クリーニング豆知識

第百三十六回:「黒と紺とホコリ」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百三十六回は、「このホコリはどこから来るのか?」について


黒や紺色のズボン・ブレザーを家庭洗濯した後、よく見ると
全体がホコリまみれになっている
・・・と言う事はないでしょうか

この状態になってから、
慌ててズボン・ブレザーをお持ちになる場合もあり、

以前は当社でも
「ポケット内に、ティッシュ等の繊維が残っていたのでは?」と考えていました

しかし、この状態を引き起こすもの、

それは縫い目の裏に溜まったホコリです


ズボンやブレザーはあまり頻繁に洗濯するものではなく、
長期に渡って着用する事が多いため、
内側の縫い目の裏に、ホコリが蓄積しています

そのホコリが、洗濯した事によって取れ、
そしてまたその衣類に付着すると、
全体がホコリまみれになった状態となります


そのような衣類と一緒に、
他の紺や黒の服を洗うと、そちらにもホコリが付着するため、
注意が必要です

ただし、ホコリが蓄積しているだけなので、
裏返しにして、
毛取りローラー(いわゆるコロコロ)で、
丁寧に蓄積したホコリを取ってあげれば、次からは大丈夫です

きちんとホコリを取らずに残っていると、
次に洗った時にまたホコリまみれになるため、
しっかりと縫い目の両側まで、上から下まで取るようにして下さい


ただ、裏側に蓄積しているのはホコリだけではありません
お預かりした黒や紺の綿ズボンを裏返しにすると、
裏側に白く筋状に、皮脂汚れが付着している事があります

この状態は、裏返しにして洗わないと、
付着した皮脂がしっかり取れないため、注意が必要です


また、上あるいは下に着ている衣類の繊維が付着して、
洗うとその繊維が全体に広がってしまうような場合もあります

ワイシャツやブラウスは特に、
上にセーターやベストを着ると、その繊維がびっしりと全体に付いて、
洗濯しても
「刺さっている」状態の繊維は、
完全に取れない事が多々あります

特に春先や秋口に、白のワイシャツやブラウスの上に、
黒や紺と言ったセーター・ベストを着ると、
付着した繊維が非常に目立つため、ご注意下さい