クリーニング豆知識

第百七回:「しまパト」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百七回は、「しまパト」について


しまパト


と言われても、多くの方が分からないかと思われます
正確には
「しまむら(の)パトロール」の略で、
「しまむらの店舗を巡回して、
商品をチェックする事」
だそうです

他にも100円ショップで掘り出し物を見つけるなど、

「〇〇パト」
は静かなブームと言えます


良く比較されるユニクロとしまむらですが、
ユニクロは
「少品種大量生産」
しまむらは
「多品種少量生産」の傾向にあります

そして、ユニクロは
「定番商品がセール価格!」
で集客するのに対して

しまむらは
「次来た時、この服はもうないかもしれない」
と思わせて、購買に繋げています

しまむらにも
「裏地あったかパンツ」
など定番の売れ筋商品はありますが

その他に「次来た時〜」と思わせるような商品を店頭に並べて、
来店の動機としています


世界の衣料品トップ3と言えば、
Gap・ZARA・ユニクロですが、それぞれの違いを大まかに説明するなら


Gapが幅広い年齢層、および所得の層に向けた

大量生産
(Gap以外にも、複数のブランドがあります)

ZARAは新商品を大量に出し、
データから
「これは売れる」と思われるものに狙いを定める

ユニクロは、ヒートテックやウルトラライトダウンなど、

「ブームを自分で作り出す」
と言うやり方です


しまむらのやり方は、ZARAに近いと言えるでしょう


前回のコラムでも触れた事ですが、
今10代〜20代の若者に
圧倒的な支持を受けるブランドは、ありません

そのため、
「とにかく大量の商品を作り、
何が売れるのか見極める
」と言うやり方は、
中々に賢いやり方です

また、若者に限らず、今の消費の傾向は
「みんなと同じ」「私だけの」と言われます

つまり、ユニクロでヒートテックをセール価格で買い込む一方、
しまむらで「自分だけの、もう買えない一着」
を探し求めて巡回する訳です


この、
「みんなと同じ」+「私だけの」は、
2017年の消費行動を占う上でも重要な要素でしょう
新聞やテレビで「今、〇〇がブーム!」と言う事を取り上げていた時

それが
「みんなと同じ」なのか、
「私だけの」なのか、それともまた別の何かなのか
そのような視点で、ブームになっている消費行動を眺めると、
世の中がまた違って見えて来ます