『オアシスだより第4号発行にあたり』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 1997年4月に発足した健康研究サークル『オアシス』も、満1年を迎えようとしております。
この間、
1、オアシスだより……4回発行
2、講演会 ……2回開催
3、病気相談室……2回開催
4、体力測定……1回実施
5、敬老の日……70歳以上の会員に浴用剤配布
6、勤労感謝の日……18才〜69才以下の勤労者に、浴用剤配布
7、当院の端午の節句……5月6日に小学生以下の男児に小児針無料体験 実施
8、当院の桃の節句……3月3日に小学生以下の女児に小児針無料体験 実施予定

上記の活動を行って参りました。
来年度の、より一層の充実を期すためには、皆様のお声を必要としております。
ご意見・ご要望をどしどし下さるようお願い申し上げます。
また、『オアシス』の活動にご賛同いただける方は是非来年度もオアシス会員をご継続下さるようお願い申し上げます。

                           清野鍼灸整骨院  院長 清野充典


■ 目 次 ■
 ‥‥……第4回 小児鍼とは……‥‥
 ‥‥……第四話 もぐさについて……‥‥
 ‥‥……その4 免疫について……‥‥
 ‥‥……Part3 頭のケガ……‥‥
 ‥‥……4の巻 頤生輯要(いせいしゅうよう)と養生訓……‥‥
 ‥‥……(4)イカやタコなどは消化に時間が…… ……‥‥

各コーナーは上記リンクでスキップ!!

 

 

 


 第4回 『小児鍼とは』 文責 今田開久

 「小児鍼」といっても、あまり関東では聞き慣れない言葉ですね。
これは、江戸時代に大阪の数名の治療家が行なっていた治療法で、大正末期から昭和初期にかけて、関西を中心に広まった治療法です。

 「小児鍼」とは普通の治療に使う「刺す」鍼と違い、皮膚に接触させて軽い刺激を与えて行なう特殊な治療法です。
対象となるのは生後20日ぐらいから4〜5才ぐらいまでの乳幼児です。
時には小学生の低学年ぐらいまでが対象となります。
生後5〜6カ月から離乳期前後は成長の最も盛んな時期で、この時期は小児にとっては、身体的にも精神的にも極めて不安定な時期になるので、いろいろな症状を起こすのです。  それではどのような病気に効くのでしょうか。
  一番目には、疳虫症状です。
疳虫とは一般に「かん高い」とか、「かんが強い」とか言われているもので、小児が異常に興奮しやすくなっている状態です。
  不機嫌、いらだち、ちょっとした物音に驚く、寝ているときに薄目を開けている、奇声(かん高い声)を上げる、行動が粗暴になる等といった症状です。疳虫は、このような神経症状だけでなく、それが体にも様々な変化を起こすのです。
  まず顔にそれが現れます。
顔は一般に青白く、目つきが鋭くなり、目尻や額に青筋が現れます。
目の結膜は青く、目蓋がただれ、鼻の穴や、鼻の下が赤くなったりします。
これらの疳虫症状とも関連して、結膜炎、眼瞼炎、鼻カタル、耳下腺炎、頚部リンパ腺腫、慢性気管支炎、小児喘息、消化不良、便秘、下痢、夜尿症、湿疹、アトピー性皮膚炎等にも効果 があります。

 現在行なわれている小児鍼は、小児の病気を治すだけでなく、小児の保健や病気の予防を目的にも広く行なわれています。
俗に「虫気もなく育つ」といいますが、小児鍼を受けている子供は心身共に良くバランスがとれて発育をしているようです。
メニューへ



 第4話 『もぐさについて』   文責 眞野 仁

 お灸の話も今回で4話目になりました。
  今回はお灸するのに不可欠な『もぐさ』についてお話します。
 『もぐさ』はお灸のときに肌につけたり、物にのせたりして火をつける黄色の(物によっては緑色っぽい)フワフワした物のことです。
これはヨモギの葉、(特に若葉)の裏側にある白っぽい毛(これを毛茸といいます)をあつめてつくります。
  つくりかたの手順は、夏にヨモギの刈り取り→冬まで自然乾燥→更に火力乾燥→ヨモギを裁断器できざみ細かくする→石臼で挽く(葉から毛茸を剥離する)→ふるいにかける→唐箕にかける(風力で毛茸だけを取り出す)です。

 よい品質のもぐさほど火力乾燥のときよく乾かし石臼でよくひき長時間唐箕にかけて毛茸以外のものをよく除きます。
  もぐさのランクは上・中・下級品とわけられますが、上級品ほど燃えがよく、形もととのいやすく、手ざわりがよくて肌になじみやすいので、直接灸(直接肌にのせてするお灸)に用います。
中・下級品は上級品にくらべてゆっくりと燃えるので、「にんにく」や「しょうが」などを介してお灸したり、灸頭鍼に用います。

 もぐさの原料であるヨモギの葉は昔から『体を暖め、体の冷えやだるさを除き、冷え痛みを止める』とされ、止血・鎮痛・吐血・腹痛・下痢などに用いられてきました。
これを精製してつくるもぐさそれ自体にもヨモギのような熱性の効能があると考えられてきています。
またヨモギは雑草ともいえるほどどこでも自生するため、もぐさは昔から非常に手軽で使いやすいものだったのではないでしょうか。
こんなことがお灸に特にもぐさを用いてきた理由ではないかと思います。
メニューへ



その4 『免疫について』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

◎感染  「はしか」のウイルスを例にして説明しましょう。
はしかのウイルスがからだに侵入すると、はじめはどこかに潜み、毒素を出しながら増殖します。
そのうち、からだの防御機能が働いて、リンパ球と白血球が力を合わせ、ウイルスを退治します。
こうなると、発病はしないですむし、リンパ球はウイルスの出した毒素をいつまでも記憶し続けます。

◎発病  ところが、ウイルスの増殖のほうが速すぎると、リンパ球や白血球は、防衛戦に破れてしまいます。
ウイルスは血液の中にも侵入し、たくさんの毒素を出し、ほうぼうの器官が侵されて高熱を出し、発病するのです。こうなると、医薬の力を使ってウイルスを全滅するしか方法はありません。

◎免疫  発病しないですんだにしろ、発病して薬で治したにしろ、ウイルスと戦ったリンパ球は、はしかのウイルスの毒素の性質を、いつまでも記憶しつづけます。
そうして、将来、はしかのウイルスが再び侵入してきても、ちょっと毒素を出しただけで、リンパ球が今度はすぐにウイルスを発見し、増殖する前に退治してくれるので、もうはしかにかかる心配はありません。
この能力を…疫(病気)を免ぜられる…という漢字をかいて、『免疫』と呼ぶのです。

◎はり・きゅうをすると‥  何故、はり・きゅうをすると身体の病気がよくなるのか、いろいろな人がいま現在も研究をしていますが、『免疫力が高まる』ということは、はやくから解明されていることの一つです。
お灸をしてA型肝炎や糖尿病の人がよくなっているのも、この免疫という力を、はり・きゅうが最大限発揮できるためのようです。
はり・きゅうがもっともはやく威力を発揮できるのは、呼吸器疾患、特に風邪です。
お薬の嫌いな方、アレルギーのある方に、はり・きゅう治療は最適です。

『かぜをひいたらはり・きゅうを!』  これが当院のモットーです。
メニューへ



その3 『誰にでもできる救急法』 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 ◎『頭のケガ』
〜負傷した患部を冷やすのは 間違い。
 
頭部が少しでも陥没していたらすぐ専門医へ!

 交通事故にかぎらず子供がベビ−カ−から転落して頭を打ったり、遊んでいる子供の頭上に電話機が落ちてくるなど、頭部を打つ事故は多数あります。
この場合、一般的な応急処置の仕方では、負傷した箇所を冷湿布したり、氷枕などをあてがったりするのではないでしょうか。

 脳は頭蓋骨に囲まれ、さらに何重もの膜に守られていますから、表面 だけを冷やしてもあまり効果ありません。
ただしコブ程度なら頭皮にできたものですから効果は充分にあります。

 それよりも常識的に考えられている頭を打ったら冷やすという処置は、逆に大変危険なことだということを知っていてほしいと思います。

 氷枕を長時間、負傷者にあてておくと、首の後ろの大後頭神経が冷えすぎて、神経痛の後遺症が起きることがあるからです。
もし、どうしても冷やして気分を良くしてあげたいと思う場合は、時々氷枕の位 置をずらしてあげると良いでしょう。
 また、頭を打ったときにはケロッとしていた子供が数時間後嘔吐をしたら即座に危険を察知して救急車を呼ぶなりして病院へ急いで連れていって下さい。

 特に乳幼児の場合は、嘔吐が続くと脱水症状が生じ生命の危険を招きやすくなります。
 なお、頭部が少々陥没していると思われる場合は、一刻も早く専門医に診せるようにしましょう。陥没によって脳が圧迫されるので、後で脳萎縮を起こし、てんかんの原因になることがあります。

 頭部の陥没骨折などの後にめまいや吐き気がなかなか止まらず、薬を飲んでも全く効果 がない場合があります。
こんなときは鍼灸治療を受けてみて下さい。
メニエ−ル氏病(めまい)には鍼灸治療が最も有効とされていますが、交通事故や外傷にも驚くほど効果 を発揮することがあります。

医師に相談しても手づまりになったときは、東洋医学にも目を向けてみることをおすすめいたします。
メニューへ



 4の巻  『頤生輯要(いせいしゅうよう)と養生訓』   文責 伊賀裕一  

 今回も引き続き、貝原益軒の養生訓を紹介したいと思います。

 「養生訓」についてはそれこそ多くの解説書があるので、それらを参考にして深くは渉らないでおきますが、巻末の「養生訓の後記」は、彼のこの書を書くにあたっての心構えが記されているので見てみましょう。

『養生訓の後記』
以上書いたところは、古人の言をわかりやすくし、また古人の気持ちを更におしすすめたものである。
また先輩の人々に直接聞いたところも多い。
自分で試し、効果があると思われたことは、たとえ憶説でも記しておいた。
おおまかではあるが、これこそが養生の重要なことである。それというのも、各項目のくわしいことは書くことが難しいからである。
養生に志す人は、古人の書いた書を読んで知るのがよい。
大体のことがわかっても、各項目の詳しいことを知らなければ養生の道は尽くしがたい。
自分は若い時、多くの書を読み、その中から養生の術が書いてある部分を抜き集めて、訪ねてきた人や、門人に授けた。
これを『頤生輯要』という。
養生に志ある人はどうか見てほしい。

 とあります。彼が実践を重んじ、自分で親試したものを書き残したいという科学的態度が読みとられるであります。
それでは巻第一総論上の養心気の重要部分を抜粋したものを続けて掲載します。

《養生の第一は心気を養うこと》養生の術の初めはまず心気を養うことにある。
まず心を和(やわらか)とし、気を平にし、怒と欲を抑え、憂い・思いを少なくし、心を苦しめず、気を損わない。これが心気を養う要点である。
食後には歩行し身体を動かし、時には導引をして、腰腹をなでさすり、手足を動かし、血気をめぐらさせ、食物の消化を助ける。
長い間一カ所に坐ってはならない。
これらは養生の要点で、養生の道は一つに病気でない時でも要慎(用心)することであって、病気が出てから薬を用い、鍼灸で病を治そうとするのは、養生の術としては末の末である。

《耳目口体の欲を抑える》見ること、聞くこと、飲み食うこと、色を好むことなど、人おのおの好きなものがある。
これを嗜欲という。
すべての悪はこの嗜を恣にするから起こる。
だからこれらを忍ぶことが大切なことになる。
この忍耐と嗜欲とは善と悪とが起こる始めである、養生を行う人はつとめて恣(ほしいままにする)の一字を去り、忍の一字を守ることだ。

《外邪を防ぐ法》外邪とは風・寒・暑・湿である。
これにあたって病気となって死ぬのは天命であって、聖人・賢人でも免れることはできない。
しかし、体内に気力が充実してよく要慎して防げば、外邪が侵すこともまれであろう。飲食・色欲から起こる病気は全く我が身から出るのであって、天命・天運ではないので、すべて自分の罪(とが)である。
だいたい天から出るものについては、自分の力ではどうしようもない。
ところが我が身から出ることは、努力すればできやすいのである。

《養生の要訣は畏れるということ》身体を保ち養生するのに、たった一字だが忘れてはならないものがある。
それは「畏(おそれる)」という字である。
畏れるとは身を守る心構えである。
畏れれば慎みが生まれる。

《養生を害するもの》養生の害に二つある。
その一は元気を消耗すること。
その二は元気を滞らせることである。
飲食・色欲・労働を過ごせば元気はやられ減ってくる。
飲食・安逸・睡眠を過ごせば、元気は滞る。この耗と滞は、みな元気を損う。

《心は静かに、身体は忙しく》心は身体の主君であるから静かにまた安らかにすべきで、身体は心の家来であるから労働させるようにする。
心が安静ならば君主は豊かになり、苦しみもなく楽しい生活が送れ、飲食は滞らず、血気はめぐって病気はない。

メニューへ                   次号に続く



Q…イカやタコなどは消化に時間がかかるとよくいわれますが他の食物はどのくらいかかるのですか?

A…飲み込んだ食物が胃の中にとどまっている時間は以下の通 りです。
□消化時間 数分〜2時間 水・緑茶・砂糖水・果汁・りんご・ぶどう・みかん・くず湯・おかゆ・魚のス−プ・半熟卵など

□消化時間 2〜3時間 日本酒・ビ−ル・コ−ヒ−・大根・人参・かぶ・ごぼう・ほうれん草・ねぎ・玉 ねぎ・なす・きゅうり・すいか・かぼちゃ・じゃがいも・小豆・なし・びわ・もも・かき・ふ・昆布・豆腐・せんべい・羊かん・ビスケット・そば・うどん・もちなど

□消化時間 3〜4時間 さつまいも・たけのこ・くわい・大豆・えんどう豆・こんにゃく・脂の多い魚・どじょう・はまぐり・かまぼこ・脂の少ない牛肉と豚肉・ゆで卵・卵焼きなど

□消化時間 4時間前後 てんぷら・脂の多い牛肉と豚肉・うなぎ・かずのこなど

文明社会になってから一日3回食事するようになりました。
一回の食事の間隔は6時間以上あるのが望ましい姿です。
イカやタコなどの軟体なものは消化に6時間以上かかる場合があります。
胃の丈夫でない方や疲れているときは召し上がらない方がよいでしょう。
食事は空腹感が出てから食べるのがよく、常に口にものを入れたり(間食)、一日に数度食事をするのは、胃の働きを弱らせるもととなります。
消化力がおちてくるとお腹がはってきて、ガス(おなら)が多くなります。
こういうとき足の三里という穴(ツボ)にお灸をすると胃液がたくさん出て、消化が良くなります。
場所とすえ方は希望の方にはお教え致しますのでお申し出下さい。
メニューへ