけではなく、一部が縮み、
他の部分にシワが寄って、戻らなくなるようなケースもあります


クリーニング店で
「この衣類は洗えません」と断られた場合、
断るにはそれなりの理由があります

もし、受付をしてくれるクリーニング店があったとしても、
そのお店が、必ず縮み・色落ちを発生させない・・・と言う訳ではありません

クリーニング店で断られたら、
受付をしてくれるお店を探す・・・その前に

『そもそもこの服は、
色落ち・縮みのリスクがあったとしても、洗って欲しいのか?』
を、
まず考えてみて下さい