クリーニング豆知識

第百十六回:「誰がアパレルを殺すのか@」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百十六回は、クリーニング業界とは
切っても切れない関係にある、「アパレル業界」について


アパレル業界の抱える問題と、
業界で働く人達の新しい取り組みを取り上げた
「誰がアパレルを殺すのか」と言う本があります

アマゾンのランキングでも、比較的上位にランクインしていたため、
ご存知の方も多いのではないでしょうか


この本を読んで思うのは、
「クリーニング業界も厳しいが、
アパレル業界も厳しい」
と言う事です

アパレル業界は、バブルの頃と比較して
市場規模が
3割程減少との事ですが

クリーニング業界は
5〜6割程
市場規模が減少しています

この部分だけ見ると、
アパレル業界の方がまだまだ大丈夫、と思うかもしれません

しかし、アパレル業界にあって
クリーニング業界にはない(少ない)ものとして

「海外企業の参入」があります
この10年程の間でも、
複数の海外のファストファッション企業が国内に参入しています


つまり、市場規模が3割減少したと言うのは全体の話であり、
国内のアパレル企業に限って言えば更に減少しており、
ブランドの縮小が相次いで発生しています


クリーニング業界には、海外企業の参入がありません
競合店と言えば、国内のクリーニングのチェーン店や個人店であり、
海外企業の大規模出店は聞いた事がありません


本の中で、タイトルでもある
「誰がアパレルを殺すのか」について、

「昔ながらのやり方に固執している」
と批判的に扱われているのが、
百貨店です


このような店舗の多くでは、
新作を
「セール価格を見据えた価格」で販売します

その後、セールに入ると割引をしますが、

「セール価格で販売しても、利益の出る価格」
で売ります
つまり、元々の価格がかなり高めに設定されています


この、
「大量に作り、まずは高めの価格で売り、
セール価格で売り切る」
と言うやり方が、
もはや限界に来ているのではないか、
とかなり批判的に扱われていました


例えばG.Uでは、
まず最初に価格を決めるそうです
「この価格なら売れる」と言う金額を決め、
それに合わせて製品を作る

また、生地を確保しておき、売れ行きを見て、

「売り切れそうなら追加で作る」

と言う作り方をしています


百貨店のやり方は、正にバブルの頃のやり方です
しかし、バブルの時にあまりにも上手く行き過ぎてしまった

その場合、
「今までのやり方を捨てて、方針転換」は、
中々出来ないものです。大きな企業であればなおさら

では、
「今の時代に合わせた、新しいやり方」
とはどのようなものか
長くなったので次回に続きます


「誰がアパレルを殺すのか」の内容が気になった場合、
電子書籍版でも読めるので、
興味を持たれた場合は、是非読んでみて下さい