クリーニング豆知識

第百二十九回:「手書き表示の罠」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百二十九回は、「手書き表示」について



ごくまれに、ではありますが

「品質表示が手書き」
の衣類をお受けする事があります
大抵の場合、
@サンプル品 A古着 B個人で輸入・販売した衣類
・・・のいずれかの理由で、品質表示が手書きになっているようです

しかし、この手書きの表示。クリーニング業者から見ると、
何の保障にもならない、非常にリスクの高い表示です


そもそも品質表示は、染色堅牢度などの試験を経て、
「この衣類には、この洗い方が適しています」と言う、
説明書のようなものです

手書き表示の場合、そのような試験を経ているのか、
そもそも誰が書いたのか、全く分かりません

そのため、
「手書きで『水洗い』と書いてあるけれど、本当に水洗いして大丈夫?」
と聞かれても、『分からない』としか言いようがありません


また、手書き表示も色々なパターンがあり

綿や絹、ポリエステルと言った
「素材の名前だけ」が書かれているもの

「含まれている素材と、その割合」まで書かれているが、
洗い方に関する記述はないもの

水洗い・ドライクリーニングと言った、

「洗い方だけ」
が書いてあり、素材に関する記述はないもの

・・・などがあり、「この部分だけ書かれても・・・」と感じます


さて、このような
「手書き表示の衣類」をクリーニングに出して、
縮みや色落ちが発生した場合、どのような事になるでしょうか?

クリーニング店側としては、
「表示が間違っている」や、
「洗い方に関しての記述が、表示にない」
と主張する事が可能です

つまり、
「表示に問題がある事が原因であり、
ウチに責任はありませんよ」
と言う事が可能です
(クリーニング店によって、対応は様々です)


前述の、サンプル品・古着・個人輸入の中では、

古着市場
は今後拡大が見込まれています

品質表示が手書きの衣類は、
今後劇的に増える事はなくとも、無くなる事はないでしょう

そのため、
「手書き表示=リスクが高い」と言う認識を持ち、
自分で自分の身を守る必要があります


サンプル品・古着・個人輸入の衣類に限らず、衣類を購入する際は、
出来れば
「品質表示をチェックする」と言うクセを付けて下さい
結果として、自分や家族を守る事にも繋がります