クリーニング豆知識

第二十回:おしゃれな人ほど苦労する

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第二十回目は、おしゃれにこだわる人ほど・・・というお話


日々衣類に関する作業に従事していて感じるのは、

「服に関してはおしゃれで、こだわる人ほど苦労している」と言う事です

よく、「別のクリーニング店に持って行ったら、
『洗えません』と返品されたんだけど・・・できますか?」
・・・と聞かれる事があります


どのような衣類かは様々ですが、
多いのは品質表示絡み
品質表示がない、外国の品質表示しか付いていない、
繰り返しのクリーニングで読めない、など


当社では、そのような衣類の場合は、
品質表示が読める場合は、書かれている事を説明し

洗う事によるリスクを説明した上で、
お客様の同意を得てからお受けする、という事はあります

ただ、これは「当社の方針」であって
「クリーニング業界の方針」ではありません


品質表示が付いていない、
あるいは全てに×が付いている、という時点で返品する、
という方針のお店はあります(特にチェーン店)

そのような衣類を洗う際のリスクについて、
店頭での受付を専門としているスタッフに、
きちんと説明出来るような知識を持つ事を徹底するのは、
非常に難しいからです

そのため、表示に書いてあるならその通りにする、
のような対応が非常に分かりやすく、
「教えやすい・覚えやすい」
ルールになります


「十人十色」どころか「一人十色」
と言われるまで個人の好みが分かれた結果、
世の中は非常に特殊な衣類で溢れかえっています

ユニクロやギャップなど、
比較的スタンダードな衣類で十分と考える層には、
品質表示に関するトラブルは、あまり関係がありません


逆に、おしゃれで、
身に着ける衣類に関しては非常にこだわる層にとって、
「クリーニング店に持って行っても、受け付けてもらえない」
・・・という事は、非常に大きな悩みのようです


洗って欲しいからクリーニング店に持って行くのに、ことごとく返品される
クリーニング店を転々とし、やっと洗ってもらえる所に辿り着いた

しかし今度は、
納期・仕上げの品質・価格が自分に合わない・・・・のような悩みは、
多くのおしゃれな方が抱える問題ではないでしょうか

何度か、お得意様が「今度、引っ越す事になりました
長い間お世話になりました」とご挨拶に来られた際

転居先でのクリーニング店の選び方に関して、
いくつかアドバイスさせていただいた事があります


それは

@とりあえず周辺のクリーニング店全てに、
自分がよく着る衣類を出してみる
そして、仕上がりや納期、価格を考えて候補を絞る

Aその店舗で洗い・仕上げを行っているのではなく、
店員さんがいて、ただ品物が置いてある店舗の場合

何か問題が発生しても、
店員さんだけでは対応できない場合があるので注意が必要

B店舗内に工場があり、
受付の方に衣類に関する深い質問をして、
きちんとした答えが帰ってくるような店舗が無難
(=受付の方が、衣類に関するきちんとした知識を持っている)


・・・というものです

当社でも、特殊な衣類に関しては情報を共有したりするなど、
対応を取っていますが、Bに関しては中々思うようにはいかない・・・
というのが現実です

当社では、衣類に関する知識を持ったスタッフが常駐しているので、
衣類に関する
「困った!」という事態や、
このような「こだわる層」のお客様のご要望に、
少しでも応えられたら、と日々考えています