そこで、ピンクのうさぎは音楽の国の国立図書館へ、ハーモニカのことを調べに行きました。図書館にある楽器大辞典の”ハーモニカ”のページを開くと、ハーモニカの写真や説明がのっていました。長いアンサンブルハーモニカや小さなシングル、レバーが付いたスライドクロマチックといろいろあります。ピンクのうさぎは、楽器大辞典をながめながら、ハーモニカっていろんなのがあるんだ、と思いました。さっきみてきた少年が吹いていたハーモニカはちっちゃくて穴が10ヶあいているテンホールズと呼ばれているものだとわかりました。
「へ〜、こんなに小さくてなんだか楽器っていうよりおもちゃって感じだなあ」
と、ピンクのうさぎは思わずつぶやきました。それからハーモニカを吹くには、楽譜といっしょにタブ譜があると便利なことがわかりました。ピンクのうさぎは、音楽を教えるってどうすればいいんだろうか?とりあえず今夜はさっきあの子が練習していた曲をオルガンでいっしょに練習すればいいや、でも明日は?と思いました。そこで楽譜の棚のところへ行きました。
「確かあの子が持っていたハーモニカのキーはCだったぞ」
キーがCの曲の楽譜を一曲選び出してそれをコピーしました。コピーした楽譜の余白にハーモニカ用のタブ譜をふっていきました。
「これで準備はととのったぞ!それにしてもおいらが先生だなんてちょっとカッコいいなあ!そうだ…あの子にあったらまずなんていおうかな、最初がかんじんだぞ!!バカにされちゃあいけないからね」
と、ピンクのうさぎははじめに話しかけるときのセリフを考えました。
「まずは起こさなきゃならないのか、そうだなあ、せき払いでもして『エヘン、エヘン、なあ、起きてくれたまえ!おいらは音楽の国からやってきた大先生だよ!!これから君に音楽というものをとくべつにお教えてあげよう!!』な〜んてね、すごくカッコいいや、エヘヘヘ…」
ピンクのうさぎは本当は落ちこぼれなのに、このときはえらい先生になったような気分でうすら笑いを浮かべていました。
「おい!ピンクのうさぎ!なにをにやけているんだ?」
ピンクのうさぎは黄色いフクロウ先生がそばにやってきたことにまったく気がつきませんでした。