クリーニング豆知識

第百三十回:「増税対策」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百三十回は、「消費税の税率が変わる時の、企業のやり方」について


消費税の税率変更が、間近に迫ってきました

5%⇒8%変更の際には、

「価格改定は行いません」
と言う告知を十分にしていなかったため、
「税率変更に合わせて、値上げする」とお客様に思わせてしまい、

しかも繁忙期と重なり、
正に
「大混乱」と言って良い状況になりました

しかし今回は、税率変更が繁忙期とは重ならず、
前々から
「税率変更と同時の、価格改定は行いません」
と告知しておく事で、
大きな混乱は回避したいと考えています


当社では、以前から通常の新聞に加えて
「流通新聞」を購読しています
流通新聞とは言うものの、実際には、
新聞の経済面だけで構成された新聞のようなものです
そして、ここ数年、流通新聞を購読して気付いた事は・・・

2019年初頭の時点で、『値上げ』と言う点に関しては、
増税対策はほぼ完了しているのではないか

・・・と言う事です


「増税対策=消費税率アップの直前」と考えるのは、「買う側」です
実際には、「売る側」はもっと前から、
着実に、あまり目立たない形で対策を行っています

2018年も、
多くの業種・業態で値上げが行われましたが、ほとんどの場合、
@原材料の価格上昇
A人件費の上昇

の二つが理由として挙げられています


しかし、全てではありませんが、
実際には「
B増税対策」が含まれています
これは、以前このコラムでも度々説明している、
「嘘ではないが真実でもない」と言う表現方法です

つまり、値上げの理由は、

@〜B
を総合的に判断しての事であったとしても、
「@とAだけを言い、Bは言わない」と言う形で、
外へ向けた発表を行います

増税対策と言わないのは、
「便乗値上げ」と叩かれ、批判の的になる事を避ける狙いがあります

ただし、原材料の価格上昇、
人件費の上昇も事実であるため、嘘を言っている訳ではありません


また、5%⇒8%の税率アップの際にも見られましたが、
「税込み表示⇒税抜き表示、に変更しました」だけを告知して、
値上げするやり方もあります

税込み100円は、本体価格は92〜93円となりますが、
税抜き100円は、本体価格100円です

@税込み表示⇒税抜き表示、に変更しました
A値上げしました


・・・の、@だけを言い、Aは言わないやり方です


ただし、このような「売る側のテクニック」は、
気にし始めるとキリがありません

そのため、シンプルに

「自分に取って、都合が良いなら買う。都合が悪いなら買わない」

・・・と決めてしまう事が、結果として自分や家族を守る事に繋がります

また、税率アップ直後は消費の冷え込みを恐れ、
企業側も割引・値下げを行う可能性が十分あります

そのため、
「不要不急の買い物は、敢えて税率アップ後まで控える」
と言うやり方も、一つの賢いやり方であると思います