胆石の話

  2000年5月中旬に胆石の手術を受けました。

   「胆石の手術」というのは、胆石だけを取り出すのではなく、胆嚢ごと摘出します。

日本人では10人に1人は、”胆石持ち”なんだそうです。

ということは、該当する人も多いのではないでしょうか。

私も、手術したほうが良いといわれて初めて、主治医にいろいろと聞いたり本を買って読んだりしました。

まずは、胆石の勉強から・・・・・ 

続いて、入院日記をどうぞ。

 

 腹腔鏡下胆嚢摘出術

 

胆石と一言でいっても、胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石の3つにわけられるそうです。

それぞれ治療法が異なるそうですが、今回は胆嚢結石(いわゆる胆石)のお話です。

胆石の種類  

胆嚢結石は胆嚢内にできた石のことをいいます。

胆石はその種類によってコレステロール胆石、色素胆石、その他の希な胆石に分類されます。

それぞれ 石の大きさ、数、溶けやすさ、壊れやすさに特徴があります。少ないもので1個、多いものでは1000個以上、

大きさは2〜3mm大から5cm大くらい のものまであるそうです。

私の場合は『純コレステロール結石』『数は1個』『大きさは15〜20mm』とのことでした。(摘出後の主治医の話)

症状

胆石の痛みは、少し重い感じがするだけの場合から、みぞおちから右肋骨下、右の背中にかけての鈍い痛みや、

脂汗を流し救急車を呼ばなくてはがまんできないようなお腹全体の痛みなど様々で、人それぞれに異なるそうです。  

胆石が胆嚢の出口につまった場合、強い痛みと急性胆嚢炎、黄疸などを起こし、緊急手術などの外科的処置が必要な場合もある、と。

私の場合は、痛みというよりも肝臓の検査(腹部超音波検査)で『石の存在』が判明しました。

痛みとしては『不快な鈍痛』が長時間ありました。しかし、この痛みに堪え切れずに病院に行ったわけではありません。

その時は胆石とは分かりませんでした。

検査  

それぞれの胆石には、それぞれ適した治療法があるため、いろいろな検査によって胆石の種類を診断する必要があるそうです。

その検査法には   1.腹部単純X線写真、   

             2.腹部X線CT、   

             3.腹部超音波(エコー)検査、   

             4.排泄性胆嚢造影検査(DIC)、   

             5.血液生化学的検査 などがあるそうです。

治療  

胆石の治療法には  1.経口胆石溶解療法(=溶かす)   

             2.体外衝撃波胆石破砕療法(=壊す)   

             3.胆嚢摘出術(開腹下、腹腔鏡下、=切る)   

             4.その他の治療   

             5.経過観察(=様子を見る) に分けられ、

必ずしも手術を必要としません。

以下に主な胆石の治療法について簡単にその特徴を記します。

治療法
治療期間
効果(消失 率)
 副作用
特徴
経口胆石溶解剤6〜36ヵ月 (入院不 要) 10〜30%胃痛、下痢(まれ) 胆嚢が温存されるが、再発の可能性がある。治療期間が長 い。
体外衝撃波胆石破砕治療3〜12ヵ月 (入院不要) 50〜60%治療中、後の痛み(まれ)

胆嚢が温存されるが、再発の可能性がある。症例によって は効果高い 。

腹腔鏡下胆嚢摘出術約10日間 (入院必要)100% 全身麻酔が必要。

短期間で確実な効果が得られる。術中、開腹式胆摘術への変更が約5%ある。 胆嚢は無くなる。

経過観察 消失しないいつ痛むかは予測不能 無症状で、胆嚢機能良好な場合によい。

 

私の場合:経口胆石溶解剤というのを約10ヶ月飲みましたが、『石は小さくならなかった(溶けなかった)』ようで、主治医の薦め

もあり腹腔鏡下胆嚢摘出術という手術を受けました。

 

******胆石の患者さんの食事療法について******

・食事・・・・食物のカロリー、脂肪量を制限する。コレステロールにも注意。

・脂肪の多い食物(なるべくさける)・・・・胆嚢を収縮させ、痛みの原因になる。

・ アルコール(なるべくさける)・・・・・  胃液分泌促進、過食の原因になり、胆嚢を収縮させ、痛みの原因になる。

 

胆石に関するQ&A

.胆石はどうしてできるのか ・ ・    胆石の種類によってでき方が異なります。

 ・ ・ @コレステロール系胆石・・・ ・  肝臓からコレステロール過飽和な異常胆汁が胆道内に排泄され、

                       胆嚢内でコレステロール結晶が析出して胆石の核ができ、

                       それが次第に胆石へ成長していくと考えられています。

 ・ ・ A胆汁色素系胆石・・・ ・     ビリルビンカルシウム石の成因は不溶性のビリルビンカルシウムが析出し、

                       それが架橋的に凝集して胆石へ成長します。

・ 腹腔鏡下胆嚢摘出術について知りたい ・ ・ ・

                       腹腔鏡下胆嚢摘出術は平成3年頃よりはじめられた新しい手術法ですが、

                       従来の開腹式胆嚢摘出術に比し、

                       @術後の回復が早い、

                       A入院期間が短い、

                       B手術の傷が小さく目立たない、  などの利点があります。

                       短期間で胆石の痛みから解放され治癒するので、忙しい人に適しており、

                       最近この治療法を選択される人が増えているそうです。

昔から”癪”といわれた仙痛を伴う腹痛が胆石の痛みだと言われ古い時代から胆石に苦しんできた人々がいたようです。  

不思議なことに動物でも象、馬、きりん、鹿(大型草食類)には胆嚢が生まれつきないそうです。

このことが人間にも胆嚢がなくても一向に差しつかえないのだとする外科治療の1つの根拠となってきました。

→でも食べ物が違いますよね。キリンと人間では!

胆石の歴史

紀元前1500年のミイラからも胆石が発見されているように、古代から胆石で悩まされてきた人々が沢山いたことは十分に考え

られます。

胆嚢の働き    

胆石について皆さんもあちこちで耳にされたことがあるでしょうが、実際、胆嚢がどんな働きをしている臓器かと質問されると

少し考えこんでしまいますね。

恐らく胆石という診断をされてから慌ててどこにあり、何をするのだろうかと始めて疑問をもたれることでしょう。

最近までは開腹により胆嚢を切除してきましたが1989年に腹腔鏡を用いた方法が紹介されるや

今では腹腔鏡を利用した腹腔鏡下胆嚢摘出術が主流となってきました。  

胆汁とは  

肝臓で胆汁が作られ、その胆汁は胆管を通り十二指腸に排出されます。便の黄色い色は胆汁の色です。

その胆管の途中に80 ml程の容量がある袋が胆嚢です。

夜間に肝臓からの胆汁が胆嚢内に貯められ胆嚢胆汁 となります。

次に食事と共に胆嚢が収縮し濃厚な胆嚢胆汁を十二指腸に排出し食物の消化吸収を助けるという重要な働きがあり ます。

胆汁には界面活性作用(石鹸のような作用)があり脂肪の吸収に欠かせないものとなっています。

昔は、うなぎの胆汁は下剤として服用され、熊の胆汁は奈良時代から熊のい(熊胆)として

鎮痛剤に使用されて来たように動物の胆嚢胆汁を乾 燥し製剤にしたのが、

非常に人間の苦痛を和らげてくれた事は面白いことのように思えます。  

胆石の原因       

胆石を持っている人は何人くらいいるでしょう?今や超音波診断装置(エコ−)の発達により症状の全くない胆石の人まで

どんどん増えてきたそうです(無症状胆石)。→私もこれに近い状態でした。でも『石の存在』を知らされてからは

いつ激痛に襲われるか、炎症を起こしてしまうと回復が長引く、胆石を大事に所有していても何一ついいことはない、

等々の説明を主治医から受け、『今のうちに取ってしまおう』と決断しました。

日本では、戦前は、ビリルビンカルシウム石が非常に多かったのですが、戦後は食生活の西洋化に伴い、

脂肪製品、チョコレ−ト、チ−ズ等の多量摂取によりコレステロ−ル系の結石が増加し

胆嚢結石の70%以上はこのコレステロ−ル結石だそうです。

どんな人が胆石になりやすいか。

欧米では4Fといってfemale(女性)、forty(40歳 代)、fat(肥った)、fecund(多産の)といわれるぐらい女性に多い病気です。

人種でも違います。アメリカインディアンのある部族では20歳になったら全員胆石を保有する部族がある一方 で

アフリカのマサイ族には全く胆石の保有者はいないようです。

私見ですが、肉食が多いと『石が出来る』?

日本人も10人に一人が胆石を保有しているといわれていますが、

スウエ−デンなどの北欧諸国では5人に1人から2人に1 人と更に増加の傾向にありますがこれも食生活に因るところが多い

と思います。

しかし内科の先生の中には、コレステロ−ルの石ができるということは、

動脈硬化、心臓病、高血圧症と も深い関係があり胆嚢結石は全身疾患の1つであって、

ただ単に胆石だけ治療しても根本的な解決にはならないのだという意見もあり尊重すべき考えではないかと思います。  

 

                                減量しなくっちゃ


 

入院日記

 

H12年5月13日(土)

手術前の検査のため外来。       

内視鏡(胃カメラ)にて検査:上部消化管内視鏡検査

以前単身赴任地の大阪で受けた時には、肩に注射(筋弛緩)のあとで胃カメラを飲んだが、

今回は『粘液質の薬(唾液や胃液の分泌を抑える薬と胃の運動を押さえる薬)』を口内に数分含み、

その後医師が口内に薬をスプレーし左を下にして横になりマウスピースを咥えて直径約7mmのファイバースコープ(胃カメラ)を挿入。

先端が喉を通る時一瞬息が詰まる感じがある。 胃を観察する時、空気を入れるので人によってはお腹が張る感じになるかもしれない。

検査結果は異常無しとのことで、特に主治医からの説明は特に無かった。

H12年5月15日(月)

午前中、手続きを済ませ入院(508号)       

手術前の各種検査(安静心電図と負荷心電図(マスター法)、肺活量、CT検査)       

CT検査(胆嚢胆管造影検査:点滴静注法) ヨード剤を注射しCTにて立位、あお向け、うつぶせでレントゲン写真を撮影する。

その後、胆嚢収縮剤を飲んでさらに同様撮影する。

ヨード剤のアレルギー検査のために事前(入院の前週)に注射にて様子を見て いる。 その他に通常レントゲン撮影も行なった。       

主治医及び看護婦から手術前の説明       

手術承諾書に記入、提出 腹部と背中の剃毛、(看護婦さんが若かったので恥ずかしかった!!)

へその清掃、(ここまでやるとは思わなかった。50年分のへそのゴマをきれいにとってもらった)

その後入浴。       

ネブライザー(超音波吸入器)の吸入練習、検温 就寝前に睡眠剤服用(緊張を抑えるためとのこと)

初めての入院、初めての手術であるが不安はない。       

21時消灯

H12年5月16日(火)

早朝05:45 採血、検温       

本日朝食より絶食。 午前中排便。 全身麻酔は呼吸が浅くなるので、胃液の逆流等で肺炎となるのを防ぐため、

鼻から胃液吸引のチューブを入れられる→これが非常にうっとうしい。→一気に病人になった感じがする。

手術室に向かう直前に、病室で注射(麻酔導入剤)→すぐ、ぼーっとしてくる。      

午後12:30より3Fの手術室にストレッチャーで運ばれる。

すぐ酸素吸入が開始され、数回の深呼吸の後意識不明となる。(麻酔導入:亜酸化窒素、俗に言う笑気ガス。化学記号:NO)

(実はこの”麻酔導入の感覚”がいったいどのようなものなのか、入院前から非常に興味があり

『酸素吸入マスク』をつけられた後も、

さぁ、どうなっていくんだろうと、半分楽しみでもありましたが、・・・・・その瞬間は今思い出してもわからず

恐らく”ほぼ瞬間的に意識不明になった”ようです。)

手術開始       胆石の撤去工事をやりました!!

        腹部に4ケ所の穴を開け、ファイバースコープ、特殊なハサミを使う

午後4時ころ完了(後日確認、”本人は時間はわからない”)       

夕方、病室で主治医に声をかけられ覚睡。

家内と長女が来てくれていたが、まだボーッとしていて会話にならない。       

酸素吸入、鼻チューブ、尿管チューブ、点滴チューブで体が不自由。(この他、心電図端子や自動血圧計も)       

麻酔からさめて痛みが増してくる。       

夜中、痛いので看護婦さんに痛み止めの注射をお願いした。→肩に打つのですが、この注射も瞬間的だがかなり痛かった。       

夜中に何度も目が覚め、体が不自由なため寝返りも打てなくてイライラする。夜がこんなに長いなんて!       

尿管チューブが不快である→排尿したいが出ない感じ。       

痰は出ないが、唾液が出てこれを飲み込む時に鼻から入れてあるチューブが不快感を増す。       

心電図と自動血圧計が一晩中セットされていた。       

自動血圧計は15分毎くらいに腕を圧迫するので、これも目が覚める原因であるようだ。

作動時のダイヤフラム・エア・ポンプの音もうるさい。    

H12年5月17日(水)       

早朝採血       検温、37度3分(もっと熱があがるのかと思っていました。)       

朝、鼻チューブと尿管を外してもらう。       

尿瓶を準備されるが、ベッド上で横になった状態では出来るものではない!  

同様に酸素吸入、自動血圧計と心電図も外してもらう→とてもすっきりした。       

腹部全体に鈍痛がある→昔の十二指腸潰瘍の時の痛みが連続的に続いている感じである。       

主治医が『摘出した石』を見せてくれた。→ひし形で取っ手のようなものがついており、『非常に珍しい形状』とのこと。

→ケースに入れて記念としてくれた。 ひし形で15mmから20mm。

                        摘出された胆石

お昼近くになって、起き上がってみた→最初はふらついたが、なんとか小用に行ってみた。       

痛みがあるので、"点滴台を押しながらうつむき加減でゆっくり"トイレに向かった。

情けない姿がトイレの前の洗面所の大きな鏡に映り、自分では若いつもりでもすっかり”おじさん”だなぁ、と実感。

でも、やはりオシッコは立ってすべきものなり!

連続的に点滴継続。→排尿の回数約4回/日、一日の量(1800cc位)を測定。

しかし、まだ便意がないので助かる。→今日はまだ『しゃがんだり、お尻を拭いたりは』無理。

ベッドに横になる時に、お腹の中に違和感がある。(腹部にガスが溜まってそれが移動している感 じ) もちろん、まだ傷の痕が

痛む。→痛み止めを飲むほどではない。       

寝返りもまだ不自由。       

肩こりが気になる。

やっと本を読む気になり、持参していた『鬼平犯科帳』を読み出す。

この『鬼平犯科帳』シリーズは、1〜24巻まであり私はすでに3回、読み終えている。

それでも、半年もして読み直すとまた熱中してしまう。

著者の池波正太郎さんの文章が好きで、この人の本は数多く読んでいる。

小説ではないが、『男の作法』というものもあり、出張時に持参することもある。

さて、話が横道にそれてしまった。       

就寝前に睡眠薬をお願いしたが、まだ水を飲めないので『注射』になるという。       

どうしても眠れない時にまたお願いすることにした。       

夜中に何度も目が覚めた。→同室の人のイビキが…・・ずいぶんと気になった。

H12年5月18日(木)       

早朝採血。       

今日は朝からお茶なら飲めることになった。食事は昼食から開始。(5分粥)       

継続的に点滴。       

昼食を食べたら、お腹のガスが動き回る感じで、なぜか冷や汗が出てきた。食べないほうがよかったのでは?。       

肩こりもひどいので、湿布薬を貼ってもらった。       

肩こりの原因は、手術中の不自然な体勢によるものだろうということだった。(看護婦さん)

ヘルパーさんに頼んで、9Fで『洗髪』。       

9Fはお年寄りばかり入院している。       

夕食も5分粥。食べた後はお昼と同じ"冷や汗"、肩こり治らず。 もはや腹の傷よりも肩こりのほうが不快である。

H12年5月19日(金)

今日は早朝採血なし。      

朝食も5分粥、昼食から全粥。      

点滴が断続となる。      

15時過ぎに会社からTさん、Eさん、Kさんがお見舞いにきてくれた。

H12年5月20日(土)      

朝は食パン1枚。      

点滴2本。      

お昼は普通食。 本日午後退院。      

荷物は家内と長女が車で運んでくれた。      

小雨の中、私は自転車で帰宅した。(入院のときは1人で自転車に乗ってきたので、置いて帰るわけにいかず)     

やはり、自宅が一番。

手術後の絶食のせいか、体重が入院時の67Kgから65Kgになっていた。

H12年5月23日(火)

通院、外来で抜糸してもらう。(少し痛かった)

実は前日に抜糸の予定であったが、主治医が傷を見てまだ早いと言うので今日になったもの。

くしゃみをするとまだ痛い。

明日から会社だ!!

私は毎年、花粉症がひどいが、この時期一息ついていたのでよかったと思う。

そうでなければ、最盛期の”くしゃみ10連発”の時期に手術でもしようものなら、堪え切れなかっただろう。

これをお読みの胆石症予備軍の皆さん、もし花粉症なら『手術時期はよ〜く考えて決めてね』。


ところで、腹部に2cmほどの穴を4箇所開けるだけで、80ccの容積を持つ切除した胆嚢(胆石を含む)はどこから取り出すのか疑問になり

手術前に主治医に聞きました。

笑いながら、『人間のからだは不思議なもので、小さな穴からでも相当なものまで取り出せるんですよ。』と。

ということは、患者の意識がないのをいいことに、”相当無理して引っ張り出すんだな”と思いました。

 


最近のニュースで、腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた患者さんが手術のミスで亡くなった、ということを聞きました。

小腸に傷をつけたのが原因だとのことですが、もし『このニュースを手術前に聞いていたら、手術しなかったかもしれない』と

思います。(不安になる!)

しかし、主治医のN医師はとても気さくな人で、手術前の説明やその後の摘出した胆嚢の病理検査結果についても

詳しく説明してくれました。

○○歳にもなると、信頼できる主治医を見つけておくことも必要なようです。

N医師(外科、消化器専門)にはまだ、私の肝臓のめんどうも見てもらわなくては困りますから!

 

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