クリーニング豆知識

第百五回:「新JIS表示@」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百五回は、いよいよ変更となる「新JIS表示」についての第一回


2016年12月1日より、
いよいよ
「新JIS表示」が始まります

新JIS表示では、絵表示が
22種類から41種類となり、
より細かい扱いの指定が可能になると共に

海外の表示と統一される事により、
外国で購入した衣類の扱いに関しても、判別が可能となります

変更後の絵表示に関しては、
Googleで
「新JIS表示」と検索すると、
消費者庁の文書が一番上に来るので(2016年12月時点)

そちらをブックマークにとりあえず追加しておいて、
知りたくなったら見る、程度で良いかと思います


大きな変更点は、
従来の表示で
「洗濯機での洗濯が可能」とされていた、
『四角いネットのマーク』が、
『水の入ったおけのマーク』となり

そのマークと、30℃〜95℃の
「洗濯可能な液温」と言う表示の組み合わせへと変更された事


今まで「弱」などとされていた
「洗いの強さの指示」が、
おけの下にある横線の本数(0〜2)で、
「洗濯機で洗濯出来る(線なし)」・
「洗濯機で弱い洗濯が出来る(線一本)」・
「洗濯機で非常に弱い洗濯が出来る(線二本)」
と言う、
線の本数により指示する形へと変更された事


手洗いのマークは、

『水の入ったおけに、手を入れたマーク』

へと変更された事などがあります


分かりづらいのが、
丸の中に「W」の文字が入った

「ウェットクリーニング」
のマークで、

消費者庁の文書によれば、
「クリーニング店が、特殊な技術で行う、
プロの水洗いと仕上げまでを含む洗濯」
との事ですが

要は
「クリーニング店の設備を用いなければ、
原型のままの洗濯・仕上げは難しい衣類」

のようなものである・・・と考えられます


例えば、ポリエステル100%のズボンは、
大抵の場合は水洗いが可能ですが、
洗濯機で洗うと
線がほぼ消えるものもあります

クリーニング店のプレス機で線を付けると、
洗う前の状態にまで戻す事は可能ですが、
家庭でアイロンを使用して線を付ける場合、
手作業でプレス機と全く同じ線を付ける事は、中々に困難です


水洗い可能なブラウスやセーターも、
洗うと極端にシワの寄る場合がありますが、
クリーニング店の設備で、蒸気を全体に充てて形を整え、
細かい部分をアイロンで伸ばすと、洗う前の状態に戻す事が可能です


ただし、クリーニング店側から見ても、

「洗濯機で洗濯可能」

「ウェットクリーニング指定」
の境界線は曖昧で、

新JIS表示の付いた衣類が市場に出て数年の間は、
多少の混乱があるのでは、と見ています

現時点で、既に新JIS表示へと切り替わっており、
購入した衣類に新JIS表示が付いている可能性は十分あります


「洗濯機で洗濯可能」「ウェットクリーニング」の表示を100%信じて、
ウェットクリーニング表示の衣類は、
必ずクリーニング店にお持ち下さい、とは言いませんが

「ウェットクリーニング表示の衣類を、
家庭の洗濯機で洗う場合は、基本的に自己責任」

・・・と言う事だけは覚えておくと、
大切な衣類を長持ちさせる事に繋がるかと思います