『オアシスだより第8号発行にあたり』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 平成十一年度がスタ−トしてからすでに三カ月が経過いたしました。

 本年度も多数の方が、ご継続戴き深く感謝いたしております。
平成十一年六月三十日現在の会員数は七十六名です。
今年度も会員の皆様の声を聞きながら、より良い活動を目指していきたいと考えております。

 六月十一日〜十三日の第四十八回全日本鍼灸学会の通 知を皆様にさせていただきましたが、今後も「オアシス通信」としてタイムリーに情報をお届けしたいと思っております。


■ 目 次 ■
 ‥‥……第8回 耳鍼法(古くて新しい治療法)……‥‥
 ‥‥……第八話 弘法の灸……‥‥
 ‥‥……その8 目について……‥‥

 ‥‥……Part7 子供の嘔吐……‥‥

 ‥‥……新連載 数値1 血圧について……‥‥

 ‥‥……知識(4)赤いのウンコ……‥‥
◆お知らせ◆ 調布DE子育て2 

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 第8回 『耳鍼法(古くて新しい治療法)』  文責 今田開久

 東洋医学では、顔、手や足に全身と関係がある場所があると考えています。
また、耳にも全身を投影する部分があり、その場所を刺激して治療をする方法があります。痩身などで話題になったのが耳鍼法です。

 この治療法は鍼灸医学の中で、西洋医学と東洋医学の合わさった古くて新しい治療法の一つです。

 古くとは、耳と身体の関係について、東洋の古い文献『黄帝内経』(紀元前400〜200年)の中に、耳は独立した器官ではなく全身各部と密接な関係があると記載があります。

 西洋ではヒポクラテスの書に「坐骨神経痛を治療するのに、耳背の静脈を切るかまたは焼灼すると有効である」とあります。
このように、耳介刺激で病気を治療しようとすることは、東西ともに古くからあったようです。

 新しいとは、1951年にフランスの医師P.ノジェが女性の耳に2mm四方の火傷を発見したのがきっかけとなって、古来の経験医法を西洋医学的に探求し臨床応用しながら今日の耳鍼法を生んだのです。
1956年以降、中国ではP.ノジェの理論を輸入して耳鍼麻酔にまで展開され現在に至っています。

 耳鍼法と言うと、「耳ツボ痩身法」を思い浮かべる人が多いと思いますが、耳鍼の効果 はそれだけではありません。
新しい治療法なので、しっかりしたデータはありませんが、耳は身体の縮図的構造と相似性があることから、耳全体を一つの身体として、身体全体の不調について治療しようとする方法なのです。

 日本では、痩身の為に耳鍼をすることが多いようですが、アメリカからは、麻薬患者の症状緩和に役立っているとの報告もあります。

 家庭では、耳のツボにこだわらず耳全体を指でマッサージをすことにより、全身マッサージの簡易な代用となって、身体が軽くなる手軽な健康法となるでしょう。
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 第8話 『弘法の灸』   文責 眞野 仁

 前回お話しした、200歳以上生きた百姓万平さんではありませんが、お灸は昔から健康管理に一役買ってきました。
 各家庭で健康維持のため、さらに病気の治療にもけっこう用いられていたようです。
 またさらに、有名なお灸所が全国各地にあって、盛んなところでは、バス停どころか、駅や門前町もできる賑わいだったそうです。
 そんなお灸所の中で、東京で特に有名なのが、浅草のお灸でしょう。有名な「弘法の灸」です。
 皆さんの中にも経験のおありの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 「弘法の灸」は家伝灸のなかでもまさに王様と言えるでしょうか。このお灸所は正式には、「弘法大師遍照院内遍照院灸点所」と言うそうで、名前から想像されるようにかなり古くからあるようで、文久二年開業という伝統を誇っています。
資料によると、モグサは1円玉大のコルク状に固く圧縮してあって、燃えつきるまで5分もかかり、最も熱いのは2分間、最高温度500度といわれ、熱さも横綱級です。

 特に腰の2点は熱く、大の男もウ−ンとうなる熱さとのこと。
すえてもらいにきた患者は横一列に並んで座り、先生が後ろからお灸をしていきます。
患者さん達の前には、横に棒が渡してあって、これを強く握って熱さを耐えたそうです。
1カ所に1火、背中と腰は左右2カ所1回の来院ですえてくれますが、肩だけはどんなに頼んでも1カ所しかすえてくれません。
しかも肩凝りに一番効くそうです。このお灸は大きな痕(直径約2.5ミリ)が残りますので、一方だけではサマにならないので、どうしても2回いくことになります。
このお灸は、お灸の痕に膏薬を使うのですが、これも特製で松下相撲膏本舗というところで発売していたそうです。

 弘法の灸は、東京下町の浅草という江戸っ子の最も好む場所にあって人の口にものぼりやすかったことが東京名物の灸になりえた理由なのでしょう。

 ただ筆者(眞野)の調査不足で、今も続いているのか、確認できませんでした。
今も東京名物灸は続いているのか?今後の調査にご期待ください。
また、ご存じの方、ご一報、お待ちしています。
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その8 『目について』  文責 小高 靖

□目のしくみとカメラ
 目のしくみはカメラと似ています。
カメラではレンズを通ってきた光が、フィルムに像を結びます。
目ではレンズにあたるのが水晶体(すいしょうたい)で、フィルムにあたるのが網膜(もうまく)です。
網膜には目の神経細胞が一面に並んでいて、それから出た神経が束になって大脳に続きます。
写った像がなんであるかはこの大脳で判断されます。
カメラの絞りの役をするのは、虹彩(こうさい)で明るい所や暗い所で目に入る光の量 を調節しています。

 目とカメラで違う所もあります。
それはピントの合わせ方です。
カメラはレンズを前後に動かし調節しますが、目はレンズの水晶体が毛様体(もうようたい)という筋肉組織の働きで厚くなったり薄くなったりして屈折率を変えます。
また、カメラではレンズとフィルムの間は空気ですが、目では水晶体と網膜の間に透明な寒天状の液体が詰まっています。

□目の色
 鏡に御自分の目を写して下さい。
黒目の真ん中の小さく丸いひとみが瞳孔(どうこう)で、その周りで細かいしわのよった膜のように見えるのが虹彩 です。
明るい所ではこの虹彩がきゅっと締まって目に入る光の量を少なくします。
目が黒いとか青いとかいうのは、この虹彩の色のことです。
人間の体にはメラニンと呼ばれる色素があり、これは虹彩 にもあります。
メラニン色素が多いと黒く見え、反対に少ないと茶色や青い目になります。
欧米人はもともと北国の人種だから、目にも髪にも色素が少なく青い目で金髪で肌の白い人が多く、日本人は色素が多いから、たいてい黒い髪と黒い目をしています。
もし虹彩に色素がまったくないと、血液が透けて見えて赤い目になります。
白ウサギの目が赤いのはそのためです。

□まつ毛の働き
 まつ毛は、異物が目の中には入り込もうとするのを防ぐ役目をしています。
つまり邪魔もの避けのシャッターです。
下まぶたより上まぶたのまつ毛が、長く数も多いのはこのためです。
ちなみに下まぶたのまつ毛は、長さ6〜8mm・70〜80本で、上まぶたのは長さ12mmほどで約180本も生えています。
伸びる速さは1日平均0・18mmで、頭髪の半分くらい。寿命は短く100日〜150日で抜け替わるから、むやみやたらに長くなりません。

◎東洋医学に『肝は目に開竅(かいきょう)する』という言葉があります。
目には非常に細かい血管がたくさん流れています。
お酒の飲み過ぎ・睡眠不足・ストレスなどは血液を浄化するという肝臓の働きを低下させるため、目の血行が悪くなります。
目のかすみ・目の乾き・充血・夜盲などの症状は肝臓が疲れている証拠です。
また、肝臓や胆嚢の病気の急性症状で黄疸の出ることがありますが、体に出る前に白眼に出ることのほうが多いようです。
肝臓は沈黙の臓器です。

【第5号『肝臓のはたらき』参照】疲れていても痛むことが少なく見過ごしてしまいがちですが、早めに鍼・灸をしてからだを休めましょう。
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その7 『誰にでもできる救急法』 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

『子供の嘔吐』〜横向きに寝かせ喉がつまらないようにする〜

 子供の場合、発熱に続いてよく起こるのが嘔吐です。

 発熱と同様に吐いた後ケロっとしていれば心配することはありません。
子供は食べすぎたり、はしゃぎすぎても吐くことがあります。
赤ちゃんがミルクを吐くのは、病気とはいえない場合が多いそうです。
 ただし、嘔吐は病気を知らせる大切なサインですから、吐いた後の様子によく注意しましょう。
あまりひどく吐くようなら窒息するときもありますので、救急車を呼んだほうがよいでしょう。
嘔吐のほかに次のような症状があれば要注意。たとえ夜間でも遠慮しないで病院に行くことです。

(1)熱があるとき−風邪、インフルエンザ、扁桃腺炎、咽頭炎など。
(2)下痢をしているとき−赤痢など細菌による伝染病、食中毒など。
(3) 頻繁に吐くとき−脳腫瘍、食中毒など。
(4) 吐いたものが緑色を帯びていたり、黒っぽいとき−腸閉塞、消化管出血など。
(5) いやな臭いがした時−腸閉塞、自家中毒など。
(6) 最近、頭を打ったことがある時。
(7) 便に血が混じっている時−腸重積、腸潰瘍、赤痢など。

 病院に行くまでは、横向きに寝かせて、吐いたものが喉につまり窒息しないように、注意してください。  また、吐く様子に充分に注意して、吐いたら指にガ−ゼを巻いて外にかき出してあげることです。
 飲物は与えないほうがよいといわれていますが、子供はすぐ脱水症状を起こすので、飲める状態なら与えたほうがいいでしょう。
 ただし市販のジュ−ス、乳酸飲料は避けること。
薄い番茶やリンゴ汁、ハチミツ湯などが最適です。
 なお、お母さんは子供が吐いたものを、必ず病院にもって行き、医師に見せることが大切です。
 緊急の状態を脱したら「小児はり」をお試しください。
くずれた身体のバランスを調整するのに「はりきゅう」は最適ですが、子供のうちに治療を受けることは、一生の財産になります。

 おかしいなと感じたら、悪化する前にご来院されることをおすすめ致します。
生後一カ月から治療が可能です。
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 数値1.血圧について    清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 昔の医者は皆、脈を手にとり、顔や皮膚の色をよく観察し、おなかをよく見て身体を診断しました。
そのため医者の仕事は経験が必要でした。しかし、身体の外から内をうかがい知る内科には限界があります。
 そこで生まれた新しい診断方法が現在いくつも行なわれている検査(血液検査・レントゲン検査・MRI検査・尿検査etc…)です。
 昭和40年代に飛躍的に発達してきたこれらの検査法は、本来医者が過去の経験で判断のつかない疑わしい物について、その裏付けをとるために行なわれました。

 しかし現代の医師(西洋医)は、患者の身体に触れることなく検査デ−タのみを見て診断していることも少なくないようです。
検査項目が多くなりすぎ、検査デ−タを勉強するだけでもかなり時間がさかれる現在の医学部教育と、実地訓練の軽視が現状を表わしていると考えます。

 そこで今回より、数ある検査デ−ターの数値を上げながら、その正しい解釈と認識を持っていただこうという意図から新しいコーナーを設けることに致しました。
 なるべく「やさしく」を心がけておりますが、難しく感じる方はすぐに、お電話下さい。やさしくお答えするとともに、次回からの参考にしたいと思います。

 まず、第1回目は血圧です。
 脳卒中、ガン、心臓病は現代人にとって大敵ですが、この中で脳卒中は血圧と密接な関係があるのはよく知られています。
 WHO(世界保健機関)では、血圧の正常値を上が139以下、下を89以下と定めています。
学問的にはこれでも間違いではありませんが、血圧はその日のコンディションによって変わってきます。
つまり、下のほうはあまり動かないのですが、上のほうは20や30はすぐ動いてしまうのです。
 日本人の正常値としては、上が100から140の間、下が85以下が現実的な数値といえるでしょう。
俗に年齢に90をたした数値が理想血圧といわれ、気にする人を見うけますがあまり神経質になる必要はないと思います。
 高血圧 高血圧症の正常値は誰でも気になるところですが、これもやはり学問的な数値と現実的なそれとは多少違ってくると思います。

 WHOでは上が150以上か、下が90以上の人を高血圧症としていますが、実際はもう少し低いうちから注意していたほうがよいでしょう。上が140以上か下が85以上になったら高血圧症の人の仲間入りしたと考えてほしいものです。
 こういう場合は、寝不足や急激な運動は禁物です。
もちろん深酒やタバコの吸い過ぎは慎むことです。
また、高血圧症の人は肩こりや頭痛が起こりやすくなります。中にはこれらの症状を感じない人もいます。摂生につとめ、食事に気をつけることを忘れてはならないでしょう。

 上が170以上、下が110以上だと要注意。
これを放置すると血管や心臓の老化は想像以上に進み、血管などはボロボロになってしまう可能性があります。
 こうなると薬で血圧は押さえられたとしても、血管は古くなったゴムホ−スみたいなものですから、少しの衝撃でも破れてしまうことがあります。したがって血圧が下がっているからといって無理をすれば大変なことになります。
 低血圧 高血圧かどうかは上と下でみますが、低血圧の場合は下がいくら正常値でも上が90以下だと異状値になります。高血圧と低血圧では判定の基準が違うので注意が必要です。

 低血圧で誤解が多いのは貧血との関係です。
よく「今朝起きたら貧血になってめまいがした。」という人がいますが、こういう場合は、貧血ではなく脳貧血なのです。低血圧の人が朝に弱いのは、脳になかなか血がいかないためです。そのため朝なかなか起きれなかったり、起きてもふらふらして倒れる場合があります。
貧血は、あくまで血が少なくなっているわけですから、朝、急に起こってくるものではありません。
 とにかく90以下なら、何はさておき医療機関に足を運ぶ必要があります。

 ここで注意していただきたいのは数字にとらわれないでほしいということです。
 身体は内蔵が疲労してくると反射的に強い不快な症状を示します。「痛み」や「発熱」がその代表的な症状ですが、各検査デ−タにも同じことが言えます。

 血圧が正常と思われる数字より高かったり低かったりするということは「どこか内蔵に疲労がある」と見るべきです。 その原因が多くの場合、寝不足や過労・食事のかたより、つまり日常生活の反復によりおこり、積もり重なって発症するものです。 血圧(数値)の異常は身体の不調を教えてくれる正義の味方です。血圧が高いことを心配するのではなく、どんな生活がわざわいしているのかを考えてみましょう。(この考え方は東洋医学の最大の利点と発想ともいえます。)そう考えをおきかえると薬(降圧剤)を飲んで数字だけさげて安心するという気持ちはなくなると思います。

 生活を正しても血圧が安定しない場合は内蔵の働きの回復が遅いことが考えられますので、当院をご利用下さい。
どこの内蔵の機能が低下しているか判断し、治療するとともに生活上の注意点をお伝えしたいとおもいます。
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  知識(4)赤いウンコが出たら腸下部からの出血を疑う  
                  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 ウンコが赤かったら、まず出血のせいだと考えなければなりません。
赤い血のまざったウンコは血便といい、腸の下部からの出血があるときに出ます。
血便でもっとも多いのは、痔からの出血によるものです。
痔と言うと、必ず痛みをともなうものと考えて、痛みがないから自分は大丈夫と思っている人がいますが、出血だけという痔も多いのです。
痔の出血に長いあいだ気がつかず、放っておいたために、ひどい貧血を起こす人が少なくありませんが、それでも最近は、水洗便所の普及によって痔の発見が早くなってきました。

 血便は、このほか、赤痢や食中毒などの細菌性下痢、直腸や大腸下部のガン、潰瘍性大腸炎などの病気の時にでます。
いずれも生命に危険を及ぼす重大な病気なので、すぐ診察を受けなければなりません。
痔の出血と違って、身体の内部からの痛みや発熱、粘液便などの症状をともなうのが特徴です。

 乳児、幼児の場合は痔になることはあまりないので、赤いウンコは緊急危険信号と考えなければなりません。
特に、腸重積症は救急処置をしないと生命に危険がある病気ですが、その前兆として血便が出ます。
また、下痢のとき血がまざるのも重症の証拠です。
子供のこういう下痢は、高い熱をともなうことが多く、また、脱水状態になりやすいので、早く手当をすることが必要です。

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◆お知らせ◆ 『調布DE子育て』

『調布DE子育て』という本が6月25日にママネット調布から発売となりました。 赤ちゃんに関する情報(病院・公園・おけいこ・託児)などが載っている本ですが、その中で当院の紹介と当院長のメッセ−ジが掲載されております。  この本は真光書店・ブックワ−ルド・ひたち屋書店・八州書房北口店・かもしだ書店・東国書林・新座書房にて、780円で発売されております。  少しでも関心をもたれた方は、本屋さんに足を運ばれてみて、一度ご覧になってみてはいかがですか?
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