クリーニング豆知識

第十八回:寿命は3年。ネオレザー

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第十八回目は、話題になっていたユニクロの新製品について


ネオレザー


ユニクロが以前、目玉として発表した新製品です
実物を見る事もなくコメントするのもどうかと思ったので、
ユニクロの店舗で実際に見て、触ってきました

正直な感想としては、「とても良く出来ている」

触った印象としては、皮とそれほど変わりません
週末のセール期間だったので、
ジャケットが6000円程度。確かに安い


品質もそうですが、更に関心したのは、
品質表示に「3年程度で寿命がきます」
・・・と表記してあるという事です

「ネオレザー」という名称ではありますが、皮ではありません
「合成皮革」と呼ばれるもので、
経年劣化(年月が経過する事による劣化)で

だんだんと表面が剥離してボロボロになり、
短いものは2〜3年で寿命を迎えると言われています

ちなみに空気に触れるだけで劣化するので、
押入れに仕舞っておけば大丈夫、という訳ではありません



合成皮革自体は以前からあるものですが、
品質表示に「○年程度が寿命です」と表記したものを、
ほとんど見た事がありません

購入の際、その事について、
店員さんから説明を受けたという方もほぼ皆無です

「売ってしまえば、あとは知らんぷり」
・・・が横行していた合成皮革において、
ここまで明確に寿命を表記した事は、非常に大きな意味があります


合成皮革は、
以前からクリーニング業界では頭痛のタネでした

短いものでは2〜3年程度で寿命を迎えるのに、
品質表示にその事が記載されていない、販売員もそれを説明しない
結果として、クリーニング店にしわ寄せが来ます


大抵の場合、劣化に気付く事はなく、そのままクリーニング店に出します
帰って来た品物を見て、劣化に初めて気付く

また、洗う事によって表面の剥離が進行する場合があるため、
「おたくに出したらボロボロになった」というクレームにつながる

ユニクロが明確に「寿命は3年程度」と表記した事で、
今後は同じような商品を扱うメーカーも、対応を迫られる事になるでしょう
売ったらもう知りません、では消費者からそっぽを向かれます