第百四回:「こすれによる白化」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第百四回は、「こすれによる白化現象」について
「クリーニング業者やアパレル業界の人は知っているけれど、
一般消費者にはあまり知られていない事」の一つに、
「こすれによる白化現象」があります
・・・と言っても、大抵の場合は品質表示に
その旨が書いてあり、購入前に判断する事は可能です
品質表示には、
「この製品は、摩擦により
他の衣類に色移りする可能性があります」や
「この製品は、摩擦により
白化が発生する事があります」などと書かれています
では、白化とは何か
簡単に言えば、「白化現象」の名の通り「白くなる」状態ですが、
ポケットに入れた財布の形や、カバンを肩からかけた位置など、
「頻繁にこすれる部分」が白くなります
また、そうとは知らずに洗濯機で洗うと、
「絞りジワの形」に白化が発生します
これは、全体にランダムに白く短い線が入ったような状態で、
場合によっては「短い線」ではなく、
全体が白っぽくなる事もあります
この状態は、何をしても元に戻りません
そうはならないためにも、
「水洗い出来ないブラウス・シャツ」などと同様
(水洗い出来ない=汗が落ちない)、
消費者側が「この衣類は、こんな特徴がある」
と言う事を理解した上で、自衛する必要があります
とはいえ、
「肌に直接触れるが、水洗い出来ない衣類」
に比べると判別が用意で、対応はそれ程難しくありません
「こすれによる白化現象」の発生する衣類は、
多くの場合、品質表示にその旨が記載されています
購入する前に品質表示を良く読み、
危ないと感じたら買わない、と言う判断が十分可能です
ただし、販売員の方が親切に教えてくれる訳ではありません
また、「品質表示には書かれていないが、
こすれによる白化が発生しやすい衣類」
と言うものは存在します
全てではありませんが、
「光沢がある生地」・「黒・紺など、濃色系」・
「触ると、非常に柔らかい」衣類がそれに該当します
お持ちの衣類で、
品質表示に「こすれによる白化」
に関する記述のあるものがないか、
衣替えの際にでも、チェックしてみて下さい
もしそのような記述のある衣類をお持ちの場合、
ポケットに重いものを入れたり、
肩からカバンをかけるのは避けたり
また水洗い可能であっても、
あまり頻繁には水洗いしない方が良いでしょう