「おいらが教える?なにを?」

 「決まっているだろう。音楽を教えるんだ!ちょうど数日前にお母さんからハーモニカを買ってもらった少年がいる。その子に教えるんだ」

 「少年って、現実の世界の子ですか?」

 「そうだよ」

 「ここ、音楽の国の動物は現実の世界の人と話すことすらできないんじゃないんですか?」

 「その通り。現実の世界の人は音楽の国のことはまったく知らないし、現実の世界ではわれわれのすがたを見ることすらできん。だから現実の世界の少年を音楽の国に引き込まらなくてはならない。こちらに引き込んでくるには、あの子が眠って夢をみる必要がある。そこでだ、この帽子が役に立つ…」

と、黄色いフクロウ先生はト音記号の模様のとんがり帽子を持ってきました。

 「この帽子のとんがった方を現実の世界の寝ている人に向けると、その人が夢をみているかどうかわかるようになっているんだ。夢をみていれば帽子が光る仕組みになっておる。なんでも眠っている人の脳波が”ステージレム”になると夢をみていることが多いそうで、それでこの帽子がステージレムを感知したら、光るそうだ。くわしいことは私にもよくわからんがね…つまり、この帽子の先を眠っている少年に向けて帽子が光るのを待って、光りだしたらお前が夢の世界に入り込んで少年を起こして音楽の国に引き込めばいいんだ。夢の世界というのは、現実の世界とこことの架け橋みたいなものということになるな」

 

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