クリーニング豆知識

第百二十四回:「ボタンに関する溝」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百二十四回は、永遠に無くなる事はないと思われる「認識の差」について



ワイシャツボタンの割れ・欠け

クリーニング業者と、
日常的にワイシャツを着用している人が、
共に今後も抱え続ける問題です


クリーニングを利用する側からすると、
「家で洗っても割れないのに、
クリーニングに出すと割れるのは何故?」
と思います

しかし、クリーニング業者側からすると、
「家とは違う、洗い・仕上げを行っているため、
割れ・欠けはどうしても発生します」
と考えています


また、ボタンの構造に問題がある場合と、
クリーニング業者の洗い・仕上げに問題がある場合

力が加わった事による自然な劣化や、
固いものにぶつけた事による破損なども考えると


原因が一つではなく、複数に組み合わさって
「割れ・欠けと言う状態になる」ため

「この事にさえ気を付ければ、絶対に大丈夫」
とも言えません

また、割れ・欠け、あるいは取れたボタンへの対応が、
クリーニング業者によって違うと言う点も、
消費者側からすると、非常に分かり辛いと思います


当社では、お預かりしたワイシャツに、
タグを付ける時点で全てのボタンをチェックして、
大きく割れ・欠け、あるいは取れているボタンがあれば、
当社指定のボタンに付け替えています


また、仕上げの段階でもボタンをチェックして、
洗いの過程で取れたボタンがあれば、付け替えています
(ワイシャツのみのサービスであり、
他のシャツや衣類には行っていません)


しかし、
「ワイシャツのボタンは付けない」と言う
ルールのクリーニング店もあれば

多種多様なボタンと糸を取り揃えており、
似たようなボタンと糸に付け替えてくれるお店もあります

基本的に、前者は
「安さ」を売りとしたクリーニング店であり、
後者は
「品質」を売りとしたクリーニング店に、多く見られます


ワイシャツのボタンを『付け替えているクリーニング店』の一つとして、
「ボタンは付けない」と言うルールは、
合理的で至極もっともだと感じます

低価格のクリーニング店では、
お預かりしたワイシャツ全てのボタンをチェックして

仮に
「取れていたら付け替える」と言うルールであったとしても、
価格にもよりますが、利益を出すのは難しいと思います

それ程に、
「ワイシャツのボタンを付け替える」と言う作業は、
非常に手間がかかります
手間がかかると言う事は、それだけコストが増えると言う事です


もし、引っ越した先で、
新しくワイシャツを出すクリーニング店をとりあえず探す・・・と言う場合
「自分に取って、何が一番大事か」を基準に考えると、
あまり迷わずに済むでしょう

具体的には、
価格・納期・品質のどれを最も重視するのか
価格はいくらまで・納期は最低でも、最短何日・ボタン付け替えや、
シミヌキが必要な場合の料金の目安など


クリーニング店は
「相性」があり、
当社も
「周辺に住む、全ての方のクリーニングをお受けしたい」
・・・と考えている訳ではありません

自分なりの基準を作り、是非自分に合ったクリーニング店を見つけて下さい