健康研究サークル『オアシス』会報
オアシスだより 第24号 2004年9

 
『オアシスだより第24号発行にあたり』
清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 

アテネオリンピックでは日本勢が史上最多のメダル獲得にわきました。最近では、パラリンピックにも目が向けられ健常者と身体が不自由な方の交流も盛んになってきています。
 高齢化社会の今、若者と交流する社会づくりも同様の対応が必要です。介護保険が、整備され、一見社会の制度が完成し、老後は安心というイメージができあがりつつありますが、実情はまだまだです。死ぬまで元気で生活する意識を強く持つことが現代社会に求められています。食事・運動・休養・睡眠など全ての日常生活を見つめ直してください。皆さんが元気で生活できるヒントが沢山あるはずです。
 なお、11月14日(日)には、第18回オアシスの集いを行います。皆様のご参加をお待ちしております。
 健康研究サークル「オアシス」は、「健康で生きたい」あなたを応援する会です。どしどしご利用下さい。

平成16年9月29日現在の会員数 180名 

■ 目 次 ■
 『はり』ってなあに? 『韓国の鍼灸』
 『体の異常値・正常値』 『肺臓』
 こんなときどうする 『脳卒中』
 健康に関する常識 『酢を飲むと体が柔軟になるのか』
 健やかに育つ小児はり 『熱性けいれん』
 体のしくみ 『首と肩のしくみ』
 ウンコ診断学 『黄色いウンコその3』
 医食同源 『サンマ』





 『はり』ってなあに?

『韓国の鍼灸2』
清野鍼灸整骨院府中センター 院長 今田 開久

 

 清野鍼灸整骨院では平成16年3月17日に、韓国の首都ソウルにある慶煕(キョンヒ)大学韓医学部と慶煕大学附属韓方病院を視察することが出来ました。隣国でありながら、あまり知られていない韓国の、鍼・灸・漢方薬について、前号よりご紹介してきました。今回はその内容を少し詳しくご説明いたします。
 視察させていただいた、慶煕大学には附属の韓方・洋方・歯科病院があり、その中の韓方病院の外来、入院病棟、韓方薬の製造工場を見ることができました。韓国では東洋医学、西洋医学が社会的に同等の存在と認められていて、実際に受診する患者は韓方病院と洋方病院を自分の症状に合わせて自由に選択できます。
 慶煕大学附属韓方病院の外来は、内科、鍼灸科、韓方婦人科、韓方小児科、韓方神経精神科、韓方眼・耳鼻咽喉・皮膚科、韓方リハビリ科、四象体質科、東西共診室、韓方気功室、機器診断室、韓方救急室に分かれています。内科は東洋医学の五臓(肝系・心系・脾系・肺系・腎系)に分けて診療しています。韓国で特徴的なのは、四象体質医学という考え方の基に診療が行われていることです。四象体質医学とは、患者を太陰・少陰・太陽・少陽の4パターンに分類し、各パターンに配当されている治療方針に基づいて治療を行う系統だった医学です。
 また少し変わった治療法としては、蜂針と呼ばれるもので、蜂の毒を精製し薄めたものを皮下注射して治療する方法で、いろいろな病気に効果があるとのことでした。また、アロマ鍼という香りがついている珍しい鍼も紹介され、韓国人の研究熱心さが伝わってきました。
  附属韓方病院の入院病棟は総ベッド数400床で、そのうち80%が脳卒中患者だそうです。韓国では特に、脳卒中の後遺症には鍼灸治療が効果的であることが認知されており、脳卒中後に鍼灸治療を希望する患者さんが3割を超えています。入院患者さんは、鍼灸治療を受けるとともに、漢方薬を煎じ薬で処方されています。病院内に漢方薬を煎じる部屋があり、患者さんごとに調剤された生薬を煎じて病棟に運んでいました。日本の大学附属病院で、煎じ薬で治療を行っているところは、富山医科薬科大学だけと聞いていましたので、韓国では、東洋医学が普通に行われていることに驚かされました。その後、街の漢方薬市場を訪れたときに、生薬が野菜のように普通に売られているのを見て、朝鮮人参の産地である韓国なのだから、東洋医学が国民の生活に定着しているのは当然であると納得しました。
 日本は明治維新後の教育が西洋科学に偏り、国民の中には東洋的なものは何かマユツバものといった印象を持つ人が多いように感じます。しかし鍼灸治療・漢方薬は欧米の国も認める立派な医療なのです。伝統を大切にしながらも発展する韓国を訪問して感じたことは、日本も伝統的なものを再認識すべきではないかと言うことでした。


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 体の異常値・正常値

『肺臓』 肺の中には7億5000万個の肺胞がある。純粋酸素だけでは身体の調子は悪くなる

清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 



 空気中の酸素を身体の中に入れ、身体の中にある炭酸ガスを外に出すのが肺の機能です。しかし、空気は窒素がほとんどで、酸素は、約20%に過ぎません。それなのにどうやって酸素だけをより分けて身体の中に入れ炭酸ガスだけ外に出せるのだと思いますか?
 酸素を取り入れ、炭酸ガスを排出することを最終的に行っている場所は肺胞です。肺胞は、丸い粒々の様な形をしています。このような形だと表面積が多くとれるため、コンパクトなサイズで、空気の出し入れが効率的に出来るのです。肺の中には、この肺胞が7億5000万個くらいあると推定され、表面積を全てあわせると、60〜80uほどになります。家一軒が建つ20〜30坪という広さです。つまり、肺は、家一軒が建つほど広い面積で空気の出し入れを行っているのです。この広さは人間の体表面積の約25倍にもなります。
 肺胞では、血液と吸った空気が接しています。この時血液中の酸素の割合は、空気中のそれより低く、血液より空気の方が酸素が濃い状態になっています。このような状態になっていると、空気中の酸素と、血液中の酸素の量が等しくなるように、物理的な力が働きます。空気中の酸素が、肺胞に接している毛細血管に流れ込むのです。そして、両方の酸素の濃度が、等しくなると、酸素は血液中に流れ込まなくなります。
 一方、空気中の炭酸ガスの量と、血液中の炭酸ガスの濃さを比べると、血液の方が圧倒的に濃くなります。そのため、肺胞では、血液中の炭酸ガスがどんどん外へ出て行ってしまいます。
 また、空気中に含まれているその他の窒素などは、血液中でも空気の中でもたいして濃度は変わりません。ほとんど肺胞での出入りが必要ないのです。そのため結果的には、酸素だけが肺胞を通じて血液の中に入り、炭酸ガスが出て行くように見えるのです。
 最近、アクアラングを使って海水に潜るスキューバーダイビングが流行しています。以前は、純粋酸素をボンベに詰めていましたが、肺の機構から考えると酸素だけではかえって調子が悪いことが分かりました。必要以上に酸素が体内に入ってこようとするため、肺の機能が自然のままでなくなってしまうからです。
 このため、最近では、純粋酸素を使わず、空気をボンベに詰めるようになってきました。こちらの方がやはり効率がよく、疲労も少なくなります。
 よく、一酸化炭素中毒になった人に酸素マスクをかけて、救急処置をすることがあります。このときも、ある程度のところまでくると効果がなくなり、かえって酸素中毒になることがあるのです。
 健康体操教室では、効果的な呼吸法が体得できます。最近、息切れがする、疲れやすい、呼吸が浅いと感じておられる方は是非ご利用下さい。


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 『こんなときどうする』
『脳卒中』
清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 

よだれをたらし高いいびきをかく
気道の確保とコーマポジション(昏睡の体位)をとらせる


 突然、あなたの目の前で家族や友人が脳卒中で倒れたらどうすればよいでしょうか。
 よく、救急医療の本を読むと、脳出血(脳の血管が破れて出血する)と脳梗塞(脳の血管に血液の塊が付着して詰まり、血流障害が起きる)の見分け方が書いてあります。しかし、医師でさえ見分けるのは難しいものを一般の者でも見分けられるのでしょうか。人が、倒れてから最も重要な4分以内に、症状を見分け完璧な応急処置をするには時間が無いはずです。
 そこで誰にでも判断がつく範囲の応急処置を述べます。意識を失って倒れよだれを垂らしたり、ゴーゴーと高いいびきをかいたら、脳卒中と判断して先ず間違いはありません。
 この場合も危険なのは、舌根が落ちて気道をふさぎ呼吸が出来なくなり窒息する可能性が強いことです。ここで皆様に出来る応急処置は、救急車が来るまでに気道の確保を確実にすることにつきます。脳卒中の時に最も効果的な方法は、コーマポジション(昏睡の体位)です。病人をやや横向けうつ伏せに寝かせ下あごを少し突き出させて、舌根が落ちないようにする方法です。この体位なら、たとえ嘔吐が起きても窒息を防ぐことが出来ます。
 この時、「頭を高く寝かせるとよい」とよく言われますが枕を使って頭だけを上げると、かえって気道が狭くなり呼吸困難になります。たとえ呼吸は出来たとしても、脳からの血液が戻りにくくなるため、脳にうっ血が起こり、酸素が十分にいきわたらないので脳圧が上がり、ますます意識障害をひどくします。これは絶対に避けたい処置です。
昏睡の体位をとっても、息を吹き返さない時は仰向けにして頭を後ろにそらせ、すぐ人工呼吸を始めます。脳卒中は、いびきをかいている重症なものでも正しい気道の確保で助かった例がいくつもあります。倒れてから4分間のゴールデンタイムのうちに、これさえ出来ていればあわてる必要はありません。

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 健康に関する常識

『酢を飲むとからだが柔軟になるのか?』

清野鍼灸整骨院 院長 清野充典


 昔、サーカスの芸人は、毎日酢を飲んでからだを柔らかくしている、といわれていました。アジなど魚のから揚げを酢にひたしておくと、骨が柔らかくなって、骨ごとたべられる。このことから類推して、この俗説がうまれたのでしょう。
 サーカスの芸人はからだが柔軟です。しかし、これは酢を飲んだからではありません。
 確かに、酢はカルシウムを溶かしますが、骨まで柔らかくするには、少々酢を飲んだくらいでは、まず不可能です。それに多量に酢を飲んで、もし骨が柔らかくなったとしたら、大変なことになってしまいます。
 からだの柔らかい、硬いは関節の柔軟度によって左右されるもので、骨の硬さではありません。いくら酢を飲んでも関節への影響は何もないのです。
 からだを柔軟にするには、酢を飲むよりも、筋肉や関節を鍛えるトレーニングしかありません。サーカスでも訓練によってからだを柔らかくし難しい演技をこなしているのです。
 それよりも酢の効果は、体内でブドウ糖の燃焼を促して、ともに燃焼しわずかながらカロリー源になることです。もっとも、からだのためにいいのは、天然の醸造酢だけにいえることで、科学的な合成酢にはこの効果はありません。



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 健やかに育つ小児はり  
 『熱性けいれん』
清野鍼灸整骨院 副院長 小野寺 啓 


 風邪やインフルエンザ、突発性発疹、急性中耳炎などで急に高熱(38度以上)が出たとき、熱の上がり際に起こすけいれんのことをいいます。特徴的な症状は、両手足を突っ張らせ、白目をむいたり、歯を食いしばったりすることです。また、名前を呼んでも反応がなく意識を失います。ママはびっくりしてあたふたしますが、発作の時間は5分以内で、発作が終わると何事もなかったようにけろっとしています。
 脳の発達が未熟な1〜3歳児に多くみられ、赤ちゃんの6〜8%が経験すると言われるほどよく見られる発作で、そのうちの約3分の1は何度か繰り返すといわれています。
 西洋医学では、発熱が刺激になって脳細胞が興奮し、けいれんを起こすものと考えられています。通常の熱性けいれんなら、発作が命にかかわることはありませんから、特別な治療は行いません。赤ちゃんの衣服を弛め、吐いた物が喉につまらないように顔を横向きにします。その際、舌をかむ心配はありませんから、口の中へものを挟む必要はありません。ただし、何度も熱性けいれんを繰り返すようであれば、ひきつけ予防のために抗けいれん剤の座薬が処方されることがあります。 
もっとも、この薬物療法に関しては効果がないとする報告もあるので注意が必要です。 
 東洋医学では、けいれんを、体内の「冷え」を解消しようとする筋肉運動だととらえます。つまり、不規則な時間での生活や、飲食の不摂生などで発生した「強い冷え」を強力な筋肉運動による発熱で補おうとするのです。
治療はけいれんが起きている時も、治まっている時も体内の「冷え」を解消するように小児ばりを行います。「冷え」が解消されれば、けいれんは治まり、何度も繰り返すようなことはありません。
 体の「冷え」が蓄積されれば、どのお子さんでもけいれんを始めとする症状が起こる可能性がでてきます。
 ぜひ小児ハリを受けてお子さんを健康に育んであげてください。
 最後に注意点がいくつか。
 一つ目は、てんかんと区別することです。あまり熱が出ていないのにけいれんが起こったり、1日に3度以上けいれんを繰り返したりするような場合は、てんかんの疑いがありますから、すぐ救急車を呼んで病院を受診しましょう。
 二つ目は初めてのけいれんであれば、意識が戻って症状が収まっていても病院を受診し、大きな病気ではないかを確認する事です。
その後は、ぜひ小児ハリに!

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 体のしくみ
『首と肩のしくみ(僧帽筋)』
清野鍼灸整骨院 主任 金親孝明 


 厚生省(1998)の国民生活基礎調査によると、男性では腰痛が第一に多い愁訴である一方、女性では、肩こりが断然トップを占めています。首肩のこりは人が2本足で直立歩行するようになり、3~4キログラムもある両腕を吊り下げ、やはり3~4キログラムもある頭を支えなくてはならなくなったために起きたいわば人類の宿命病とも言えるでしょう。女性に症状を訴える方が多いのは、男性に較べて肩幅がせまく、頭や腕を支える筋肉が少ないことも原因の一つと言えます。肩こりには様々な理由が考えられますが、今回は特に首、肩周囲の筋肉の1つである「僧帽筋」と肩こりについてお話しをします。
 「僧帽筋」は後頭部、頚部、背骨の中間にあたる胸椎に始まり、腕を吊り下げている肩甲骨と鎖骨の間についている筋肉で、形が司祭のかぶる帽子に似ていることからその名前がついています。よく皆さんが肩こりのときに思わず触ってしまう肩の上の方についている筋肉がそうです。「僧帽筋」の働きは主に頭の重量を支えるために頸椎を支えること、腕を吊り下げている肩甲骨を身体に固定すること、腕の運動、特に挙上運動を助けるために肩甲骨を上に引き上げることです。いわば身体を横にしていない時以外ではいつでも重力に対して頭や腕を支えている働き者の筋肉といえます。
 実際に肩こりを起こしやすい動作や作業は、パソコンなどの事務仕事や読書、編物などの頭を少し前に傾けた姿勢で行う静的な筋肉作業です。これらの動作では、頭の重さを頸椎に負担させ、腕を身体にひきつけるために肩甲骨を固定しなくてはならず、僧帽筋を中心とした頚部、肩背部の筋肉は始終緊張しています。すると筋肉の中で血行不良が起き、疲労物質が蓄積し、疼痛やこわばった不快感、いわゆる肩こりが起きるのです。
 では、どのようにすれば筋肉の疲労は取れるのでしょうか?それは大きな動きを伴う運動をすればよいのです。大きな運動をすれば疲労を起こした筋肉自体が疲労物質を運び去るポンプとなり、血行は促進され肩こりも軽くなります。皆さんが肩こりのときに何気なく首や肩を回したりするのは、それを経験的に知っているからなのです。ですから長時間同じ姿勢で作業をする時には、合い間合い間に休憩をとり大きな動作を取り入れた体操を意識的にやると、肩こりを効率的に解消するよい方法となります。
 鍼灸治療は身体全体の血行を良くしますので、肩こりの治療には最適です。また同時に首と肩の筋肉が疲労しないように普段から運動をして鍛えておくことが大切です。ただし頸椎や椎間板の異常があり、首の運動により強い痛みや手の痺れが出るような方もいらっしゃいます。そのような方は是非お声をおかけください、適切な運動をご紹介させて頂きます。鍼灸治療と正しい運動で肩こり知らずの身体を作りましょう。



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 ウンコ診断学
『黄色いウンコ』
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


 4【黄色いバナナ状のうんこ】
 消化、吸収の良い健康便のひとつです。消化しやすいものばかりを食べ、胃腸の働きが活発であれば、このウンコが出ます。日本人の食事は、昔から残りカスの多いものが主流を占めていますので、このようなウンコは、なかなか出ないものです。とくに繊維の多い食事をとると、ウンコの色は濃くなり、量も増えますので、とても黄色のウンコは望めません。欧米人のウンコは、だいたいこの黄色いウンコでバナナ状に近く、また量も少ないようです。日本人の食生活も最近はかなり欧米化して、ごはんに味噌汁から、トーストにハムエッグにかわってきましたから、これからは、このようなウンコをする人が多くなるでしょう。                 
                       
5【黄色いカチカチ状のウンコ】
 人工着色された食品をたべすぎるか、ビタミン剤を飲みすぎたときのウンコです。通常の状態では、まず出ることがありません。ふつう、便秘や水分の不足などでウンコが固くなるときは、色も濃くなるものです。ですから、固くなったウンコは、たいてい黄褐色から褐色になって出てきます。この黄色で、固いウンコが出るときは、食べたものを総点検してみましょう。
最近では、有害な人工着色料もかなり減りましたが、まだまだ少なくありません。マーガリンやバターに混ざっているバター・イエロー、たくあんの着色に使うオーラミンなどが、黄色いウンコの元凶になることが多いようです。ウンコが黄色になるくらいはたいして有害ではないのですが、これらの人工着色料は、発ガン物質になったり、肝臓障害を起こしたりする危険性を含んでいます。人工着色料の入った食品は、なるべく避けるようにしたいものです。人工着色料のほかに、ビタミン剤、とくにB1,B2はウンコを黄色に染めることがあります。ビタミン剤は、ウンコより先に、尿や汗を黄色に染めますから、これは、すぐに分かります。中には、ビタミン剤を飲むことを趣味のようにしている人がいますがこれは、あまり感心しません。ウンコの正常な色がかくされてしまい、せっかくの健康診断ができなくなってしまうからです。  

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 医食同源
『サンマ』 日本が世界一の長寿国である秘密
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


 江戸時代、サンマほ身分の低い者がむしゃむしゃ食べるような下魚でした。落語の『目黒のサンマ』が、その様子を伝えています。
 さる大名が秋の野駆けに江戸郊外の目黒まで出かけ、農家でサンマをはじめて食べた。そのときの味が忘れられず、ある日、親戚へ呼ばれて「黒き長やかなる魚」を注文しました。むろんサンマのことです。親戚の者たちは、予想外の注文にびっくりして、こんな脂の多い魚はまずいと、脂をとって、ぱさぱさのサンマを大名に出しました。これでは、うまいわけがない。事情を知らない大名は尋ねました。
 「これはなんだ。どこで仕入れた」
 「日本橋は魚河岸にございます」
 「なに魚河岸じゃと・・・それではいかん。サンマは目黒に限る」
 いまやサンマは、下魚から健康食品へと、大きくそのイメージを変えている。サンマのような背の青い魚の脂にEPAが豊富に含まれていることが分かってきたからだ。EPAには、動脈硬化の原因となる血中のコレステロールや中性脂肪を減らしたり、血が固まるのを防いで、心筋梗塞を予防するなどのすばらしい効果があります。
 WHO(世界保健機関)は、21世紀は、血管の病気による死亡率があらゆる国で第1位になると予測しました。長寿の鍵は、まさに心筋梗塞と脳梗塞を克服することです。まさにこの時代には、EPAを豊富に含むサンマは、理想的な食品です。
 日本のWHOセンターは、世界の55ヶ所を調べた結果、日本が世界一の長寿を誇っている理由として魚を良く食べ、血液中にEPAが多いことをあげています。最近は、EPAにアレルギー症状を抑える作用がある事が分かり、治療にも用いられるようになりました。
 平成12年の1世帯当たり年間購入量の調査によると、サンマは、7番目でした。是非、健康のためにも旬のサンマをいただきましょう。   
     

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