「黄色いフクロウ先生!音楽ってこんなにも楽しいものだったんですねえ!!」
と、さけぶようにいいました。
「そうか、そのことにやっと気が付いてくれたか?そうだよ、音楽とは楽しいもんだ。ときには心をなごませてくれる。だからといって楽しまなければならないっていうこともないが、楽しむっていうのはふざけるっていうのとはちがうからね!楽しいときには楽しまなくちゃな!お前は今まで発表会で何度も失敗しているあいだに、いつしか音楽を楽しむことを忘れてしまって、音楽をおごそかだとかきれいだとか、何か音楽にたいしてかまえてしまうことが多くなってしまった。それがすべて悪いっていうんじゃないが…もっと楽しんだ方がいい!演奏する方が楽しめばそれだけ聴く方も楽しくなるというもんだ。発表会で演奏するときには楽しめれば楽しい方がいいに決まっている。そうはいってもなかなかできることじゃながね…でも今度の発表会はなんとかなりそうじゃないか?」
「はい!」
「それでこそあの少年のところへ教えにいったかいがあったというものだ」
数日がすぎて、ピンクのうさぎが図書館でF♯の曲の楽譜にタブ譜をふり終わって、発表会の練習をしようと思ったときでした。ピンクのうさぎは今度の発表会でオルガンの腕前を音楽の国のえらい先生に認められたら、その先生のもとで猛練習しなくてはならなくなる。もしもそうなったら、現実の世界の少年といっしょに練習することができなくなってしまう!あの子と別れなくては…。そう思うと、発表会の練習にみが入らなくなってしまいました。だって、少年との練習は楽しくて楽しくて…。そこでまた、黄色いフクロウ先生のところへ行って、そのことを話しました。黄色いフクロウ先生は、
「それは仕方のないことだよ。ところで、お前の最大の目標はなんだったんだ?」
とたずねました。