クリーニング豆知識

第百二十七回:「保管か処分か」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百二十七回は、「長い間、取りに来ない品物の扱い」について



クリーニング業者同士の集まりでは、良く話題になるけれど、
消費者側に伝える事はほぼない・・・と言う事の一つに、

「保管か処分か」
があります

良く利用するクリーニング店に、一週間、
あるいは一ヵ月、品物を置きっぱなしにすると、どうなるか?

正確に把握している方は、意外と少ないのではないでしょうか


まず前提として、そのクリーニング店を初めて利用する際、
「会員規則」のようなものを、渡されていると思われます

冊子として渡される場合もあれば、
会員カードと一緒に入っている、紙に書かれている場合もあります


ちなみに当社では、会員カードをお渡しした際、

一緒に中に会員規則の書かれた紙を入れています


ただ、会員カードの説明も兼ねており、かなり簡略化しています
そうしなければ、覚えてもらえないと考えているからです


さて、その
「会員規則」に、
一週間、あるいは一ヵ月引き取りに行かないとどうなるか?が、
大抵の場合は、書いてあるかと思われます

書いていない場合、店頭のポスターに明記してあったり、
「更に詳しい規則に関しては、ホームページを参照して下さい」と、
会員規則に書いてあったりします

会員規則の全文を、
あらかじめホームページ上に掲載しているクリーニング店も、
最近では多く見られます

「当社のルールはこちらです。同意の上でご利用下さい」
と言う、その会社からのメッセージとも言えます


ここからが本題です

細かい部分は、クリーニング店によって大分異なりますが

会員規則には、

一週間以上引き取りに来ない場合、保管料を頂きます
、とか
仕上がり日後、〇ヵ月で、お預かりした品物を処分させて頂きます
のような記載があります

冒頭で書いた通り、この部分のルールを良く知らないまま、
クリーニング店を利用している方が意外と多いのでは、と感じます

そして、保険の約款と同じで、保管料を請求された、
あるいは預けていた品物を処分された後で

そのルールは知らなかった」と主張しても、
通用しない場合が多々あります


つまり、
「ルールを理解した上で、利用していたのでしょう?」と、
クリーニング店側としては、主張する事が出来る訳です

(いつも言っていますが、
実際にそのような主張をするかどうかは、また別です)


日本は
「お客様は神様です」
精神が行き届いている・・・ように見えて

『売る側』は
「お客様がこう主張したら、こう返す」と、
したたかに計算しているものです

一度、良く利用するクリーンニング店の、

「保管に関するルール」
をチェックしてみて下さい


また、処分はされなくとも、
長期間、蛍光灯や日光の下の環境に置いておく事で

光による変色・退色が発生する事があります
この状態は、洗ってもシミヌキしても、元には戻りません

そのため、処分や保管料とは関係なく、
基本的に
「仕上がり日から、一週間以内」
を目安に引き取ると良いでしょう


ちなみに当社では、『預かり証』の一番下の説明文に、
「仕上がり日から一ヵ月が経過した時点で、品物を処分させていただきます」
と言う文章があります
また、店頭のホワイトボードの下にも、同様の説明文を貼ってあります


『売る側』の視点で見ると、このような注意事項と言うものは、
どれだけ小さく書いても、気付く人は気付くものであり
どれだけ大きく書いても、気付かない人は気付かないものです

ただし、店頭および預かり証に明記してあるため、
「知らなかった・気付かなかった」と言われても、
当社としては、
「ココに書いてありますよ」と言う事が可能です


クリーニング店に限らず、
一度、
「このお店独自のルールは何だろう?」

・・・と言う視点で、店舗を観察してみて下さい
意外な発見があります