『オアシスだより第6号発行にあたり』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 9月5日夜7時テレビ朝日系で放送の『噂のファイル』について会員の皆様方より、沢山のお言葉をいただきました。
ありがとうございました。

撮影は一時間以上に及びましたが、編集の都合上、話した内容が説明にまわったり、助教授と重なったりして非常に短い取り上げ方となりました。
鍼灸中心の番組ではなかったため、お伝えしたいことが取り上げられず残念に思っております。
マスコミというのは非常に難しい媒体だと痛感しております。

 意見や見解の相違は直接話し合うのが一番です。11月15日の「オアシスの集い」で皆様とお会いできますことを楽しみにしております。

 なお、今回は年に1回の体力測定実施の日です。是非ご参加下さい.

■ 目 次 ■
 ‥‥……第6回 鍼麻酔……‥‥
 ‥‥……第六話 足の三里……‥‥
 ‥‥……その6 健康な人の尿……‥‥
 ‥‥……Part5 赤ちゃんの腹痛……‥‥
 ‥‥……6の巻 養生訓にみられる人生と寿命……‥‥
 ‥‥……(6)“はり”で逆子がなおるっ……‥‥
 ‥‥……知識(2)白いウンコ……‥‥

各コーナーは上記リンクでスキップ!!

 

 



 第6回 『鍼麻酔』    文責 今田開久

 麻酔薬を使わず、数本の鍼を体の特定の部位に刺すことによって手術を行うことができると報道された時には、まさに世界中が驚きました。
以来、鍼麻酔は中国や日本のみならず、世界各国で行われています。
それでは鍼麻酔は、いつ頃始まり、どのように広まったのでしょうか。
鍼麻酔は、一九五八年に中国の病院で急性虫垂炎になった外科医師の手術の際に用いられたのが始まりといわれています。
当時は鍼麻酔の効果が整理されていなかったため比較的多くの鍼を使用しましたが、技術の向上と共に使用する本数は少なくなり、麻酔効果 も高くなっていきました。
鍼麻酔が世界中の注目を集めるきっかけとなったのは、一九七二年にアメリカのニクソン元大統領が訪中した際に、同行した記者が書いた中国リポートだといわれています。
「東洋の神秘」とセンセーショナルに取り上げられた結果、鍼麻酔の存在は世界の国々から知られるようになりました。

 さて鍼麻酔は、どういうメカニズムで効果を生むのでしょうか。
生体が鍼刺激を受けることによって脳からエンドルフィンというモルヒネに似たホルモン物質が体内に分泌され、痛みを抑える働きをするという説が現在もっとも有力です。
エンドルフィンの効果は麻薬のモルヒネの五・六倍といわれています。
しかも体内で作られるため中毒の心配はまったくありません。
薬物麻酔のときのような複雑な器具も使わずに、麻酔薬の副作用の心配もなく手術を行うことが鍼麻酔には可能なのです。
また、患者の意識がはっきりした状態で手術が行われるので、術中に医師との間で意志の疎通 が図れることも鍼麻酔の長所のひとつです。
なんと、大手術の最中に物を食べたり、手術直後に患者さんが見舞客と談笑したりといった光景も、中国の病院では見られるそうです。

 現在の西洋医学では解明できない点も多い東洋医学ですが、その効果 のほとんどは万人から認められています。
メニューへ



 第6話 『足の三里』   文責 眞野 仁

 秋も深まる今日この頃、こんな季節は旅に出たくなるものですね。今回のお灸の話は昔からの旅人の友、“足の三里”についてお話しします。

 足の三里は芭蕉の奥の細道の「三里に灸すうるより松島の月先ず心にかかりて」にも出てくる古今最も有名なツボの一つです。
旅はわらじきの徒歩が主だった江戸時代、足の疲れをとり、また丈夫にするために芭焦も足の三里にお灸をすえたのでした。

 また、江戸時代の大名行列などの絵に槍や荷物を担ぐ武家奴(ぶけやっこ)が出てきますが、よく見ると膝下のところに三角の紙をあてがっています。
これは土下座するときに膝を守るためといわれていますが、また同時に健脚を保つためにすえた三里の灸の痕をかくしていたともいわれています 。
ちなみにその三角の紙のことを、「三里紙」といいました。

 押してみて すえる三里も 旅支度  初旅は 灸の支度も 数に入り

 江戸時代の川柳にもうたわれたように旅荷物には毒虫や虫刺れの薬とともに、必ず“もぐさ”が入っており、しばしば旅行中にも灸をすえていたようです。

 また足の三里は“旅人のツボ”という面のほかに、養生のツボとしても大事にされてきました。
慢性病や消化器病、胃の気足らず(生命エネルギーの不足)、腹痛、脚気、目のかすむもの、体の虚弱のものと、非常に応用範囲が広いことが保健用のツボとしてよく用いられた理由でしょう。
さらに、このツボは、両足のすねの外にあり、手の届きやすいところなので、人手を借りずにいつでも自分ですえられることもよかったのでしょう。

 ともかく、長い期間日課のようにすえていた方が結構いらして、それが、江戸時代、三河の国に毎月八日間お灸をすえ続けただけで、二百歳も生きた夫婦がいた、と言う伝説をも生んだりしたようです。

 こんな“足の三里”のツボは、すねの骨の外側にあります。
とりかたは、膝を立てて膝関節の俗にひざ小僧へ下の図のように手をあてて中指の先を強く押すとズンと足の指のほうへひびくところです。
位置がよく分からない場合や、お灸をすえようと思われた方で何回すえるか等は、先生に遠慮なくお聞きください。
メニューへ



その6 『健康な人の尿』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

【健康な人の尿とは】
尿の色は、黄色ないし黄褐色です。
尿の量は、おとな1日で約1.5リットルですが、水分のとりぐあいでいくらか増減します。
尿の比重は、ふつう1.015〜1.025ですが,水分のとりぐあいで多少上下します。
尿の成分は、大部分(84〜85%)が水で、残り(15〜16%)が固形成分です。最も多いのは、尿素で、1日に25〜35グラム排泄されます。
  次に多いのは、塩分で、1日に約9グラム排泄されます。
  次に多いのは、クレアチニンで、1日に1〜1.5グラム排泄されます。(これは筋肉を動かすエネルギー源として貯えられている物質の老廃物です。)
  次に多いのは、尿酸で、1日に0.5〜0.8グラム排泄されます。(これは細胞の新陳代謝で生じた老廃物で、結石の原因となっている物質の一つです。)
その他、ウロビリン(尿の色素をなしている原因物質)、アンモニア、(尿のにおいの原因物質)、カリウム、マグネシウム、なども、わずかずつ排泄されます。

 また、腎臓の細胞の新陳代謝によって剥がれた上皮細胞や、白血球、赤血球などもごくわずかですが含まれています。
 
この中で「尿酸」というのは聞いたことがおありでしょうか。
体の中にこの尿酸が沢山ありますと、身体、特に足の親指が腫れて強い痛みが出ます。
風が吹いても痛いので「痛風」といわれています。
男性に多く、痛みがとても強いので、歩けなくなり夜も眠れなくなります。
こんな症状の方には鍼灸治療がおすすめです。
お薬を飲んだり注射をするより、はるかに早くよくなります。
お困りの方は是非お試し下さい。
メニューへ



その2 『誰にでもできる救急法』 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

『赤ちゃんの腹痛』 〜便に血が混じっていたら腸重積を疑う〜
◆浣腸は誰にでもできる咄嗟の処置

 機嫌の良かった赤ちゃんが、突然激しく泣き叫ぶことがあります。
この時お母さんは、咄嗟に赤ちゃんの身体に異常が起きたことを察知しなければなりません。

 まだ言葉をしゃべることが出来ない赤ちゃんは、どの箇所が痛いのか、大人にはっきり言うことが出来ません。
 また、大人もなぜ、泣いているのか分からないでしょう。
 こうした場合は、まず腹痛を疑ってみてください。
お腹が痛い場合は、便がたまっている場合が多いものです。
すぐに浣腸をしてあげるのも良いでしょう。
これでケロッと治れば、大したことはありません。

 もし便に血が混じっていたら危険です。
腸重積の可能性があるからです。
  腸重積は、一歳ぐらいまでの乳幼児に多く、腸が腸の一部分に重なって入り込んで起きる症状です。  一日でも放っておくと、腸に穴が開き腹膜炎を起こし、手遅れになってしまいます。

 まずは大事に至らないうちに見つけることが大切です。
そしてすぐに病院に運びましょう。
病院で早いうちに高圧浣腸をすれば治りますが、時間がたつと腸がむくみ、浣腸では治らなくなります。
 尚、病院に行くまでに、温めたり冷やしたりするのは厳禁です。
  また痛み止めの薬も飲ませないことです。
危険にさらされている赤ちゃんの状態をいち早くキャッチしてください。

 また、浣腸に使う液は、ぬるま湯で結構です。
いちじく浣腸などの容器を保存しておくと便利でしょう。

 当院では、小児を対象に“はり”治療も行なっております。
  お子様のこともお気軽にご相談下さい。
メニューへ



 6の巻  『養生訓にみられる人生と寿命』   文責 伊賀裕一  

 今回の養生訓は人生・寿命について書かれている部分をご紹介します。

《上寿は百歳》
人の寿命は百歳を上限とする。
上寿は百歳、中寿は八十歳、下寿は六十歳である。
六十歳以上は長生きである。
世間では五十歳未満の命しかない人が多く、七十歳以上は古来稀であるというのは嘘ではない。
長生きの人は少ない。
五十歳で死ぬのは不夭(ふよう)というが、これは若死(わかじに)ではない。
なんと人の命は短いのだろう。人はみな養生の術がなくてはならないわけである。

《人生わずかに五十年》
人生五十歳に達しなくて血気が不安定で智恵も足らず、世のことにうとく、言行に誤りが多く、人生の機微や楽しみも知らない。
五十歳にもならないのに死ぬことを夭(わかじに)という。
長生きすれば楽しみも多く、益することも多くなってくる。
学問の進歩も同様である。
願うに五十歳を超え六十歳以上の長生きをすべきである。

《内敵には勇・外敵には畏》
内敵(いろいろの欲や七情)に克つには、心を強く持ち、忍の字を心に刻むことである。
忍とはこらえる、忍耐である。
外敵(外邪)に勝つには畏(おそれる)という字をよく考えて、早く外敵から身を守るべきで、これはたとえば、油断なく敵を防ぎ城を固く守るようなものである。

《元気を保つ法》
二つあり、元気を害するもの、すなわち内欲と外邪を排除する。
もう一つは元気を養うこと。
すなわち飲食・日常の生活に心を用いて元気を養う。
悪を去って善を行うことも重要で、気を損なうことをなさず、養うことを多くする。
これが養生の要点である。努め励むべきである。

《人生の三楽》
三楽とは、一は道を正しく行い、善行する楽しみ。
二は無病で快適な生活を楽しむ。三は長生きして長く楽しむことである。
いくら金持ちでもこの三つの楽しみがなければ本当の楽しみはないのであって、富貴はこの三楽には入ってはいないのである。

《天寿を全うせよ》
人は万物の霊で、天地とともに三才ともいうが、人の命はわずか百年にも達せず、天地の長さに比べ、天長地久というのを思えば、自然に悲しく涙さえ出てくる。
このような短い命を持ちながら養生の道を行わないで、短い人生をますます短くしてしまうのはどういうわけか。
人の命は道にそむいてまでは短くしてはならない。

《家業をよく勤めるのが養生》
養生の術は、勤むべきことはよく勤め、身体を動かし、気をめぐらすのがよい。
朝は早く起き、夕は遅く寝て、人々は家業によく精を出し怠らないで励み、婦女は家にてよく働き、親・姑によく仕え、子を立派に育てるよう心がけよ。
誰でも自分に与えられた家業をよくつとめることこそ、養生の道である。
メニューへ



Q “はり”で逆子がなおるってきいたんですが、本当ですか?

A:本当です。逆子は医学的には『骨盤位』といいます。
  逆子になる理由はいろんなことが考えられますが、本当のところはよくわかっていません。
ただ、身体を冷やしている妊婦さんに多いようです。
最近は『冷やす』ということに無頓着な方が多くビックリします。
身体を冷やすと微弱陣痛になり、出産にもものすごく時間がかかります。
最悪、母体に危険が及ぶこともありますので、多いに気をつけたいものです。
腰まわりをしっかり保護し、冷たいものは一切やめたほうがいい、と来院される妊婦さんには話しています。

 逆子を治すのに適当な週数は28〜32週です。
人によっては26週から行ないます。それまではくるくる回りますので、やってもまたひっくり返ることがありますから、26週を過ぎてから治療に入ります。

 約30%が治療後一時間位で正常になります。
翌日に治る人が約30%ですから、60%位の人が一回の治療で治ります。
2〜5回目の治療で残り30%位の人が治ります。全体として90%の確率です。
治療は一日置きにします。
6回以上しても治らない場合は、基本的に難しいのですが、その理由は、次の五つが考えられます。
(1)
…臍帯が長く(1m以上)、赤ちゃんの首に巻き付いている人。
(2)…臍帯が短い人。(30cm以下)
(3) …前置胎盤の人。
(4) …赤ちゃんがあぐらをかいて正面を向いて坐っている人。
(5) …重篤な病気を抱えている人。

 その他、臨月に近い人は困難となります。
ただし、足の小指の至陰と言う穴に一日置きにお灸をすると初産でも子宮が開きやすく、逆子のままでも生まれたり、直前にひっくり返ることもあります。
あきらめずに頑張ってください。
詳しくは、担当の先生におきき下さい。
メニューへ                  《清野鍼灸整骨院  院長 清野充典》




 知識(2)白いウンコ  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 壁土のように白っぽくて、ウンコらしい色のないウンコ。
これは危険信号です。
肝臓や胆嚢の病気の中でも黄疸の強い状態の時に、こういうウンコが出ます。
肝臓でできた胆汁色素(ビリルビン)が血液の中に移行し、正常ル−トである胆汁の中に分泌されなくなります。
そのため、ウンコに色をつける材料がなくなるのです。
私たちは無胆汁便と呼んでいますが、こんなウンコが出るようでは、入院して治療する必要があります。

 また、乳児では、石鹸便といわれるような白いウンコが出ることがあります。
これは、人工栄養児で、脂肪の消化・吸収が悪いときに起こるのです。
吸収されなかった脂肪酸とカルシウムが結合してウンコに出るのですが、赤ちゃんが元気にしてさえいれば、それほど心配なことではありません。

 下痢がひどい場合、とくに幼児では、ウンコが白くなることがあります。
これを白痢と呼び、赤痢(血便がまじるので赤い下痢という意味です。)と対照的な扱いをしています。
ウイルスが原因と考えられていますが、まだじゅうぶん明らかにはされていません。
そして、ウンコが白くなる理由も、胆汁色素が分解されて無色になるからであるとか、あまり下痢がひどいので胆汁色素に染まるひまがないからだなど、いろいろいわれていますが、これもはっきりとした結論が出ていません。

 いずれにしても、白いウンコが出たら専門医に診てもらうことが肝要です。
検査の結果、機能的な(働きの)問題によるものでしたら、はり・きゅうの治療が最適です。担当の先生にご相談下さい。
メニューへ