漁師を助けたペンギン

 面白みが少なくてまとまりのないおはなし。実はこのおはなしは、昨年の11月に書き上げていました。前半のマイルカ君とアデリー君のやりとりは、ウケをねらいにいきすぎて、にっちもさっちもいかなくなってしまいました。この部分を削除しようか?どうしようか?最後まで迷いました。それから全般的に読む人によっては一線を越えてしまった感のあるおはなしなので、3ヶ月ほど放置していましたが、変わり様がないのでホームページにのせました。ペンギンものがたりに関しては、ウケねらいに走るよりも、出来る限りほのぼの感を殺さないようにしていきたいと思います。次回に期待!ということで…。

 人口爆発とそれに伴った食糧危機の問題を取りあげました。(だんだん童話にするには無理があるテーマをとりあげなくてはならなくなってきました)フンボルト海流(ペルー海流)を泳ぐフンボルトペンギンのエサであるアンチョビーの乱獲によって、フンボルトペンギンの個体数が減少してきています。またほかの人為的な理由でフンボルトペンギンは絶滅危惧種になっています。ホントはかわいそうなフンボルトさんなのです。マゼランペンギンは底引き網などの漁網に引っかかってでき死してしまう事故が発生しているとのことです。

 それにしてもおおらかに穏やかに生きてゆきたいものです。

 

ホタルを呼んだペンギン

 ビオトープとはドイツ語で、植物と動物の豊かな自然環境全体を意味する言葉です。(村上光正 編 環境用水浄化実例集 パワー社)木炭で工場排水をろ過して排水を浄化するということは、昔私が実際にとある工場で実施しました。かなりの浄化効果があったと記憶しています。木炭による浄化作用は木炭の吸着効果と木炭の表面にできる生物膜によるものが考えられます。ろ材(木炭)を定期的に洗浄しないと藻などがろ材表面に発生して悪臭をはなち、浄化効果も落ちます。ろ材をデッキブラシでこすったり、高圧の放水で洗浄したりするのに苦労しました。

 ホタルに適した水質は農薬や洗剤などの化学物質による汚染がなければそんなに”清流”である必要はないようです。溶存酸素量が飽和であることが必要であるということです。(杉山恵一・進士五十八 編 自然環境復元の技術 朝倉書店)

 

うまい酒を造ったペンギン

 トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの有機塩素系化合物による土壌汚染・地下水汚染を題材にしたお話。(と同時に廃棄物の不法投棄の問題にもチラッと触れていますかね?…結果的に…)フンボルトさんが持っている機械で原因物質を特定し、解決します。フンボルトさんの機械はガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)をイメージして描きました。この測定器は主に非金属の有機化合物を定性・定量するのに利用されます。(金属の定性・定量には誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)が使われます。)一昔前には、質量分析計は、かなり良いお家(童話のおうちではない!)が 一軒建ってしまうほどの高価な機械だそうで、フンボルトさんが貸し渋るのはもっともなことだと思います。地下水を汚染したトリクロロエチレンなどを取り除くには本編に出てくるように、汚染した地下水を曝気して活性炭に吸着させたり加熱分解させたりして処理します。それにしても、ダジャレネタの次は酒ネタなんて、私ってオヤジだなあ!

犬と仲良くなったペンギン

 移入種の問題を採り上げたつもりです。移入種とは、他の地域から本来の野生生物が持つ移動能力をはるかに超えて意図的・非意図的に移動・移入した種(環境白書より)をいいます。日本ではセイヨウタンポポやブラックバス、タイリクバラタナゴなどが問題になっています。移入種には食用(ブラックバス・ブルーギルなど)として北米から持ち込まれたものや、害獣などを駆除する目的でそれらの天敵として移入されたものがあります。海外からペットとして輸入されたものが、国内で飼育中に逃げ出したり、捨てられたりして野生化しているケースが最近では増えているということです。本編では、イワトビ君が犬のシロを生まれ故郷の日本に返します。野生生物も人間も生まれ故郷もしくは住み慣れたところで、一生過ごしたいものです。(なかなかそうはいきませんが…)


枝打ちをしたペンギン

 枝打ちロボットは、今世紀ガラパゴス博士の発明品ではなくて、実は前世紀(20世紀)に人間が発明していました。森林の保水力というのは森林の下草に依存しているのでヒノキ林では本編にあるように枝打ち作業が必要です。スギ林は下のほうの枝は自然に枯れおちるので、枝打ちは絶対に必要というわけではないようです。それにもともと自然林は人間による保護はあまり必要ではなく、放って置いたほうがよい場合が多いのです。ただし、植生はどんどん遷移していきますが…。人工林では育てた木を木材として我々人間が利用するので植生が変化しては困るので、世話が必要となります。また、人工林は自然林と比べて、台風などの災害に弱いといわれています。(参考:河津千代著『だれが山を守るのか』リブリオ出版)

マフラーをもらったペンギン

 砂漠化の人為的な原因は、家畜の過放牧や土壌の塩類集積などが挙げられます。家畜の過放牧は、植物が成長する前に家畜がそれを食べつくしてしまうために砂漠化が起こります。土壌の塩類集積は、灌漑農業などで流れ込む水に含まれる塩がたまってしてしまい作物が育たない土地になってしまう。また根の浅い植物を植えると、以前よりも地下水位が高くなり毛細管現象によって塩分を含んだ水の上昇が起こる。その結果、砂漠化が起こるというものです。このような土地を緑化するには、耐塩性・耐乾性植物を植えて土壌の塩類を薄めて、それから牧草などの農作物を植えるという二段階の方法があります。しかし耐塩性・耐乾性植物が勢力を拡大しすぎて周囲の森林に侵入し、問題になっているケースもあるということです。(参考:根本正之『砂漠化する地球の診断』小峰書店)

銅像をたてたペンギン

 一年以上前にかいた酸性雨と光化学スモッグのお話。面白みの少ないお話。どだい、喜望峰には酸性雨は降らないしガラパゴス博士のとこでは光化学スモッグも起こらないので、はじめから無理のあるお話。酸性雨は専ら、ヨーロッパや北米、中国や日本などの東アジアの地域で問題となっています。光化学スモッグは大都市圏で発生しています。もしも南アフリカで酸性雨が降ったり、ガラパゴス諸島で光化学スモッグが問題になるようになったりしたら、人類も終わりに近いのかもしれません。
  三角のペンギン印の小旗は、炭化水素・一酸化炭素・窒素酸化物の3成分を分解することができる三元触媒をイメージしてえがきました。ケープペンギン君が銅像に立てかけたかさは、光触媒を参考にしています。光化学スモッグは炭化水素や窒素酸化物が紫外線などによってPANなどの酸化力の強い有害な物質(光化学オキシダント)が生成することです。光触媒は大気中の窒素酸化物などを捕捉し、日光の力を借りて分解します。いつの日か、ハイブリットカーや燃料電池車などの低公害車にペンギン印の三角の小旗がひるがえることを夢見て…そんなことは夢のまた夢でしょうか?
 行き詰まった時のフンボルトさん、困ったときのフンボルトさん、というように(そんなことを言っているのは私だけ)その頼みの綱のフンボルトさんもこのお話では効果的に働いていません。それにしてもフンボルトさんがいなかったら、解決できなかったお話が今までいくつあったことか?少しフンボルトさんに頼りすぎのきらいがあるのでは?ひょっとしたら私の理想の女性像がフンボルトさんだったりして?三十過ぎの独身男の筆者が、理想のタイプがフンボルトさんっていうのは、なにか私の人生、誤った方向に突き進んでいるようで不安なのですが…。(参考:片岡正光・竹内浩士共著『酸性雨と大気汚染』三共出版)

『お見送りをしたペンギン』

 ペンギン物語、20話めにしてはじめて死者(クジラですが…)を出してしまいました。しかもハッピーエンドじゃない!食物連鎖とクジラ問題をテーマに採り上げました。次回のお話(続編?)に期待!ということで…。

 クジラの集団座礁の原因はサメやシャチなどの天敵に追われて浜辺に乗り上げてしまった説や、反対に魚などのえさを追いかけているうちに上陸してしまった説、寄生虫によって感覚器が破壊されてしまった、若しくは地磁気の乱れによって座礁した説など、いろいろなものがあります。しかし本当のところはまだわかっていないようです。

シロナガスクジラやセミクジラ、それにホッキョククジラは減少しているが、ミンククジラは増加傾向にあるようです。アメリカ西海岸のコククジラは乱獲によって一時は減少したが、その後保護され現在では増えすぎているということです。(参考:小松正之著『クジラと日本人』青春出版社、森下丈二著『なぜクジラは座礁するのか?』河出書房新社、宮崎信之監修、ネイチャー・プロ編集室『クジラの謎・イルカの秘密100100答』河出書房新社、山村司、笠松不二男著『ここまでわかったイルカとクジラ』講談社)


『オキアミを食べたペンギン』

お見送りをした…の続きのお話。前回に続いて食物連鎖をテーマのひとつに採り上げました。このお話は、宮沢賢治著の『よだかの星』、『二十六夜』、『なめとこ山の熊』、『フランドン農学校の豚』に対する筆者なりのひとつの答えである、と自負しています。

もうひとつのテーマは共生。共生とは、異なった生物が双方または片方が利益を受ける共同生活をいいます。共生は一般的に双利共生と片利共生とにわけられ、双利共生とは双方が利益を受け合い、片利共生とは片方の生物だけが利益を受けてもう片方には利害がない関係をいいます。環境問題では、人間あるいは文明と自然環境との共生が唱えられています。この問題についてはまた後日…ということで…。(参考:井上嘉則著『環境基本用語辞典』オーム社、文英堂編集部編『要点がわかる生物』文英堂)

 

木材を作ったペンギン

ダイオキシン類とは一般に、ポリクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)、ポリクロロジベンゾフラン(PCDFs)、コプラナーポリ塩化ビフェニル(Coplanar-PCB)の総称です。ダイオキシン類はこれまで、昭和43年に起きたカネミ油症事件や、ベトナム戦争時に使われた枯葉剤(オレンジ剤)に不純物として含まれていたもの、イタリアのセベソで昭和51年に発生した農薬工場の爆発事故などで問題を引き起こしてきました。 毒性はしっしん、塩素座そうなどの皮膚障害、肝臓肥大などの内臓障害があり、そのほかホルモン異常や発がん性、催奇形性などが疑われています。生成機構は化学的合成やデノボ合成(低温での炭素からの合成)、燃焼過程での生成などが挙げられます。

リグニンは普通の草木や紙に含まれている物質であり、塩素源があれば熱分解反応によってダイオキシン類が発生します。またリグニンは本文にあるように再生木材を作り出すことができます。それは木材とはいっても質感はプラスチックに近く、通常の木よりも強度があるということです。(参考:公害防止の技術と法規 編集委員会編『公害防止の技術と法規 ダイオキシン類編』丸善、武末高裕著『環境リサイクル技術のしくみ』日本実業出版社)

 

『待つことにしたペンギン』

 放射線、原子力、核問題にまつわるお話。放射線や放射能はチェルノブイリの原発事故や原爆などのようにヒトに発ガンや脱毛などの障害の原因になります。その反面、ごく微量の放射線(天然の放射線の倍くらいの量)はヒトなどの生物に成長促進や免疫力の増進をもたらしてくれます。本編にあるように地球上の生命は自然の放射線をあびながら進化してきた側面があるのです。

 世界中の海には原子力潜水艦の事故などによって、多数の原子炉や少なくとも46基以上の核弾頭が散在しています。(ピーター・ハクソーゼン著『K-19』より)日本では原発の立地や事故の問題が大きく採り上げられますが、世界中の海底に散在している核弾頭や原子炉のことはあまり話題になることがないような気がします。もちろん、原発で事故が起これば問題ですが、過剰反応といった感じもします。

 

『神の子と対決したペンギン』

 エルニーニョとはスペイン語で“男の子”とか“神の子・イエスキリスト”を意味する言葉です。エルニーニョ現象とは東太平洋赤道海域の海水温度が基準値よりも高くなることをいいます。反対に基準値よりも海水温度が低くなる場合をラニーニャ現象といいます。因みにラニーニャは“女の子”を意味します。エルニーニョは、もともとはペルー沖の海水温度がクリスマス頃に上がる季節変動を指していました。
 ウォーカー循環は、赤道付近の大気の流れ(循環)をいいます。インド気象局長官だったウォーカーが70年前に発見しています。まさに“インド人もびっくり”だったに違いないでしょう。このウォーカー循環が小さく、弱くなるとエルニーニョ現象が発生します。エルニーニョ現象が発生するとペルー沖のアンチョビー(カタクチイワシ)が減少します。それをえさにしているフンボルトペンギンにとってはエルニーニョ現象の発生が直接、死活問題となります。またガラパゴスペンギンはエルニーニョ現象が産卵に影響し、こちらも大打撃を受けることになります。日本ではエルニーニョ現象というと冷夏を引き起こすといった異常気象がよく取りざたされますが、地球の裏側ではペンギンたちが愁い目にあっています。フンボルトさんがエルニーニョ現象を食い止めたかったのもうなずけます。いずれにしても昔から、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も数年に一度発生する自然現象のひとつなのです。(参考:佐伯理郎著『エルニーニョ現象を学ぶ』成山堂書店、気候影響・利用研究会編『エルニーニョと地球環境』成山堂書店)
 ペルチェ素子(ペルチェ効果)について。ペルチェ効果とは2種類の金属で閉回路を作り、それに電気を流すと片方の金属では発熱しもう一方の金属では吸熱(冷却)することをいいます。ペルチェ効果はフランス人科学者ペルチェによって発見され、ペルチェ素子は電子冷蔵・冷凍庫に応用されています。

 

 

日本に飛んできたペンギン

  湿地保護のおはなし。世界の湿地・湿原はラムサール条約によって保護されています。ラムサール条約は1971年イラン・カスピ海沿岸の街、ラムサールの地で作成されました。正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と、いうのだそうです。日本ではこの条約によって釧路湿原、谷津干潟(千葉)、琵琶湖などが登録され、保護されています。保護される背景には、日本、韓国、中国の干潟が埋め立てなどによって壊され、それによって渡り鳥のシギ・チドリ類が激減している現実があるからだそうです。ラムサール条約などの保護活動があるかと思えば、その条約が作成された隣の国では戦争だ、テロだ、といった破壊活動が行われています。人間社会の矛盾を感じてしまうのは私だけでしょうか???(参考:石川勉著『谷津干潟を楽しむ・干潟の鳥ウォッチング』文一総合出版、辻井達一・中須賀常雄・諸喜田茂充著『湿原生態系』講談社、井上嘉則著『環境基本用語辞典』、丸山尚敏・中嶋吉男・小林徳夫著『野外観察図鑑2植物』旺文社)

 

花を咲かせたペンギン

  ソメイヨシノ寿命60年説のお話。ソメイヨシノはエドヒガンという桜とオオシマザクラという桜との雑種でいわゆる人工的に殖やした園芸種です。弘前城公園のソメイヨシノも上野公園のソメイヨシノも小金井公園のソメイヨシノも大阪造幣局のソメイヨシノもあなたの近所に植えられているソメイヨシノも、すべてそれがソメイヨシノであるならば遺伝的形質がまったく同じクローンです。それらのうちの多くが終戦後まもないころに植えられたといいます。さらに日本国内に植えられている桜のうち八割がソメイヨシノだということです。ソメイヨシノの寿命が60年だとすると西暦2005年が戦後60年目ということで、これから日本に生えている桜の殆どが衰退していってしまうことが予想されます。桜は忌地現象といってひとつの種類の植物が長く育った場所では同じ種類の植物は育ちにくい性質があります。桜が枯れてしまったからといって同じ場所に桜を植えてもそれは育たないということです。つまり、現在桜の名所と謳われているところは、5年先・10年先には消滅している恐れがあるのです!それをなんとかくい止めようと動き出したのが弘前城公園の試みです。桜はりんごと同じバラ科の植物で、りんごの木の管理方法を桜(ソメイヨシノ)に適用したところ桜が延命しているとのことです。

  それにしても、ねがわくは…ねがわくは…

ねがわくは、花のもとにて春死なむ、その如月の望月のころ

(西行法師)

の、心境です!(参考:平塚昌人著『サクラを救え』文藝春秋、美しい日本の常識を再発見する会編『日本人は桜のことを何も知らない。』学研、田中秀明監修『桜進行と日本人』青春出版社、盛琴恵著『弘前さくらものがたり』社団法人弘前観光協会)

 

パパになったペンギン

  野生のコアラは毎年4000匹程度が車や、人間が連れてきた犬の被害にあっているということです。(オーストラリア・コアラ基金のHPより)コガタペンギン、マゼランペンギン、フィヨルドランドペンギン(ビクトリアペンギン)なども人間との交通事故が増えているそうです。フィリップス島ではコガタペンギンの生息地を買い取って交通規制を行い、コガタペンギンの捕獲動物を捕獲するという、一種のナショナルトラストをしているところもあります。その一方でカンガルー島では保護されたコアラが増えすぎてしまい、コアラがユーカリの木の食害を起こし、2万匹のコアラを駆除しようとしている地域もあります。(読売新聞より)野生動物と人間(文明社会)の共存は非常に難しいように考えられます。野生動物を保護したければ、あえて人間は何もしない、ほうって置くのが一番なのかもしれません。(参考:藤原幸一著『ペンギンガイドブック』TBSブリタニカ)

 

おはなしを聞いたペンギン

 構想に2年間以上を費やしたおはなし。そのわりに報われていないおはなし?オー・ヘンリーにうらみつらみはありませんが、前半の『賢者の贈り物』のパロディーが決め手となったおはなし。オー・ヘンリーも日本のかたすみで自身の作品がこんな風に取り扱われるとは思ってもみなかったでしょう。

 それは兎も角、文明と環境をテーマにしたおはなし。人類は四大文明に始まり?世界各地で様々な文明を築き上げてきました。それは世界各地に散らばっている古代の遺跡が物語るところです。それらの文明はいずれも何らかの形で滅びています。文明が滅びていった原因のひとつに資源の枯渇が挙げられます。本文でジンベイザメのおじいさんが語っているようにイースター島の例がまさにそれです。とはいえ、人類は500万年もの間、地球上を闊歩してきたわけで、文明が滅んでも、人類は生き残っていくことでしょう?現代文明の恩恵を存分に享受している筆者がこんなことを書いてもなんの説得力もないかもしれませんが…。(参考:オー・ヘンリー著『賢者の贈り物』、安田善憲著『環境考古学のすすめ』丸善ライブラリー、石弘之、安田善憲、湯浅赳男著『環境と文明の世界史』、ハイエルダール著神宮輝夫訳『コンチキ号漂流記』偕成社文庫、鈴木篤夫著『イースター島の悲劇』新評論、『学校では教えてくれない失われた文明の謎』学研、藤沢晃治著『「分かりやすい文章」の技術』講談社)

 

歌をうたったペンギン

 ジュゴンとそれをとりまく環境のおはなし。ジュゴンはアマモと呼ばれる海草を好んで食べます。土木工事などによって、赤土が海草藻場に流れ込んでくると、海草は光合成ができず枯れてしまいます。絶滅危惧種に指定されているジュゴンですが、その原因は人間の開発による藻場の減少や、定置網などによる事故が挙げられます。40年くらい前の沖縄では、畑に「イーフ」と呼ばれる溜め池を作りそこに表土が流れ込むようにしていました。そしてそこに溜まった土を元の畑に返していました。これを「イーフ返し」と呼んでいました。イーフ返しによって藻場を守りサンゴ礁を守って結果的にジュゴンも保護されていたと考えられます。人間も生態系の中の一員であるということを再認識する必要があるのではないでしょうか?

 流れ星の観測装置は適当なアンテナと受信機があればできるそうです。(参考:吉嶺全二著『沖縄海は泣いている』高文研、真鍋和子著『ジュゴンはなぜ死ななければならなかったのか』金の星社)

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