夜になり、現実の世界の少年は眠りました。ピンクのうさぎは少年のところに行って、黄色いフクロウ先生からもらったとんがり帽子の先を少年の方に向けました。帽子は光りませんでした。少年はまだ夢をみていないようです。ピンクのうさぎはとんがり帽子を持ったまま待ちました。待っているとだんだん胸がドキドキしてきました。

 「やっぱりおいらなんかに音楽を教えるなんてできるのかしら?大先生なんてウソついたってすぐにばれちゃうよな…ああ、どうしよう、なんて話しかけたらいいんだろう?ここでやめて帰ったら黄色いフクロウ先生におこられるし…」

どうしよう、どうしようと考えれば考えるほど、ドキドキしてきました。もう頭の中はまっ白…。帽子を持つ手は汗でびっしょり…。胸のドキドキは頭のてっぺんの耳にまで伝わってきました。

 とんがり帽子が光りだしました。ピンクのうさぎは持っていた帽子をかぶりました。まずはせき払いをするんだったと思い出して、わざとせき払いをしようとしたけれど、

 「エッヘン、ア゛ー、ゴホゴホゴホ…」

と、本当にむせてしまいました。眠っている少年に、なんて呼びかけたらいいか?わからなくなってしまいました…。    

 …つづく

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