父ちゃんと母ちゃんのショート・ショート

 若いウチはかっこいい「恋人達」も、結婚し、やがて子供も大きくなってくると、ここに登場するような「父ちゃんと母ちゃん」になります。

 自分たちだけは、と、どんなに否定しても、まちがいなく、例外なく、このようになるのです。

 昔から言うではありませんか。

 「子供叱るな、自分の来た道。年寄り笑うな、自分の行く道」

 では、ほどほどに笑ってください。

父ちゃんの事例
母ちゃんの事例

給料は幕下、仕事量は大関、上司の厳しさは横綱             

仕事の速さと質は幕下、無駄口は大関、酒量は横綱           

身だしなみは幕下、口臭は大関、足の臭さは横綱             

健康管理は幕下、血圧は大関、血糖値は横綱

胸は幕下、腹は大関、尻は横綱                       

気立ては幕下、愚痴は大関、口応えは横綱                

挨拶は幕下、食欲は大関、いじわるは横綱               

料理は幕下、文句は大関、喧嘩は横綱                  

笑顔は幕下、冷たさは大関、厳しさは横綱                

顔は幕下、口の荒さは大関、態度の大きさは横綱

夫婦の会話                                    

「日曜日なのに雨が降って鬱陶しいなぁ」                   

「あんたも居るしなぁ」                              

会話が続かない、続けたくない?

小学生の頃、いつも「うちのママがね、」って言う女の子がいて

気に入らなかった。

ある時、ついに、「おまえの母ちゃんは、外人か」って言ってやった。

父ちゃんの自転車に「三角乗り」して、

鍋を持って"とうふ"を買いに行くかあちゃんを 「ママ!」

なんて呼んでも振り返らないだろうって思った。

なによりも、似合わない、と思った。

父ちゃん、ステテコ姿で、焼酎飲んでたし・・・・・

駅からの帰り道、腹部膨満感があり、車の通過に合わせて

「ぶーっ」とやったら微妙にタイミングがずれて、

横を歩いていた"お姉さん"が露骨に嫌な顔をした。   

他人にわからないように"おなら"をしたいのに、

反応が鈍くなって騒音に合わせられない。

母ちゃんの足が血豆だらけ、よく見たらペディキュアだった。      

外反母趾で、爪の廻りにもはみ出して、塗ってあった・・・・       

便所下駄(木のサンダル)に、ペディキュアは似合わない。

「風邪は万病の元だから気をつけないと」                  

「うちは、あんたが万病の元なのよ」                      

父ちゃんが諸悪の根源 頭が痛いのも、歯が痛いのも父ちゃんのせい  

胸焼け、胃が痛む、耳鳴りがする、鼻水が出る、  

肩が凝るのも原因は父ちゃん                         

肥満したのも父ちゃんのせい                          

食い過ぎたのも父ちゃんに対するストレスだ!

女は子供を産んだ頃から やさしさ、恥じらい、思いやりが

失われていくように思える。

その代わりに、強引さ、非常識、自己中心、大声、外股歩き等

多くのモノが身に付いてくる。

飲みに行って帰りが遅くなり翌朝、母ちゃんが小言を…・            

その時、母ちゃんの鼻毛が出ていたけど、教えてやらなかった…・・

バスに乗る時おばさんが割り込んできたので、

「むかつくなぁ」と言ったら 「おっさん、二日酔いかえ?」        

おばさんに対してむかつくこと自体が無駄と心得るべし。

夢に母ちゃんが出てきて、驚いて目を覚ましたら冷や汗をかいていた。    

「どうしたの?」と聞かれたが、「本当のことは言えなかった」。   

恐ろしい思いからやっと解放されたかと思ったら

もっと恐ろしい目にあった気分。   

お化け屋敷の出口が、入り口だったような気分?   

パラシュートで降りたところがワニの池だった?

おばさんは、電車のイスの16cmのスキマに、

60cmの幅のお尻をいとも簡単に押し込む。

一番端っこの痩せたおじさんが無言で立ち上がったことを

知っていながら・・・・                            

おばさんに対してむかつくこと自体が無駄と心得るべし。

毎月の給料の下四桁がこづかいの父ちゃんがいるそうな。        

端数がない月はどうしているんだろう?

最高でも9,999円・・・・・・   

最低は0円・・・・・・・・・・

隣の奥さんは、旦那のことは「あんた」と呼ぶが              

犬のことは「ころちゃ〜ん」と呼んでいる。                 

呼び方変化                                   

結婚前  加藤さん                              

新婚時代 健司さん                              

それから 健ちゃん                              

それから パパ                                 

それから お父さん                              

そして   あんた                               

さらに   ちょいと                               

「ちょいと、聞いてんの?」

コンビニで買い物しても釣り銭は確認しないけど、

母ちゃんからもらう小遣いはついつい枚数を数えてしまう人、

って多いと思うけど。

夫婦の会話                                  

「猫はカネもないくせにのんびりしていていいなぁ」            

「猫の家来になったら」

ある休日、父ちゃんの通勤用の革靴が玄関ドアにはさんであった。    

こういう事でしか、家庭内の風通しをよくすることが出来ない父ちゃんって・・・

車に乗ったら、シートベルトの差し込み口がない。            

よく見たら隣に座った女房が自分のを差していた!           

自分の差し込み口は尻の下に敷いていた。                

何でもかんでも自分の尻に敷いてしまう。                 

父ちゃんをはじめ、森羅万象あらゆるものを…・・

子供に漢字の読み方を聞かれて教えたら、辞書で調べていた…・

デパートの試着室でズボンを穿いてみようとパンツ姿の時        

知らんおばさんが、カーテンをがばっと開けて、              

「うちのとうちゃん、どこにいったんだろう」と そのまま行ってしまった。  

カーテン開けられパンツ姿を見られた父ちゃんはどうするの?     

おばさんは謝らない。                            

いなくなった旦那が悪いと思っているから謝らない。           

おばさんに対してむかつくこと自体が無駄と心得るべし。

水泳の苦手な父ちゃんは、人生でも流されている…・・

背中がかゆい時、

誰も掻いてくれないので家の柱に背中を押しつけて

掻いていた父ちゃん、                             

「柱が汚れる!」と母ちゃんの一声。

パンツを半額で売っていたので喜んでたくさん買って帰ったら、

子供用だった。

バーゲンだったので、"返品お断り"だった。

スーパーのレジのそばに

「お使いになったカゴやカートは家まで持って帰らないでください」

と書いてあった。

父ちゃんが熱を出したので、「熱冷まシート」を貼ってあげたけど

1枚で足りなかった…・                                 

なぜ"おでこ"は広くなる?                           

原因その@生え際前線が後退する                      

原因そのA眉毛が下がる                            

人間の場合の生え際前線は、喩えて言うなら、

殺人現場に張られた立入禁止のロープのようなもの。        

ここから上が頭、ここから下が顔・・・・・国境線のようなもの。   

それがなくなると、いろいろと不都合が生じる可能性がある。   

毎朝、顔を洗う時、どこまで洗ったらいいのか、悩んでしまう。  

だから、父ちゃんたちは慌てる。                    

生え際前線がなくなる頃、シャンプーと床屋代が要らなくなる。  

嬉しくもあり、悲しくもあり。 人生悲喜こもごも・・・・・・

冬の朝、母ちゃんが持たせてくれた袋を何度も振ったけど

暖かくならなかった。                            

よく見たら、コーンスープの袋だった。

テレビを見ていて 「家庭っていいなぁ」                     

「あんたは、家族はいても家庭がないからねぇ」               

父ちゃんは家庭でも邪魔な存在                        

父ちゃんは、家庭の楽しいひとときに水をさす存在なんやね。       

父ちゃんは、家庭の「水差し」です。

母ちゃんの座右の銘                          

損せず得取れ                                 

釣(銭)も積れば山となる                           

エビでタイを釣る                                

棚からぼた餅                                  

果報は寝て待て                                

笑う門には福来たる

「今から帰る、風呂沸かしとけ」                         

帰ったら 風呂の水は抜かれ、電気は消され真っ暗、           

誰もいない。

仕事中に母ちゃんからメールで、「今日の晩ご飯はいるの?」     

買い物の都合があると思い早く返事しようと電話したら          

「なんで電話してくるの?声を聞きたくなかったからメールしたのに!」

いつも帰りが遅いと文句を言う女房も娘も、

久しぶりで早く帰った今日はいなかった。

今日は父ちゃんの誕生日なのに。

居間でラーメンをすする音が聞こえたので、                  

「俺も〜っ」って行ってみたら 母ちゃんが鼻水をすする音だった。

デパートで母ちゃんが買い物に夢中になっていなくなった。        

必死になって店中探していたら、館内放送で呼び出された。       

母ちゃんから見ればつないでいたロバが見えなくなったようなもの。  

黙って荷物を運ぶよう連れてこられただけ、                 

それがいなくなったのだから母ちゃんも帰る時困るから探すわけ。    

案内所に行ったら、店員の前で叱られるんよ!               

罵倒っていうのが正しいのかな?                       

もっと優しい人に飼われたかったろうなぁ、ろばの父ちゃん。

母ちゃんが鏡を見ながら                     

「近頃、化粧のノリが悪くなって"女の下り坂"に来たのかなぁ」と。  

一回でも、登り切った頃があったのだろうか?

若い頃は魔術にかけられていたことを知らずに、二人の心が通じていた、と思っていた。                                       

その魔術は子供が生まれた時に解けた。                                                                  

その頃から、二人の話は通じなくなった。                                                                  

そのために子供という天使が通訳としてやってきた。                                                            

いまは子供が通訳をしないと心と心どころか意思が通じない。                                                      

「子は鎹(かすがい)」

頭を冷やすと怒りがおさまるのだろうか。

おさまらないけど、心がぬくもると怒りはほとんどおさまる。

どうしたら、心がぬくもるか それはお金。

ふところがぬくもると、こころもぬくもる。

こころはふところである。

母はおふくろだが、妻はふところだ

世の中、優しい心があれば争いは起こらない。

母ちゃんの優しい心は、ある朝、突然なくなったのだ。

父ちゃんのせいだ。

「父ちゃんと出合ったあのころに戻りたい」と母ちゃん。

「若え頃のワシを、もいっぺん見たいのか? うん? そうじゃろ?」

「いいや、その場で断りたい」

母ちゃんがカレーを作りながら 「あー、失敗した、失敗した」と言っていたので

「そんなことはない、旨いぞ」と言ったら

「違うのよ、あんたと結婚したのが失敗したのよ!」

 

 

ここでは、「なしか」さんの話題も引用しています。

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