クリーニング豆知識

第百八回:「お手本」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百八回は、「分かりづらい広告のお手本」について


テレビCMにおいて、
@まず、自分にとって都合の良い情報を、大きく表示する
A次に、後で問題にならないよう、
都合の悪い情報を
「小さく・一瞬だけ」表示する
B結果として、@のイメージだけを見た人に植え付ける

・・・と言う、造りのものが多くあります
そして、これらはAの要素を
『見破る』能力を培う、
非常に優れたお手本だと思います


その点で分かりやすいのは、
格安スマホと健康食品です

格安スマホは、激しい価格競争が
繰り広げられており、そのような業界では

上記の@〜Bを盛り込んだ、
その会社に取って都合の良いCMが作られがちです


最近では、月々2000円弱の料金設定が
主流のようですが、良く確認してみると、

「上記料金は最初の12か月の料金です。
13〜24か月目はこちらの料金。
25か月目以降はこちらの料金となります。

ご契約には、最低24か月の契約が必要となります」
・・・のような文言が書いてあります


つまり、CMで宣伝している料金は
「最初の一年目だけ」あり、
二年目からは料金が上昇、三年目からは少し下がる

そして、最低でも二年の契約
(いわゆる二年縛り)が必要であり、
途中解約には違約金が発生します

全ての格安スマホの会社が、
このようなやり方を用いている訳ではありませんが、
とても賢い戦略だと思います


次に健康食品

健康食品のCMは、業界で販売数が一位なら
「業界No.1!」と宣伝し、

それが言えないなら
「お客様満足度No.1!」
あるいは
「〇〇のカテゴリでNo.1!」

それも言えなければ
「お陰様で〇〇万個を突破!」
・・・のような表現を用いていると感じます

また、
「愛用しているお客様の声」のようなインタビューでは、
下の方に小さく
「※個人の感想です」と入れ、
絶対に効果がありますとは言いませんし、言えないでしょう


健康食品ではありませんが、
同じようなやり方のCMが
ライザップであり、
CMとして良く出来ていると思います

ライザップのCMでは、
「極端に成功した事例」を登場させ、
「あなたもこうなれますよ!」と言うイメージを与えます

しかし、
「必ずなれます」とは言わず、
「目標体重の達成率」のような、具体的な数字は入れていません


何を以って「ダイエットの成功」とするか難しい、
と言う事情もありますが

具体的な数字を示さず、会社にとって都合の良い
イメージを与えるCMとしては、
正にお手本です
売上が非常に伸びていると言うのも、当然だと思います


このように、CMだけではなく、
新聞の折り込みチラシやホームページなど、

世の中には
「会社にとって、都合の良い部分だけを表示している」
と言う情報が溢れています
当社だけは例外です、と言うつもりはありません


様々な情報に触れて
「見抜く力」のようなものを養い、
CMやチラシを見て

「このCMは、この部分の具体的な数字を
示していないけど、表には出せないのかな」


・・・という目で見るようになると、
いつも言っていますが、
世の中が違って見えて来ます


最後に一つ、例題を
「借金の過払い金請求」のCMも、
非常に良く出来ていると思います
そのCMの中で、表に出ている情報、
出て来ていないと思われる情報は何でしょうか

全てを疑ってみましょう、と言いたい訳ではなく、
そういう視点で情報を見るのは、とても楽しいと思います
ちなみに正解は、「実際に返金のあった割合」です