健康研究サークル『オアシス』会報
オアシスだより 第25号 2005年3月

 
『オアシスだより第25号発行にあたり』
清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 

日本の医療システムが確実に変わり始めました。「混合治療」という言葉がマスコミに度々登場しています。自費診療分が増え、医療機関を頻繁に受診することが困難になることが予想されます。また、介護保険制度の見直し案が国会に提出されました。おいそれと、寝たきりにはなれません。当会をどんどん利用くださり、健康な毎日をお過ごしいただけることが、この会の設立目的ですし、存続している最大の理由です。来年度も是非、ご利用下さい。

平成17年2月18日現在の会員数 180名 

■ 目 次 ■
 『はり』ってなあに? 『ツボのはなし』
 『体の異常値・正常値』 『肝臓』
 健康に関する常識 『"塩は生命の元"はウソ』
 健やかに育つ小児はり 『乳児嘔吐下痢症』
 体のしくみ 『血圧について』
 ウンコ診断学 『緑色のウンコ』
 医食同源 『ゴボウ』





 『はり』ってなあに?

『ツボのはなし』
清野鍼灸整骨院府中センター 院長 今田 開久

 

 鍼灸治療は「ツボ」に鍼を刺したり、お灸をすえたりする治療法ですが、その「ツボ」とはどのようなものなのでしょうか?
皆さんは「ツボ」というと、まずどんな事を連想されるでしょうか?「ツボを心得た」とか、「ツボを押さえた」とかいう言葉を思い出されるのではないでしょうか。これらはみな、「何か大切な事」、「大切な事をうまくつかんでいる」という例えとして使われる言葉です。このたとえのように、「ツボ」とは一口で言って、人間の体の中で特に大切な場所を言い表す言葉で、時によっては「急所」とも言われます。私たちは、鍼や灸の刺激を加えることによって、遠く離れた場所に反応を起こし、身体の状態を変化させ、病変を好転させることのできる場所のことを「ツボ」と呼んでいます。例えば、足の三里と言う「ツボ」に鍼をすると、胃が動き出すと言った変化が起こります。
 東洋医学では、五臓六腑の働きが人体の活動を担う本質であり、これらにエネルギーを与える経路が身体に流れているという考え方があります。この経路のことを経絡(けいらく)と言います。経絡は経脈(けいみゃく)と絡脈(らくみゃく)からなり、経脈は一定の循行経路を持つ主流脈です。絡脈の絡とは網のように絡む(からむ)という意味で、経脈を互いに連絡させています。五臓六腑を養うためのエネルギー(東洋医学では気)が経絡を通り、頭のてっぺんから足のつま先に至るまで、流れていると考えています。「ツボ」は経脈を流れている気が身体に出入りしたり、たまったりする場所と考えられています。特にこれらの経絡上の「ツボ」を「経穴 (けいけつ)」と呼んでいます。経穴は経絡に流れえるエネルギーの過不足を診断するとともに、過不足を整えて体の機能を正常にする治療点としての働きもしているのです。
 鍼灸治療で使う刺激点は、経脈上の点(経穴)だけではなく、指で圧すると痛みや快感などを得られる場所もあります。これらを阿是穴(あぜけつ)と呼びますが、これも「ツボ」の一種です。最近、足「ツボ」マッサージと言った言葉を耳にしますが、この「ツボ」は古来より伝わる「ツボ」(経穴)の事ではありません。足は全身に対応しており、その対応する場所を刺激すると身体に影響を与えることができると言う、新しく考えられた足の反射区療法です。耳の「ツボ」もこれと同じく新しい治療法のひとつです。
先日、中国、韓国と日本で、「ツボ」(経穴)の位置に違いがあると言う記事が、新聞に掲載されました。これは二千年以上前に生まれた「ツボ」の考え方が、学者により違いが生じ、時代により変化した事によるものです。中国、韓国、日本で選んだ学説の違いにより多少差が生じてしまったのです。しかし、「ツボ」(経穴)は経絡上の反応点であるため、教科書は反応点を探す目安でしかなく、実際の診察や治療では大きな問題にはならないのです。ただ、鍼灸治療が欧米で注目されている現在、鍼灸治療を長年実践してきた中国、韓国、日本で教育や考え方に違いがあると混乱を生じてしまう恐れがあるので、東洋医学の国際化に向け、「ツボ」の教科書の統一を図るため、現在作業をしているところなのです。その作業に、私たちの卒業した明治鍼灸大学の教授も参加しており、当院では、世界の最新情報を皆様にご提供できるよう、大学と情報交換をしております。


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 体の異常値・正常値

『肝臓』
肝臓は厚さが15〜16p、重さ1sが正常値
肝硬変が悪化すると400gに縮んでしまう

清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 



特に重要なものを指して「肝腎要め」といっている。肝は肝臓の意味で、腎は腎臓または、心臓のことをいっています。人体の中で肝臓がこれほど重要視されているのは、なぜでしょうか。
肝臓は、腸で吸収された栄養分を、使いやすい形に変えて、血液を通し身体中に送っています。例えば、ごはんやパンなどから分解、吸収された糖質は、肝臓でブドウ糖やグリコーゲンに変えられます。脂肪は、中性脂肪やコレステロール、リン脂質になり、蛋白質はアミノ酸に分解され全身に運ばれます。これらの他、肝臓では、約500種類もの物質が分解処理されているといわれています。中には、アルコールやニコチン、有害な食品添加物、農薬、色素などもあります。身体に送られた、これらの有害な物質を解毒するのも肝臓の働きです。腸から吸収された栄養分は、必ず肝臓を通って解毒されてから、身体の中に入っていきます。このような機能を持つことから、肝臓は「人体最大の化学工場」と呼ばれています。
 化学工場としての役割の他、肝臓には、「貯蔵庫」の働きもあります。余分な脂肪や糖分、ビタミン類を蓄えています。また脂肪の消化吸収に必要な胆汁もつくっています。
 このように、もし、肝臓がなかったら、身体に栄養が回らないばかりか、有害な物質が入ってきてしまうわけです。医学が未発達だった昔から重要な臓器とされ、ことわざにもなっています。肝臓は右側の肋骨の一番下のところにある非常に大きな臓器です。幅30p、奥行き25pもあります。厚さは、15〜16pで電話帳ぐらいあり、重量は、1sあります。
肺や腎臓など、大切な臓器は、片方が駄目になっても、もう一方だけで生きていかれるよう一対になっています。
肝臓もくっついてはいますが左右分かれています。そして、肺や腎臓が一つでもやっていかれるように、二つあり、予備能力をもっているのと同様、肝臓にもその働きがあります。もちろん肝臓を全部取ったら一日も生きていられませんが、半分くらい切り取っても心配いりません。
肝臓は、肋骨の内側に隠れているので、普通は外から触れることができません。
肝炎・肝臓癌、胃癌などの転移・肉腫・マラリヤ・白血病にかかると肝臓肥大になります。こうなると、肋骨の下まで肝臓が下がってきて、容易に触れるようになります。一方、肝硬変では、逆に小さくなります。ひどい時には、正常値の半分以下になり、40gぐらいに縮まり死んでしまいます。
現在、肝臓障害に有効な薬はありません。鍼灸治療をすると肝臓の働きが、正常な機能を取り戻すことが確認されています。急性肝炎になると、何ヶ月も安静にして入院していなければいけませんが、鍼灸治療をすると2〜3週間で回復します。
当院でも同様のことが何例もあります。「肝臓病」と診断されたら、是非、鍼灸治療を選択してください。

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 健康に関する常識
『脳卒中』 "塩は生命の元"はウソ
清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 

 「塩は生命の糧」と昔からいわれ、長い間、塩なしでは生きられない、と信じられてきました。しかし、最近の研究では、「大汗、下痢などで多量の塩を体外に出したとき以外は、塩を全く取らなくても生きていられる」ということが分かってきました。
 ブラジルやニューギニア、オーストラリアなどでは、塩なし生活の原住民がいます。食塩はナトリウムの補給源です。ナトリウムは魚や肉などに含まれているので、食塩を摂取しなくても、特に不足することはありません。
 逆に、食塩は血圧を高めます。そして高血圧は脳卒中の原因になります。
 脳卒中は日本人の死因の第2位を占め、欧米に比べてはるかに多いですが、それも食塩の取りすぎからといわれています。塩は生命の糧どころか、有害添加物として、取りすぎの危険を警告されているのです。

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 健やかに育つ小児はり

突然吐いて下痢をしたら…。
『乳児嘔吐下痢症』

清野鍼灸整骨院 院長 清野充典


 まだまだ寒い日が続きますね。お母さんたちは風邪やインフルエンザなどの対応に四苦八苦しているのではないでしょうか?
寒い時期に、急に嘔吐し一日に何回も下痢をする病気があります。細菌やウイルスなどの病原体が腸に感染して起こる病気で「乳児嘔吐下痢症」と呼ばれています。
多くはロタウイルスの感染が原因で、冬に発症する下痢の代表的なものに挙げられます。感染すると白っぽい水のようなウンチを何回も出すので、お母さん達にもすぐわかると思います。
ウンチが白くなるのは、色素になる胆汁が分泌されなくなるためで、米のとぎ汁に似たウンチをしているのが特徴です。
 ロタウイルスというのは感染力が強く、唾液や排泄物から経口感染します。六ヶ月から一才代の赤ちゃんが一番多くかかります。潜伏期間は二〜四日で、一週間から十日くらいで治ります。吐くのは二日位で、下痢は一週間くらい続きます。
 西洋医学では、すでに触れたようにウイルスが嘔吐や下痢を引き起こすと考えます。そのため、治療する手段はなく、脱水症に注意して水分補給をして安静に過ごすだけです。
 東洋医学では、嘔吐や下痢は体の中に発生した「冷え」が原因で起こると考えます。睡眠不足、甘い物の食べ過ぎ、冷たい物の摂り過ぎなどによって体の中に「冷え」が発生します。体はその「冷え」を排除しようと反応します。その反応が、嘔吐や下痢となりはっきりとした症状として現れるのです。ですから、嘔吐や下痢の症状は「冷え」を改善しようとする好転反応なのです。治療は、体を温める治療を行います。
つまり小児はりやお灸の治療を行うのです。もちろん安静にして体が冷えないような過ごし方も守ってもらわなければなりません。
 子供の体に起こる病気は、良くなるのも悪くなるのもそのときの処置にかかってきます。病院にいって、病気の名前を聞いて納得しているのではなく、子供のために出来ることをしてあげてください。
まずは一度来院してはり・きゅう治療を受けさせてみてください。いろいろな病気の予防も可能ですよ。



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 体のしくみ  
      『血圧について』
清野鍼灸整骨院 主任 金親孝明 


 心臓から全身に血液を送るためには強い力が必要です。そのため心臓は収縮、拡張を繰り返します。このとき全身に血液を送り込む圧力のことを「血圧」と言います。血圧は心臓の拍動で変化します。心臓が最も収縮したときの数値を「最高血圧」、心臓が最も拡張したときの数値を「最低血圧」といい、最高血圧と最低血圧の差を「脈圧」と言います。一番収縮したときと一番拡張したときの血圧の差が脈圧ですから、脈圧が大きい人ほど心臓の働きは強いと言うことになります。成人の正常血圧は、最高血圧が130から100mmHgぐらいまで、最低血圧が80から50mmHgぐらいです。一般的に年齢プラス90が最高血圧の目安と言いますが、高齢になっても血圧は150mmHgを越えない方がいいでしょう。
では、血圧が高いということはどういう事でしょうか? 血圧とは、血液が血管に押しつけられるときの圧力です。柔らかい子供の血管は、激しい運動をしたとしても、弾力があるため血圧は高くなりません。それに対し、加齢によりコレステロールが付き、動脈硬化の状態になった血管は、末梢の抵抗が大きくなり、血圧が高くなってしまいます。また、疲労やストレスなどにより末梢血管が収縮してしまった場合でも、一時的に血圧が上がることがあります。心臓の働きが強いと脈圧は大きく、最高血圧は高くても最低血圧は低い状態となります。しかし、心身の疲労が取れずに末梢血管の収縮が長い間続くと、心臓自体が疲れてしまい、最低血圧も高くなります。
では、高血圧の状態を解消するにはどうすればよいのでしょうか?降圧剤などを飲んで血圧を下げることは根本的な解決になりません。食事制限、適度な運動をすること、過度な労働やストレスによる疲労、睡眠不足をさけることが大切です。動脈硬化と長期にわたる血行不良を防ぐことが高血圧を防ぎます。
鍼灸治療は、高血圧の原因となるストレスや疲労を取り除く医療です。同時に末梢の血管を柔軟にし、動脈硬化の解消も可能です。血圧が気になられている方は、是非私たちにご相談下さい。

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 ウンコ診断学
『緑色のウンコ』その1
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


 「灰色」「黄色」に続き、色による病気の見分け方第3弾。今回は、「緑色」です。

1【緑色の水状のうんこ】
 小腸、あるいは大腸の炎症で激しい下痢を起こした時に、まれに見られるウンコです。緑色の下痢をするには2つの理由が考えられます。1つは、食中毒のような急性腸炎を起こしたとき、腸内細菌のバランスが崩れて、正常な食べ物の分解作用が行われなくなり、さらに炎症性産物がウンコに混じる場合です。もう一つは、激しい下痢の副作用として、胆汁のビリルビンが、分解されずに腸を素通りする場合です。特にウンコが酸性のとき、緑色のトーンをおびるようになります。
 いずれにしても、大人では大変まれな例ですが、ウンコの緑色そのものは、さほど心配する必要はありません。それよりも、下痢や腸炎を治すように十分な治療を受けなければなりません。             

2【緑色の泥状のウンコ】
溶血性黄疸という病気のために、赤血球がたくさん破壊された時に出るウンコです。赤血球が壊れてたくさんのビリルビンができるため、その一部が分解されずウンコに出ます。あまり見られませんが、危険なウンコです。また、食品や薬品によるウンコの変色も考えられます。
最近では、ビタミン剤や緑色の胃腸薬を気軽に飲むようになったため、度を超してウンコの色まで変わるほど飲む人がいます。この薬の飲み過ぎによる緑色のウンコは、泥状よりも半練状やバナナ状に多いので、次で詳しく説明します。

3【緑色の半練状のウンコ】
これは明らかに、食品や薬による緑色のウンコです。よく見ると、黄褐色のウンコに、紫色や濃い緑色の斑点が混じっている場合がほとんどです。このウンコの原因の一つは、緑色野菜の取り過ぎや消化不良です。野菜は、ビタミンを多く含んでいますので、私たちは好んで食べることが多いのですが、あまり食べ過ぎると消化しきれずウンコの色に影響を及ぼします。緑色野菜は、血液の原料である血色素と化学構造が似ていることから、たくさん摂取すれば生気がつくと考えられ、ジュースにして飲むことがたいへん流行した時期がありました。いわゆる青汁療法です。確かに青汁には、葉緑素やビタミン類、それに胃腸の活動を活発にする物質が多く含まれています。しかし、いくら青汁が体に良いといっても、これだけに頼るのは考えもので、栄養不足になってしまいます。
この青汁の一種ですが、キャベツ汁には、胃潰瘍に効果のある成分が含まれており、キャベツから名前をとった胃腸薬も市販されています。胃潰瘍に効く成分というのは、メチルメチオニンスルフォニウムクロライドとグルタミンという二つのものが知られています。しかし、この成分は、胃潰瘍でない人が飲んでも予防の役には立ちませんから、保健薬として飲んでも意味がありません。
いずれにせよ、健康なウンコの変種ですから、心配する必要はありませんが、青汁の飲み過ぎでしたら節制するようにしてください。


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 医食同源
『ゴボウ』
ビフィズス菌を増やして腸の健康を守る
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


ゴボウは古くから強壮の食物として知られています。中国の薬物書『本草綱目』にも「ゴボウの根を久しく服すれば、体を軽くし、老衰を防ぐ」とあります。
しかし、強壮食と言われていても、実際には、ゴボウの栄養価はそれほど高くありません。ビタミンは、ほとんどゼロです。カルシウムもたんぱく質も微々たる量しかありません。あるのは、硬い繊維ばかりです。
ところが、その食物繊維がよく効くのです。ゴボウのたっぷり含まれている食物繊維には、大腸癌、肥満、糖尿病、動脈硬化、心臓病、高血圧などを防ぐ作用があることが分かっています。また、ゴボウの繊維は、腸内の善玉菌を増やして、老化防止に役立つことも判明しています。
腸内には、驚くべきことに100種類100兆個もの細菌が住み着いています。このうち、ビフィズス菌のような善玉菌は、体を感染から守る、便秘・下痢を防ぐ、ビタミンB群を作る、発ガン物質を分解するなどの良い働きをしています。これに対して、ウェルシュ菌などの悪玉菌は有害物質を生成して、血圧を上げたり、発ガンを促進させたりして、体の老化を進めています。
ビフィズス菌が圧倒的に多いのは赤ちゃんの時期です。後は、老化とともに減り、代わりに悪玉菌が増えます。ただし、長寿と呼ばれる人たちの腸内には、ビフィズス菌がたくさんいます。
日本有数の長寿村として知られる、山梨県棡原村のお年寄りと東京都内の老人ホームのお年寄りを比較してみたところ、平均年齢が上にもかかわらず、柚原村のお年寄りの方からは、ビフィズス菌が多く検出されました。柚原村のお年寄りは、ゴボウのような食物繊維をよく食べているために、腸内がきれいで、ビフィズス菌がたくさんいたのです。
ゴボウは、腸内をクリーンにして、体の老化を予防すると言う意味で、確かに強壮食といえます。  

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