氷柱を舐める少年
『氷柱を舐める少年』
1954年、井上孝治さんの作品です。(新聞掲載分をスキャニング)
もしかしたら私の少年時代の写真かもしれない。
私の記憶では、地方都市の百貨店ではまだ冷房設備がなく、夏季はフロアに大きな氷柱がいくつか置いてありました。
客は、その氷柱に触れたりしてわずかな涼を求めていたのです。
その時代では、ほとんどの家庭に冷蔵庫などは無く、夏に氷を見ると言うのは「かき氷」か「アイスキャンディ」だけでした。
この時代の貧しさが、いろいろな意味でよく表われた写真だと思います。
この少年の頭には、その頃の少年のほとんどがそうであったように「小さなハゲ」がいくつもあります。
栄養失調と衛生面が原因だったようです。
ついでに言えば、最近は「青っ鼻をたらした子」は見かけませんが、あれも栄養失調が原因だったようです。
私も、この写真のような『1枚でその時代背景を写し撮る』センスを身につけたいものです。
この写真をご覧になって、恐らく私と同年代かそれ以上の世代の方は、必ず「何かを感じた」と思います。