クリーニング豆知識

第十九回:続・ネオレザー

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第十九回目は、前回の話題の補足


前回 取り上げた、ユニクロのネオレザー

クリーニングの業界紙で、
「ネオレザーを洗ってみたらこうなった」
という報告が出ていました

結論としては、「水洗いはやめた方がいい」


前回述べたように、ネオレザーの素材である
「合成皮革」
その中でも
「ポリウレタンコーティング」と呼ばれるものは

その名の通り
「表面にポリウレタンをコーティングして、
皮のような質感にしている」
ものです

そしてこのコーティングは、

空気に触れているだけで劣化します


劣化すると、コーティングが剥がれて、
ヒビ割れのような状態になってきます


このコーティングの剥離が、
主にドライクリーニングによって進行してしまう事が、
クリーニング業者からすると非常に厄介なのですが

汗やシミが付いて、そのシミヌキのために、
お客様の了承を得た上で、水洗いを行う事もあります
(ネオレザーの品質表示では、
洗浄方法はドライクリーニングのみ・水洗い不可)


実際に水洗いしてみた業者の方の話によると、
「裏地から色が出て大変だった」
との事
色が出た、とはつまり色落ちの事です

その部分が色落ちするだけならともかく、
他の違う色の部分にまで色移りしてしまうので

「水洗いしたら色が出る衣類=水洗いしてはいけない」
・・・という対応が鉄則です


ちなみに水洗いといっても、
あまり動かさないよう洗浄液に漬け込むような形にして、
洗剤も衣類へのダメージを与えないよう、中性洗剤を使用し、
脱水を短時間にして、基本的には自然乾燥にする、という工夫をしています


水洗い不可の衣類を洗濯機で洗ってしまい、生地がダメージを受けるのは、
@洗剤によるもの(主にアルカリ性である事が良くない)
A水の中で揉まれる事によるもの
B脱水時に衣類にかかる力

などが主な原因です


ユニクロのネオレザーをはじめとする合成皮革は、
確かに優れた製品ですが、品質表示にもある通り

@3年程度で、寿命が来る可能性がある事を考慮した上で買う

A汗やシミがついたからといって、自分で水洗いしない
と言う2点に注意です