と、たのんでみました。少年は最初はいやがったけれど吹いてくれました。徐々にピンクのうさぎは落ち着いてきました。ピンクのうさぎは少年を自分のオルガンのところへ連れていきました。そしてピンクのうさぎのオルガンと、少年のハーモニカで合奏しました。少年は、ピンクのうさぎのオルガンがボロボロなのを見て、

 「君のオルガンは何でそんなにボロボロなの?」

と、きいたので、ピンクのうさぎは正直に落第生だから音楽の国からボロボロなオルガンしか与えられていないとこたえました。そして昼間、ピンクのうさぎが作ったキーがCの曲の楽譜を少年にわたしました。

 「……それじゃ、またあした!!」

と言って、この日は終わりにしました。

 朝が来ました。ピンクのうさぎは、これじゃあ音楽を教えたっていうより、ただ、いっしょに練習しただけじゃないか、と思いました。今では「大先生だよ!」なんて浮かれてたときのことがなつかしくさえ感じられました。それに「おいらは落第生だ」といってしまったことにすごく後悔しました。そんなこといったら、もう今夜からあの子はおいらをムシしてしまうかもしれない。あ〜あ、そうしたらどうしようと心配しました。でも、あれはあれでよかったのかもしれない…と考えなおしました。どだい、おいらには教えるなんて10年早かったんだ!あの子といっしょに練習すればそれでいいじゃないか、と思うようになりました。けれど、わたした楽譜の曲を練習してくれるかどうか、心配でした。あとで、あの子のようすを見てこようと思いました。

 ピンクのうさぎは今夜の準備にとりかかりました。国立図書館へ行き、きのうと同じように楽譜を用意しました。今度はキーがFの曲を選びました。楽譜をコピーして、譜面の下にタブ譜を書き込みました。曲のキーがFなので”移動ド”をしてタブ譜を書きました。これがなかなか複雑な作業で、はじめのうちはてまどってしまいました。終わりの方に近づくにつれて慣れてきました。

 やっとのおもいでタブ譜を書き終えて、一息ついていると黄色いフクロウ先生がやってきました。

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