健康研究サークル『オアシス』会報
オアシスだより 第26号 2005年6月

 
『オアシスだより第26号発行にあたり』
清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 

1997年4月に、当院の10周年を記念して設立した、健康研究サークル「オアシス」が発足9年目を迎えました。来年は「清野鍼灸整骨院」開設20周年、「オアシス」10周年となる記念の年になります。今年一年、会員の皆様を明るい21世紀を送るための土台の年にしたいと考えております。365日間、一日一日階段を昇るように実践を積み上げたいと思います。今年度再びご継続いただいた会員、新規に入会していただいた会員、当院スタッフの力を合わせ世界のモデルとなる会に育成しましょう。
日本国内で健康に関する法律が次々に変更されています。W.H.Oを中心とした、世界の医療も、ものすごいスピードで変わっています。講演会、会報、ホームページ、体操教室等でタイムリーに確実な情報をお届けするシステム作りの構築を今年度中に確立し、次年度へのステップにしたいと考えております。皆様のご協力とご利用が励みになります。どしどしお声かけ下さい。

平成17年5月31日現在の会員数 151名 

■ 目 次 ■
 『はり』ってなあに? 『鍼灸治療を支える思想』
 『体の異常値・正常値』 『生理』
 健やかに育つ小児はり 『水痘 水ぼうそう』
 体のしくみ 『腎臓』
 ウンコ診断学 『緑色のウンコその2』
 医食同源 『ニンニク』
 健康に関する常識 『ウナギと梅干は食べ合わせか』





 『はり』ってなあに?

『鍼灸治療を支える思想 「陰陽五行説」』
清野鍼灸整骨院府中センター 院長 今田 開久

 現在、西洋医学が幾ら進んだといっても、人がなぜ病気になるのかを説明することはできていません。ところが、古代中国人は、人間の生、老、病、死を絶え間ない自然の循環の中に位置づけることで、なぜ病むのか、癒えるのかを説明できると考えました。
 その背景には、人間の生命活動も自然の一部であるとみなし、天地が生々流転する原理を人体にそっくり置き換えるという着想があったのです。その根本原理が、一般に「陰陽五行説」と呼ばれているものです。鍼灸治療の理論と実践は、この基本原理からすべて派生していることを、まずはおさえておいてください。
 たとえば、陽は太陽、陰は暗い月と観念されます。人体でいえば、背中、上半身、体表部は太陽の光を受けるので陽。腹部、下半身、体内部は陰とみなします。そして天から地へ太陽の光が降り注ぎ、温められた水蒸気が地から天へと上るように、人体でも陽気は下り、陰気は昇るというエネルギーの循環が、行われていると考えています。
 一方、人体を構成する五臓六腑(五行に分ける時は五臓五腑、経絡にあてはめる時は六臓六腑になる)は、陰陽に分けられるとともに、五行(木火土金水)にもあてはめられます。肝・心・脾・肺・腎の五臓に心包(心を包む膜で、心の働きを助けている)を加えた6つは、胆・胃・大腸・小腸・膀胱・三焦(「名のみて形なし」といわれ、ホルモンや、リンパと関係があり、小腸を助けていると考えられている)の六腑にくらべて体の内部にあるので、六臓は陰、六腑は陽となります。また、肝と胆は木、心(心包)と小腸(三焦)は火、脾と胃は土、肺と大腸は金、腎と膀胱は水の働きを持ち、相互に影響を与え合う関係とみなされます。
 生命が維持されるということは、つまり陰陽が循環し、五行のバランスが保たれることにほかならないのです。「病気とは陰陽五行のバランスが崩れた状態、五藏六府の働きが崩れた状態」なのです。
五行とは木が燃えると火となり、火は後に灰土となり、土の中から金属鉱物が得られ、金鉱のあるところに水源があり、水分が木を生長させるというように、互いに助長し協力し合う働きがあります。また、木は土から養分を吸収し、土は水をせき止め、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属は木を切るというような、制約や阻止する関係もあります。
鍼灸治療は、これらの五行の関係を利用し、五行に対応する臓腑の働きのバランスを取るように、経絡や経穴(ツボ)を考えて調整しているのです。

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 体の異常値・正常値

『生理』
今の日本人の初潮年齢は10〜12歳
経血量の多い人は、子宮筋腫の疑いがある

清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 



 「元始、女性は太陽であった」とある女性運動家が言ったことがあります。昔から子供を生む能力のある女性は、部族の繁栄に貢献するとともに、なぜ、生めるのだろうかという、神秘的な理由から、男性以上に尊敬されていました。
 日本でも、昔は初潮が訪れると、赤飯を炊いて祝ったものです。女の子から、子を生む能力を持った女性へと成熟したしるしとして祝ったわけです。これももとを正せば、遠い昔からの風習ということでしょう。
 しかし、初潮があったからといってすぐ妊娠するかというとそうはいきません。女性が妊娠するのは排卵があってからです。現在、日本人の初潮年齢は10歳から12歳ぐらいで、半数ほどがこの時期に集中しています。しかし、この頃は、生理はあっても、ほとんどの場合排卵がありません。このような状態を無排卵性月経と呼んでいて、約6年ぐらい続きます。
 排卵が始まるのは平均16〜18歳頃からで、生涯約500個の卵子を排卵することができます。そしてこの排卵も42〜45歳ぐらいで停止しますが、生理は50歳ぐらいまで続きます。生理は約40年間あっても、妊娠可能な期間は30年ほどなのです。
 しかし、昔に比べて、月経のある年月が長くなっています。つまり、早く始まり、遅く終わるわけです。
 戦前と比べて、初潮年齢は約2年早くなっていますが、これは体格が立派になるとともに運動も活発になるため、成長が早くなったからです。昔のように、16歳以降に初潮を迎えるようだと発育が遅く、栄養やホルモンの状態に欠陥があるということも考えられます。
 月経が終わる閉経期は50歳前後が普通ですが、早い人は46歳ぐらいで終わってしまいます。この月経が終わる2〜3年前からホルモンのバランスが変わるため、いわゆる更年期障害が起きてくることが多いのです。
 「毎月、生理があって嫌になるわ」と嘆いてみても、こればかりは仕方がありません。しかし、この月経の周期は人によってまちまちです。初潮の頃は、ホルモンが完成されていないので、かなり不順なのが普通です。安定してくると25〜30日ぐらいに一度やってきます。しかし、2〜3日のずれは当たり前と考えて良いでしょう。日本人は欧米人と比べすこし長いようです。
 月経の期間は、3〜5日ぐらいが一番多いです。生理の重い人だと、生理痛がひどかったり、経血量が多かったりします。あまりひどい状態だと月経困難症になります。
 経血量も個人差がありますが、若い人で60cc前後、30歳以降ではさらに多くなり、閉経期に近づくにつれて少なくなっていきます。とくに多い人は子宮筋腫などを考える必要があります。子宮筋腫は鍼灸治療で進行を抑えられます。初潮の段階では治癒します。あまり大きくなる前に、是非ご相談ください。

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 健やかに育つ小児はり
『かゆみを伴う発疹が全身に出て広がります』
―水痘 水ぼうそう―
清野鍼灸整骨院 副院長 小野寺 啓 

 これは、水痘ー帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。一度かかると一生続く免疫が出来ます。37〜38度くらいの熱とともに、お腹やおしり、首、頭部などに虫さされの様な赤い発疹が現れ、これが半日から1日くらいの間に全身に広がります。発疹は口の中やまぶた、陰部などの粘膜にもできます。最初は赤かった発疹はやがて水ぶくれに変わり、かゆみが強くなります。さらに2〜3日後から膿を持つようになり、やがてかさぶたになってはがれ落ちます。発疹ができてから治るまでの期間は10日前後です。
まだ症状が出るか出ないかの早い時期に服用すると効果的なのが、抗ウイルス剤のアシクロビル。この薬をタイミングよく服用させると発病しても軽くて済みます。かゆみがひどいときは掻き壊さないようにつめを切り、かゆみ止めの塗り薬を使ったり、抗生物質を飲ませます。熱は1〜2日続くことがありますが解熱剤は使用せず、様子を観察します。
まだ寒い日が続きますね。お母さんたちは風邪やインフルエンザなどの対応に四苦八苦しているのではないでしょうか?
寒い時期に、急に嘔吐し1日に何回も下痢をする病気があります。細菌やウイルスなどの病原体が腸に感染して起こる病気で「乳児嘔吐下痢症」と呼ばれています。
多くはロタウイルスの感染が原因で、冬に発症する下痢の代表的なものに挙げられます。感染すると白っぽい水のようなウンチを何回も出すので、お母さん達にもすぐわかると思います。
ウンチが白くなるのは、色素になる胆汁が分泌されなくなるためで、米のとぎ汁に似たウンチをしているのが特徴です。
 ロタウイルスというのは感染力が強く、唾液や排泄物から経口感染します。6ヵ月から1才代の赤ちゃんが一番多くかかります。潜伏期間は2〜4日で、1週間から10日くらいで治ります。吐くのは2日位で、下痢は1週間くらい続きます。
 西洋医学では、すでに触れたようにウイルスが嘔吐や下痢を引き起こすと考えます。そのため、治療する手段はなく、脱水症に注意して水分補給をして安静に過ごすだけです。
 東洋医学では、嘔吐や下痢は体の中に発生した「冷え」が原因で起こると考えます。睡眠不足、甘い物の食べ過ぎ、冷たい物の摂り過ぎなどによって体の中に「冷え」が発生します。体はその「冷え」を排除しようと反応します。その反応が、嘔吐や下痢となりはっきりとした症状として現れるのです。ですから、嘔吐や下痢の症状は「冷え」を改善しようとする好転反応なのです。治療は、体を温める治療を行います。
つまり小児はりやお灸の治療を行うのです。もちろん安静にして体が冷えないような過ごし方も守ってもらわなければなりません。
 子供の体に起こる病気は、良くなるのも悪くなるのもそのときの処置にかかってきます。病院にいって、病気の名前を聞いて納得しているのではなく、子供のために出来ることをしてあげてください。
まずは一度来院してはり・きゅう治療を受けさせてみてください。いろいろな病気の予防も可能ですよ。

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 体のしくみ

「腎臓」

清野鍼灸整骨院 主任 金親孝明


 腎臓の働きは尿を作って排泄することです。尿を排泄することでからだの約6割といわれる体液の量、質を一定に保っています。腎臓は背骨の左右に1つずつある重さ約150グラム、長さ約12センチメートル、幅約6センチメートル、厚さ約3.5センチメートルのソラマメのような形をした臓器です。腎臓の入り口には血管や尿管が出入りしています。腎臓に流れ込む腎動脈からは、心臓が送り出す全血液量の約4分の1が常時送り込まれています。血液が腎臓に入ると、その内の血球とたんぱく質以外がこしだされます。それが尿の元になる原尿です。1日に約150リットル作られます。しかし、1日に150リットルも水分を排出していたら人間はすぐに死んでしまいます。腎臓は、水分の約99パーセント、糖の100パーセント、ナトリウム、カリウムなど塩類の必要な量だけを原尿から再び吸収し、尿素などの老廃物、余分な塩類、毒物、薬物を濃縮して尿を作ります。尿は1日に約1.5リットル作られます。腎臓は、尿を作り排泄することにより体内の環境を保っているのです。
現在巷では、水分をたくさん取ると血液がさらさらになるといって、1日に2リットル、3リットルも水を飲む健康法が流行しています。しかし、腎臓は1日に1.5リットル程度しか尿を作ることができません。多量に水分を取ると腎臓は体内の環境を一定にするために本来持っている能力よりも多くの尿を作らなくてはなりません。そのような生活を長期間続けていると腎臓も疲労してしまい、挙句の果てには腎臓の病気となる可能性が高くなるのです。
腎臓が疲れると水分を排泄する働きが衰えてきます。体内の余分な水分は「むくみ」となります。また、腎臓の疲れは反射的に腰の痛みやだるさとなります。血液の流れが悪くなりますので手足の冷えも強くなってきます。むくみや腰痛、手足の冷えが強いと感じる方は腎臓の働きが弱ってきている信号です。腎臓の疲労は体の様々な部分に悪影響を及ぼします。水分の取りすぎにはご注意ください。
鍼灸治療は内臓の働きを高める医療です。鍼灸治療をして、正しい生活を送ることで腎臓の疲労も回復してきます。何か体に気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

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 ウンコ診断学  
      『緑色のウンコ』その2
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典 


「灰色」「黄色」に続き、色による病気の見分け方第3弾その2。ウンコの色は、健康のバロメーターです。 毎朝自分でチェックできる簡単な方法です。是非知識を深め、ご利用ください。

1【緑色のバナナ状のウンコ】
基本的に健康なウンコです。緑色の原因は、緑色野菜の摂りすぎであるということを、前回詳しく述べましたが、それに伴って葉緑素のウンコに対する影響を少しお話しましょう。緑色野菜の中に含まれているごく自然の葉緑素は、少しぐらい多量に摂取しても、ウンコの色は緑色になりません。完全に消化された葉緑素は、腸内で分解され、緑褐色から褐色に変化して、直腸に達するころには、もう緑色のかげも形もなくなっています。ですから、葉緑素がそのままウンコに混じって出て、ウンコに緑色の影を投げかけるときは、何らかの理由で消化不良を起こしそうなものはなかったかを考えてください。このような理由で、葉緑素とウンコの混じり具合によって、胃腸の消化状態がわかりますから、葉緑素は消化状態のバロメーターになることがあります。
             
2【緑色のカチカチ状のウンコ】
このウンコは、稀にしか見られないもので、緑色野菜の食べすぎや、胃腸薬の飲みすぎで緑色になったウンコが、便秘したケースです。ですから、実際には、かなり黒ずんだ緑色になります。緑色であること自体、そんなに悪いことではありませんから、便秘の対策を考えるようにしてください。

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 医食同源
「ニンニク」
体力が落ちてきた中高年の「総合薬」
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


古来より、寺院の山門には「葷(くん)酒山門に入るを許さず」と記されていました。葷とはニンニクのことです。酒とニンニクは仏道の妨げになるので、禁制の品でした。ニンニクの語源も仏教用語の忍辱(ニンニク)からきています。辱(はじ)を忍んで隠れて食べる食物だったのです。
 ニンニクの評判は、中国でもよくありません。唐時代に記された医書『千金方』では「これを蜜に合わせて食えば人を殺す」と、ニンニクの害を警告しています。江戸時代に貝原益軒が記した薬学書『大和本草』でも「その性は悪い。多食すべからず」と述べられています。
 なぜ、こんなにニンニクが悪くいわれなければならなかったのでしょうか。要するに、ニンニクを食べすぎると精力がつきすぎてしまうからです。それでも、ニンニクの強力な作用は、誰もが知っていました。だから、隠れてこっそり食べられていたのです。
 しかし、その汚名はもう返上されるべきです。ニンニクの強精作用の秘密がアリシンという成分にあることがいまでは確かめられています。その成分は肝臓病、糖尿病、動脈硬化などの成人病の改善に役立つこともわかっています。ニンニクは単なる強精食品というより、体力的に衰え始めた中高年の《 総合薬 》といってもいいでしょう。
 とはいえ、ニンニクの悪臭には誰もが閉口します。このにおいのもともアリシンです。ニンニク臭を消すには、緑茶に含まれるフラボノイドに速効的な効果があります。ニンニク料理を食べたあとに、緑茶の葉を口のなかでよく噛んで、それを吐き出すことを繰り返していると、においが気にならなくなります。

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 健康に関する常識
「ウナギと梅干しは食べ合わせか」
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


昔から、ウナギと梅干を一緒に食べると、食べ合わせだから危険だとよくいわれます。その他にも、トウモロコシとハマグリ、カニと氷水、タコと柿、天ぷらとスイカなど食べ合わせの例は多くあります。
 しかし今日の研究では、食べ合わせに科学的な根拠は出ていません。ウナギのかば焼きと梅干を朝、昼、晩と三食三日間食べ続けて実験した人がいますが、最後の夕食後もケロリとしていました。薬には配合禁忌といって混ぜると毒のものがありますが、食物には食べ合わせで毒が生じるということはありません。
 ただ、食べ合わせといわれるものの中には、消化によくないものがあります。トウモロコシとハマグリはどちらも消化が悪いですし、カニはいたみやすく、氷水は腹を冷やします。だから、これらを組み合わせて食べるときは、腹痛や下痢を起こさないように十分注意しなくてはなりません。
 健康なときには、何を食べても大丈夫です。体調不良のときは、「食べ合わせ」が、適面にひびくことがあります。そのようなときは、食べ合わせといわれている消化のよくない物は、用心して食べないほうがいいでしょう。食べ合わせは、昔の人の食品衛生に対する一つの知恵なのです。

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