健康研究サークル『オアシス』会報
オアシスだより 第27号 2005年10月

 
『オアシスだより第27号発行にあたり』
清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 

2005年10月1日から介護保険新制度がスタートしました。入所施設での居住費・食費が個人負担となり、1ヶ月に支払う額が約1・5倍になりました。支給される年金だけではまかなえなくなってきています。増加する医療費を抑えるため、今後、身体障害者の1割負担導入が今国会で成立するのは、間違いのないところです。また年間の保険料を出来るだけ変えないために医療費の「総粋管理」システムの導入が検討されています。この制度はいくら治療しても一定の金額をこえません。総医療費、保険料はおさえられますが、医療の質が低下し、自費診療分が増え、金持ちしか良い医療が受けられなくなるのは、この制度が実施されている国をみても明らかです。体操教室でいつも言っている「みんなで老衰」は笑い事ではありません。死ぬまで元気で暮らすための方法をみんなで考えましょう。
健康研究サークル「オアシス」は、21世紀のモデルグループとなるため、皆さんと真剣に医療・介護・保健に取り組みます。皆様の建設的なご意見をお待ちしております。

平成17年10月27日現在の会員数 151名 

■ 目 次 ■
 『はり』ってなあに? 『お医者さんにも鍼灸治療の波』
 『体の異常値・正常値』 『妊娠期間』
 健やかに育つ小児はり 『薬疹』
 体のしくみ 『鼻の話』
 ウンコ診断学 『茶色のウンコ』
 医食同源 『レバー』
 健康に関する常識 『ガス中毒とはどんな中毒か』





 『はり』ってなあに?

『お医者さんにも鍼灸治療の波』
清野鍼灸整骨院府中センター 院長 今田 開久


ステロイドや消炎鎮痛剤などの現代医療の薬物療法では、症状は抑えられても病気を治すことができないと、悩むお医者さんも多いと言われています。そんな中で、治癒をもたらす生活とは何か、医療のあり方とは何かを説明している新潟大学医学部の安保徹先生の理論が現代医学を批判するものでありながら、お医者さんの間でも話題を呼んでいます。
安保先生は『医療が病いをつくる』(岩波書店)、『免疫革命』(講談社インターナショナル)など多くの著書と講演の中で、自律神経の働きが血液中の白血球などの免疫系の働きをも支配していることを明らかにし、「自然治癒力」と呼ばれるものの秘密を判りやすく説明しています。安保先生がこの理論を発見するきっかけを作り、またその理論を実践しているのが、新潟市で開業している福田稔先生です。
興奮や緊張した時に活発になる交感神経が働くと、血液の白血球の中の顆粒球が増えます。顆粒球は細菌を食べる良い細胞ですが、寿命が二、三日と短く、死ぬときに活性酸素を大量に放出します。それが粘膜や組織を傷つけ、交感神経がもたらす血流障害と合わさって、癌や潰瘍、その他の病気や老化の促進をもたらします。リラックスした時に働く副交感神経が活性化すると、血流障害が改善し白血球の中のリンパ球が増えます。リンパ球は、ウイルスや癌細胞などに対抗する免疫系の重要な要素です。これは、病気が治る一般的な法則です。二人はこの考え方を「福田―安保理論」と名づけました。
福田先生が行っている方法は、横浜市の開業医である浅見鉄男先生の、注射針一本で自律神経を調整するという井穴刺絡療法を、福田先生流にアレンジしたものです。福田先生達は、白血球のリンパ球と顆粒球の割合を検証して「福田―安保理論」から効果を判定する方法を確立し、「自律神経免疫療法」と名付けました。
井穴とは、手足の爪の角にあるツボのことです。刺絡療法とは、ツボに鍼を刺して少量の血液を出す方法で、古来より鍼灸治療で行われている方法のひとつです。「自律神経免疫療法」は、東洋思想に基づく鍼灸治療法とは異なり、お医者さんにも分かりやすく簡単に行える方法として、普及しつつあるようです。このように、鍼灸治療の有効性を理解するお医者さんが増えることは、医療全体としてとても喜ばしいことと感じます。
当院では多くの研究会等に参加し、最新の情報を皆様にご提供できるよう努力しております。

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 体の異常値・正常値

『妊娠期間』
赤ちゃん誕生は最終月経の初日から約280日
予定日よりあまり遅れると胎盤の機能が落ちる

清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 



昔から、赤ちゃんが生まれる日は、母親の胎内に10月10日いてからだといわれています。しかし、これはあくまで旧暦(太陰暦)をもとにしたもので、太陽暦で計算すると、1ヶ月早い、9ヶ月くらいになります。人間の赤ちゃんが生まれる日は、受胎後266日、最終月経の初日から約280日です。これは、ネーゲル法という計算方法で割り出した数字です。普通は最終月経のあった月に9ヵ月と7日を足した日と覚えておくとよいでしょう。
 しかし、どちらの計算方法で出した予定日でも、その日にちょうど出産する人は少なく、前後二週間程のずれは、むしろ当たり前と考えた方がよいでしょう。
 最近は、医学が進歩しているので、8〜9ヶ月の月足らずの赤ちゃんでも立派に育つようになっています。もちろん、あまり早過ぎるのはよくありません。7ヶ月以前だと、体重は1000g以下で育たないことが多いからです。
 一方、出産日より遅いのは、早い方よりなお良くありません。胎盤が老化して機能が落ちたり、胎児が育ち過ぎて、産道にはまりにくく、帝王切開しなければならないこともあります。適度な運動をして、できるだけ予定日に近い日に産む方がやはりよいでしょう。
 出産する時期にも適不適はあります。理想的には20歳代で初産、30〜35歳で産み終わった方が良いようです。16歳くらいから排卵があるので、10代でも子供を生めるわけですが、まだ身体的にも精神的にも未熟なため、適しているとは言えません。また、30歳後半の初産も10歳代と同様、産科学では特別に扱っています。いろいろと障害を伴う場合が多いことが理由として上げられます。
そして、初産は2度目のお産より大変なのは確かです。分娩時間をみると、初産、経産の違いがはっきりしてきます。初産では、陣痛時間が経産婦の2倍ほどあり10〜12時間と長くなります。また、子宮の口が全部開いてから誕生するまでが2〜3時間かかり、こちらも2〜3倍時間が余計かかっています。さらに、胎盤が出終わるのが、5〜15分ほど、計12時間半から15時間半もかかるのです。これは経産婦の約2倍になります。
 初産の方は経産婦にくらべ子宮の伸び縮みが容易ではありません。時間がかかるのも無理からぬことです。しかし、初産の方が鍼灸治療を受けていると違います。経産婦と同じくらいの時間で終了するからです。また予定日から1週間以上経過しても陣痛がこない妊婦さんに鍼灸治療をするとすぐ産気づくことも度々経験します。鍼灸治療のすばらしさを是非経験してみて下さい。

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 健やかに育つ小児はり
『薬疹』
清野鍼灸整骨院 副院長 小野寺 啓 

夏の暑さも過ぎて、ようやく秋らしく過しやすい季節がやってきました。急に涼しくなってあわてて衣替えを行っている方も多いかと思います。
こういう季節は風邪を初めとして、色々な病気になりやすい時期です。病院を受診してお薬を飲んでいるお子さんも非常に多いですね。そういったことをふまえて、今回は薬を飲んでいて起こる湿疹についてお話していきましょう。
皆さんもご存知かとは思いますが、この薬を飲んで起こる湿疹を「薬疹」といいます。
体質に合わない薬の副作用や薬の過剰投与、注射や湿布によって起こる発疹で、子供から大人まで幅広い範囲で起こります。原因になりやすい薬は主に抗菌剤、解熱剤、抗けいれん剤などですが、基本的にはどんな薬でも発疹を起こす可能性はあります。
 発疹の色や形はさまざまです。全身に赤く小さな発疹が出ることもあれば、大きさがまばらだったり、水泡が出来てただれたりすることもあります。症状が現れるまでの時間の長さにも幅があり、薬を使用してすぐに起こる即時型といわれるものから、数時間〜数日たって現れる場合も。このため、即時型以外は他の湿疹が出る病気と見分けがつきにくいことが多いようです。また、湿疹に発熱やセキを伴う場合、重症になると呼吸困難を起こすこともあるので注意が必要です。
 原因になっている薬がわかったら、直ちに使用を中止します。症状が軽ければ薬をやめることで治りますが、薬疹の場合は医師の診察を必ず受けましょう。その際は使用した薬を持参して、使用量やいつ症状が出たかなどを伝えると診断や治療の参考となります。これは自分でもメモに残すなどして、把握しておくことが大切です。
 薬疹は薬に対してアレルギー反応を示しているというのが事実です。治療法は薬をやめるという方法しかありません。湿疹が引くまでじっと待ちます。
このような場合にも、小児鍼は有効です。体の機能を回復させ、免疫力を向上させます。実際に小児鍼を行うと湿疹の引きが早まります。
じっと待っているよりも、小児鍼を受けさせて回復に努めてみては如何ですか?

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 体のしくみ

「鼻の話」

清野鍼灸整骨院 主任 金親孝明


空気も乾燥し、朝夕がだいぶ肌寒い季節になりました。風邪をひいて咳やくしゃみをしながら当院にいらっしゃる患者さんも多くなってきています。皆様は風邪などひかないようお気をつけてください。空気中のバイキンやほこりなどの有害物質からからだを守ってくれる第一の関所は鼻です。今回は、空気中の有害物質から私たちのからだを守っている鼻についてお話いたします。
ご存知のように、鼻はにおいを感じる感覚器官です。また同時に空気を取り入れる呼吸器官でもあります。顔の真ん中にある鼻という器官は、内側を粘膜に覆われた複雑な構造の空洞になっています。その空洞は鼻腔といい、気管支や肺とつながっています。鼻腔には空気が通り抜けるための上鼻道、中鼻道、下鼻道の3つの空間があります。それぞれは上鼻甲介、中鼻甲介、下鼻甲介という三つのひだによって区切られています。鼻腔の周囲には頭蓋骨の中にあり鼻道に続く副鼻腔という4つの空間があります。複雑な構造の鼻腔と副鼻腔を通りぬける空気は、温度25℃〜37℃、湿度35%〜80%に調節されて気管支に送り込まれます。また鼻腔内では空気中のほこりやバイキンを粘膜に吸着してのどや肺まで届かないようにしています。いわば鼻はからだの中の空気清浄機つきエアコンのような働きをしているのです。しかし、慢性的な鼻づまりや幼児のころからの習慣が原因で口呼吸をしている人は、せっかくの空気清浄機つきエアコンを使わずに空気を吸い込んでいることになります。のどは乾燥し、ほこりやバイキンは直接体内に取り込まれてしまいます。するとのどを中心とした呼吸器ではバイキンが増殖しやすくなり、風邪をひきやすくなります。また口呼吸を慢性的に続けていると免疫機能の低下がおき、アレルギー体質になりやすいという弊害が起こります。皆様も一度自分の呼吸を意識してみてください。もしかしたら口で呼吸をしていることにお気づきになるかもしれません。
元気に生きるには、正しく鼻呼吸をすることが大切です。正しく鼻で息をすることが、元気に生きることにつながる。ちょっとしゃれみたいになっていますが、本当のことです。正しい鼻呼吸をして、病気知らずの秋冬を送りましょう。
鍼灸治療は風邪の治療にとても有効です。特に風邪のひき始めはどんなほかの医療にくらべても最高に効果があります。ごほんといったら「〜〜散」ではなくて、ごほんといったらまず鍼灸へ。皆様のお役に立てると思います。

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 ウンコ診断学  
      『茶色のウンコ』
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典 


「灰色」「黄色」「緑色」に続く、色による病気の見分け方第4弾「茶色」です。ウンコの色は、健康のバロメーターです。一日一回朝にウンコをし、色、形を確かめることは、あなたの健康管理に必ず役立ちます。

1【茶色の水状のウンコ】
茶色もウンコの色としては健康色です。しかし、やわらかすぎたり、固すぎたりしてはもちろん異常です。さて、このウンコは、飲みすぎ、食べすぎによる消化不良を起こしたときのものです。よく観察して、血液や粘液がついていなければ、さほど心配する必要はありません。このウンコは、食中毒でない限り、暴飲暴食の証拠なものですから、多少の痛みがあっても、自業自得とあきらめることです。
 対策としては、とにかく安静にしておくことが一番です。そして、ひとまず絶食することをお勧めします。おなかを冷やすと下痢を起こしやすくなるのは腸が冷やされたために刺激されて運動が活発になるからです。消化不良と違って、あたためるだけで治ります。
 安静にして、絶食をし、おなかをあたためれば、このウンコはしだいに形をなしていきます。しかし、たいていの人は、翌日になるとすぐ会社に出かけたり仕事のために立ち働いたりします。そうすると、まだ消化力が完全にもどっていないので、ふたたび強烈な下痢に見舞われる結果となります。下痢が一応おさまっても、あと半日ぐらいは安静にするよう努力してください。安静にしていても下痢が治まらない人は、鍼灸治療を受けてみてください。すぐ治りますよ。

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 医食同源
「レバー」
「以類補類」で肝臓が強くなる
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


肝臓を気にしつつ酒を飲んでいる人が、焼き鳥屋などでしばしば注文するのがレバーです。レバーとは、いうまでもなく肝臓のことです。一般に、動物のレバーは人間の肝臓にいいと信じられているのはなぜでしょうか。
 これは漢方の「以類補類」の考え方から生まれています。つまり、「同じものを以って治す」という考え方です。例えば、食事で病気を治す中国の薬膳では、動物の内臓がよく使われます。肝臓病には肝臓、腎臓病には腎臓、心臓病には心臓などの内臓が効くと信じられています。
 中国では驚くべきことに猿の脳ミソを料理に使うことがありますが、これも脳ミソを食べれば頭がよくなるという考え方からです。
 現代医学では、以類補類などというのは根拠のない迷信として最近まで取り合ってきませんでした。しかし、実際に肝臓には肝臓が効くことが分かってきました。牛や豚の肝臓の水解物質がドイツで肝臓病の治療に使われ、それなりの効果をあげました。
 この肝臓の水解物質とは、肝臓の細胞を構成しているたんぱく質を分解して、アミノ酸の状態にしたものです。肝臓は再生能力のある臓器ですが、その再生力を肝臓の水解物質が助長するようです。また、肝臓には細胞が分裂するときに必要な成分が含まれていてこれも肝臓の働きを高めるのに効果があると考えられています。
 酒飲みの人は、肝臓の健康のためにレバーを食べることは大いに結構ですが、やはりそれ以前に飲みすぎにも注意しましょう。
 鍼灸治療が肝臓の働きを回復させることが出来るのはすでに知られているところです。肝臓の調子が悪い人は是非治療を受けてみてください。

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 健康に関する常識
― ガス中毒とはどんな中毒か ―
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


ふつう「ガス中毒」といっていますが、正確には「一酸化炭素中毒」です。体内の酸素の不足状態がガス中毒、つまり、一酸化炭素中毒です。
 血液中のヘモグロビンは酸素とくっつきやすく、また、酸素のないところでは、酸素を離す性質があります。そこで、血液は肺の中で酸素とくっつき、体内を回りながら酸素を置いていきます。ヘモグロビンは酸素の宅配便といったところです。
 ところが一酸化炭素は、酸素の300倍もヘモグロビンとくっつく力があり、しかも、一度くっつくとなかなか離れません。
 一酸化炭素を含んだ空気を吸うと、ヘモグロビンが次々と一酸化炭素とくっついて、酸素を運ぶヘモグロビンがなくなります。そのため体内の酸素が不足します。これが、一酸化炭素中毒です。酸素が不足すると、真っ先に脳がやられます。
 頭痛やめまいが起こり始めたら、第1の危険信号です。吐き気がしたら、第2の危険信号です。すぐに窓を開けて新鮮な空気を胸いっぱい吸い込みましょう。軽度なら、これで簡単に治ります。
 ガスもれで、頭痛や吐き気を感じたのに、新鮮な空気を吸わずにいると中毒が進み、意識を失います。
 そうなったら外へ運び出して人工呼吸をします。それでもだめなら酸素吸入が必要です。救急車には酸素吸入器が備えてあるから119番へ電話するといいです。
 一酸化炭素中毒で最も重要な点は、元気になってもしばらく動かさず、絶対安静にすることです。
 軽度でも脳障害を起こし、記憶喪失にかかることがあります。この中毒に最も効く薬は、何よりも新鮮な空気。後遺症を残さないためには、手当ては早ければ早いほどいいです。
身体の調子が悪いときは、深呼吸も思いっきり出来ません。酸素の吸収も充分に行われず、翌日に頭痛が残る時もあります。そんな時は鍼灸治療を受けて下さい。安静にしているよりはるかに早く頭がすっきりしますよ。

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