健康研究サークル『オアシス』会報
オアシスだより 第23号 2004年7

 
『オアシスだより第23号発行にあたり』
清野鍼灸整骨院 院長 清野充典 

健康研究サークル「オアシス」活動が八年目を迎えました。今年度も沢山の会員の方にご継続の手続きをしていただきありがとうございました。
 医療と介護の連携が提唱され、「介護保険」が六年前にスタートしました。病気・病人に対する制度は充実してきましたが、病気にならないための制度・教育はまだまだ不十分です。健康な身体で一生を送ることを目標とした当会を是非ご活用ください。「利用しただけ得をする会」であり続けたい。それが時代をリードしていると自負する当会の“志“です。

平成16年6月30日現在の会員数 162名

■ 目 次 ■
 『はり』ってなあに? 『韓国の鍼灸』
 医食同源  『浅草のり』
 健康に関する常識 『薬はなぜお茶で飲んではいけないのか?』
 体の異常値・正常値 『脈拍』
 健やかに育つ小児はり 『副鼻腔炎・蓄膿症』

 ウンコ診断学

『黄色いウンコその2』
 こんなときどうする 『狭心症』
 体のしくみ 『腰痛と椎間板について』





 『はり』ってなあに?第23回

『韓国の鍼灸』
清野鍼灸整骨院府中センター 院長 今田 開久


 清野鍼灸整骨院では平成16年3月17日に、韓国の首都ソウルにある慶煕(キョンヒ)大学韓医学部と慶煕大学付属韓方病院を視察することが出来ました。隣国でありながら、あまり知られていない韓国の、鍼・灸・漢方薬についてお話いたします。
 近年、中国は中国伝統医学のお医者さん(中医師) と西洋医学のお医者さん(西医師)の二本柱で、中国伝統医学と西洋医学の融合 (中西医融合)を目標に医療が行われています。現在、韓国も韓国伝統医学(韓医学)のお医者さん(韓医師)と、西洋医学のお医者さんの二本柱で医療が行われています。中国伝統医学は、朝鮮半島から日本へと伝わってきたと言われています。中国、韓国、日本の伝統医学の源流は同じものなのです。中国伝統医学は漢の時代に体系付けられたと言われているため、日本では漢方(特に薬を漢方薬)と呼ばれています。韓国も日本の影響で漢方と呼んでいましたが、韓国の伝統医学であるという意味で1982年より韓方・韓医学と呼ぶようになりました。
 現在、韓国には韓医科大学が十一校あり毎年700名余りの韓医師が誕生しています。今回視察させていただいた慶煕大学は、約二十の学部を抱えており、世界五十ヵ国、百五十校と姉妹校提携を結ぶ総合大学です。その中の韓医学部は韓医学の国内最高府で、入学試験の倍率は1000倍(1000人に1人)と言われています。慶煕大学は特別に難関な大学ですが、近年の韓国は超学歴社会で、小学生が受験勉強を苦に自殺をするなど、社会問題にもなっているそうです。話を戻しますが、韓医師では日本の医学部と同様に六年間の教育が義務付けられています。韓医師国家試験に合格し、卒業後に韓方病院で一年の総合研修と三年の専門科での研修を経て、社会に認められる韓医師としてスタートを切ります。韓医師は鍼灸治療と韓方薬(日本での漢方薬)の処方を専門的に行うことが出来ます。
 今回視察させていただいた、慶煕大学には付属の韓方・洋方・歯科病院があり、今回はその中の韓方病院の外来、入院病棟、韓方薬の製造工場を見ることができました。
 韓方病院は韓方内科、鍼灸科、韓方眼・耳鼻咽喉科、韓方婦人科、皮膚科、小児科、東西協診センター、韓方救急センターなどの12の専門科を中心に構成されています。病院には専門韓医師五十名、研修韓医師90名、看護婦70名を含む約400名近いスタッフが勤務しています。そして年間四百万人の外来患者と年間十二万人の入院患者が治療を受けています。
 韓国では東洋医学、西洋医学が社会的に同等の存在と認められていて、実際に受診する患者は韓方病院と洋方病院を自分の症状に合わせて自由に選択できます。そして韓方病院においても99%健康保険が適用され受診しやすくなっていました。

次回へ続く・・・

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 『医食同源』14の幕

『「浅草のり」毎日2枚で必要なミネラルが補給できる』

清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典 


 江戸時代には高級な食材だった浅草のりも、現代では養殖技術の進歩で大量生産できるようになり、高級食品としてのイメージは薄れつつあります。代わりに、のりはスーパー健康食品として、遠くアメリカからも注目されるようになってきました。なにしろ、のりは成人病の「おいしい良薬」といっていいほど、たくさんの薬理作用があるからである。まず、のりは驚くほどたんぱく質が豊富です。ふつうの海藻はたんぱく質を10〜20パーセントしか含んでいませんが、のりは40パーセントも含んでいます。しかも、消化のよい良質のたんぱく質です。遊離アミノ酸(たんぱく質中にない、単独で存在しているアミノ酸)の含有量も多くあります。とりわけ多いのはタウリンという遊離アミノ酸です。これには様々な薬理作用があることが分かっています。血液中のコレステロールを減少させる、強心作用がある、肝臓の解毒能力を高める、血圧を正常にする、糖尿病を予防する・・・・・・などの効果があります。心臓病などに有効とされるEPA(エイコサペンタエン酸)という脂肪酸の一種も、海藻の中ではのりが圧倒的に多い食品です。ヘミセルロース、ポルフィランといった食物繊維も非常に多く含まれていて、肥満防止、便秘の解消に役立つばかりか、コレステロールを減らして動脈硬化を予防します。また、大腸がんも予防します。私たちの健康を守るには、リン、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅、コバルト、セレンといった、様々なミネラルが必要ですが、のりはそうしたミネラルを全て含んでいます。特にセレンが豊富なのが良いところです。これは、心臓病を防ぐのに効果がある微量元素です。胃疥瘍を予防したり、治す効果のあるフォルフィオシンという物質ものりから見つかっています。のりを毎日に2枚食べるようにすると、こうした栄養素が全て必要なだけ取れます。のりをどんどん食べて生活習慣病を撃退しましょう。

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 『健康に関する常識 こんなこと知ってる?』 問題5
『薬はなぜお茶で飲んではいけないのか?』
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典 


 薬にはそれぞれ独特のはたらきがあるので、その薬に合った正しい飲み方をすることが大切です。“お茶で飲んではいけない”というのは、全部の薬ではありません。お茶にはタンニンが含まれています。もし薬に鉄分が入っていると、このタンニンが鉄分と結合して「タンニン酸鉄」になります。これは毒ではありませんが、胃腸での吸収が悪いので、薬の効果を弱くします。
 だから、どんな薬でも、お茶で飲んでは効き目がないというわけではなく、鉄分の含まれた薬だけが、お茶で飲んではいけないということです。
 しかし、どの薬に鉄分があるかないかは素人には分からないので、一般に、薬はお茶で飲まないというルールを守ったほうが安全です。薬は水か、白湯で飲むのが良いでしょう。
 テレビのCMなどで、薬を水なしで飲む場面がありますが、良くありません。人によっては、水なしで飲むと、薬が溶けずにそのまま出てしまうことがあるからです。
 薬を胃の中で早く溶かすためには体温に近いぬるま湯を、少し多めに飲むことです。

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 『体の異常値・正常値』 数値15

『脈拍』通常大人で1分間に60〜70回打つ。甲状腺機能が狂うと150〜200回にもなる

清野鍼灸整骨院 院長 清野充典


 「お脈を拝見」というのが、昔から医者の挨拶代わりの言葉として、受け取られていました。近代医学が導入される以前、健康状態を調べる第一歩が、脈拍を診ることでした。しかし、このことは、今に至るまで変わっていません。脈拍は、手首の動脈に軽く手を当てて調べます。大人なら、1分間に60〜70回が普通です。しかし、スポーツマンなどには50回くらいの人がいます。これは、心臓を鍛えているため、1回に送り出す血液量が、普通の人より多く、脈拍数が少なくても十分だからです。もちろん、異常ではありません。逆に脈拍数が多い場合はどうでしょうか。正常な場合でも脈拍数が増えることがあります。例えば恐ろしいことに出会ったり、緊張や興奮したときがそうです。このような場合に脈拍数が増えるのは、闘ったり、走って逃げたりする準備のため、血液をたくさん身体に送っておくためだといわれています。これは原始本能の名残だといわれています。
 走ったり、激しい運動をすれば、もちろん脈拍数は増えます。しかし、病気で増える場合もあります。心臓病にかかったときや肺の病気、高熱が出たり、甲状腺に異常があったときです。甲状腺の機能が狂ったときは、150〜200回くらいにも増加します。こんなに増えたのでは大変です。苦しみながら医者のところに駆け込んでくる人もいます。
 また不整脈といって、打ち方がバラバラなものがあります。これには、アダム・ストークス症候群のような悪質のものから、それほど気にとめることもないようなものまでいろいろあります。早く専門医に診てもらい、必要な処置なり、アドバイスを受けたほうがいいでしょう。
 脈拍数の他に心拍数というものがあります。これは、心臓が打つ鼓動の回数をそのまま調べたもので、健康な人なら脈拍数と同じになるのが普通です。しかし、高齢者になると、多少違いが表れます。脈の打ち方に不安を感じている方はどうぞご相談ください。
 東洋医学には脈を細かく分析し病気を判断する方法があります。



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 『健やかに育つ小児はり』子供(8)
『副鼻腔炎・蓄膿症の話』
清野鍼灸整骨院 副院長 小野寺 啓


 以前は黄色い鼻水を垂らして遊びまわる子供をそこらじゅうに見ることが出来ました。黄色い鼻水は一般的に鼻の中の炎症物質が外に出ている状態です。しかし、最近は鼻水が外に排出されずに中に貯まってしまう子供が多く、「副鼻腔炎」(皆さんになじみのある病名では「蓄膿症」です。)にかかることがあるようです。
 まずは、西洋医学的な見方からお話しましょう。鼻の周りの頬や額の骨の中には、副鼻腔と呼ばれる四つの空洞があって細い通路でつながっています。この副鼻腔の粘膜の炎症が副鼻腔炎です。副鼻腔炎には急性と慢性があって共通する症状は黄色い粘り気のある膿のような鼻汁です。子の鼻汁が副鼻腔の中にたまるので別名「蓄膿症」といわれます。
 急性副鼻腔炎は殆どといっていいほど風邪に引き続いて起こります。熱が出たり、頭痛がしたりといったこともよくあります。初めはサラサラと水っぽい鼻水が出ますが、それがだんだん粘り気を帯びた鼻汁に変わってきて鼻を何回かんでも止まらなくなるか、詰まってしまって、出にくくなります。この状態で長引くと息苦しくなったり、おっぱいやミルクがうまく飲めなくなるので不機嫌になります。
 慢性副鼻腔炎は風邪や扁桃炎をよく起こす子が急性副鼻腔炎を繰り返したり、急性副鼻腔炎をきちんと直しておかないと、慢性副鼻腔炎に移行します。慢性副鼻腔炎は黄色い鼻がいつも出ているか鼻が詰まっているので、頭が重く根気が続かなかったり、記憶力が低下したり、においを感じられなくなったりします。いつも鼻をすすっているので中耳炎も起こしやすくなります。
 急性も慢性も治療法は一緒で、細菌を殺す抗生物質や、炎症を鎮める抗炎症剤を内服し、膿がたまっているときは注射針よりも太いはりを鼻の穴から副鼻腔にいれて、膿を吸い出します。その後、鼻の中を洗浄して、吸入器で薬を噴霧して直します。
 続いて東洋医学の見方をお話しましょう。副鼻腔炎が風邪の後に発症しやすいということを先にお話しましたが、風邪は体が冷えたことによる反応です。その結果起こる副鼻腔炎も冷えによる現象なのです。冷えは不規則な生活時間で過ごしたり、飮食の不摂生によって起こります。その結果、鼻粘膜は分泌物を多く出します。これが「鼻水」です。この状態で更に冷えると粘膜は腫れて鼻づまりを起こします。状態が進むと身体は改善しようとして熱を持ち始め、鼻水は黄色く変化していきます。これが「膿」です。体が元に戻ろうとする力があれば、排膿しますが力がなければ膿がたまります。力がないというのは体が冷え切っていることを意味します。このように「副鼻腔炎」(蓄膿)を捉えるのです。だから治療も簡潔化していて、体が温まるように行なって、膿を出す力を付けてあげるのです。用いる道具は、小児はりですが、冷えが強ければお灸も用います。鼻の中に注射針を突っ込んで強制的に排膿すれば粘膜はそのたびに傷ついてしまいます。そのため、次第に自分で膿を出す力さえ失っていきます。慢性副鼻腔炎は急性期のときにそういった処置をした結果起きるのではないかと考えられないでしょうか?
 鼻は呼吸器の最も外側にある器官です。鼻が弱れば肺も弱り、酸素の取り入れも不十分になります。喘息や気管支炎、更には身体全体の調子も悪くなりがちです。
 小児はりで早期治療を行なって、お子さんの健康を維持してあげませんか?

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 『ウンコ診断学』 知識18
『黄色いウンコ』その2
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


2【黄色い泥状のうんこ】

 神経性下痢の時、こんなウンコが出ます。このところ、頭を悩ますようなことが続きませんでしたか。出張など、一時的な環境の変化や精心的緊張のためなら問題ないのですが、心のわだかまりや悩み事がうっせきして、その発散の方法として下痢が選ばれたのであれば問題です。下痢そのものはそれほど問題ないのですが、その原因に気づかず、ほうっておくとノイローゼにまで高まる危険があります。 黄色いウンコだから、少しぐらいやわらかくても健康便だと思いがちですが、とんでもないことです。特に、何日もこの  ウンコつづくようなら精密検査を受けて、原因をはっきり確かめることが大切です。                     
                       
3【黄色い半練状のウンコ】
  油っこいものを食べ過ぎたときのウンコです。消化、吸収のあまり良くないウナギ、ベーコンなどをたくさん食べると、ウンコの色が薄くなり、黄色っぽくなります。このウンコは、脂肪分が多く、水にプカプカと浮いてしまいます。そして、やや酸っぱいにおいがします。バターやチーズなど、比較的吸収されやすい脂肪分でも、日頃、油ものをあまり食べない人が、急に大量に食べますと、消化態勢が出来ていないために、消化不良を起こしてしまうことがあります。いずれの場合にも、吸収されない脂肪が腸粘膜を刺激して、腸の運動を高めるため、おなかをこわしてしまうわけです。
 40歳以上の人で、慢性的にこのウンコが出る人は、脂肪分を減らす努力をして下さい。脂肪と血管内のコレステロールとの関係は完全に研究されていませんが、太りすぎで、血管の循環を圧迫するのは事実です。あまり脂肪分をとりすぎると長生きできませんから、注意しましょう。




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 こんなときどうする  
『狭心症』
清野鍼灸整骨院 院長 清野 充典


 みぞおちや胸骨の後がしめつけられるように痛む
      安静にして痛みが去るのを待つ 


  胸の奥底がしめつけられるような激しい痛みが15分以上も続いたら、心筋梗塞の疑いが濃厚です。
 心筋梗塞は、痛みとともに顏から冷や汗を流し、顔面は蒼白になり、唇や爪が紫色に変色します(チアノーゼ)。呼吸は非常に苦しく、次第に困難になってつるのが心筋梗塞の症状です。これは動脈硬化で狭くなった冠状動脈が詰まり、そこからさきが壊死を起こして生じる病気です。
 死亡の原因は、ほとんど心筋壊死によるショックや不整脈です。それだけにこの発作が起きたら周りにいる人の適切な処置が大切です。
 特に発作を起こしてから24時間以内が最も危険な状態のため、処置も慎重に行なうことです。
 まずは、あわてずに病人を興奮させぬようにすることが先決です。それから呼吸が楽にできる姿勢をつくってあげます。あおむっけに寝かせるのではなく、上半身を起こし布団や机にもたれかけさせるようにするのがポイントです。
 また、ネクタイやベルト、シャツ、帯など身体を締めつけているものがあれば、ゆるめてから背中をさすると良いです。少し落ち着いたところで救急車の手配をするようにします。
 万一、意識を失ったら頭を後ろにそらせ気道の確保をすることです。呼吸が止まり脈もなければ、すぐ人工呼吸と心臓マッサージを行い救急車を待ちます。
 心筋梗塞イコール死と結びつけるのはまだ早いです。あなたの手当て次第で助かる可能性は充分にあります

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 体のしくみ
『腰痛と椎間板について』
清野鍼灸整骨院 主任 金親孝明 


 前回の身体のしくみでは背骨のしくみと腰痛についてお話しましたが、今回はもう少し部分的に椎間板のしくみと腰痛についてお話をしてみます。
 前回の身体のしくみでも少し触れさせていただきましたが、背骨は脊椎骨がS字状に積み上がった不安定な構造をしていて、いつでも身体の姿勢に応じて強い力が加わっています。それらの脊椎骨の間でクッションのような役目をしているのが椎間板です。椎間板は脊椎骨の椎体と呼ばれる部位によって上下を挟まれています。その後ろ側には、脊椎骨の椎間孔を通る脳からの命令を伝える脊髄が通り、椎間孔の側方からは脊髄から身体の隅ずみまで命令を送るための末梢神経の神経根が出ています。椎間板には大切な神経を強い衝撃から守るという重要な働きもあるのです。椎間板の中にはビー玉のような髄核と呼ばれるものが入っていて、その中には油状の液が入っています。ちょうどゴムまりに油を入れたような感じと思ってください。そして、この髄核の周りは輪状線維と呼ばれる強い網のような線維がはりめぐらされた柔軟性のある軟骨になっています。そのため椎間板はショックを吸収し、ある程度形を変化させ背骨の動きに対応出来るようになっております。

  しかし、人間の椎間板は老化が早い器官でもあります。20歳を過ぎると椎間板を栄養する血管がなくなってしまうからです。血管がなくなれば椎間板が損傷した時の回復力も低下してしまいます。椎間板が強い力を受けると、ショックに対して形を変えている髄核の圧力に輪状線維が耐え切れなくなり、破れて髄核が飛び出してしまうことがあります。この飛び出した髄核が脊髄や、神経根を圧迫してしまい、圧迫を受けた神経がつながっている部位に痛みや痺れを引き起こすのが、椎間板ヘルニアです。この病気は激しいスポーツをしている10代後半から椎間板の老化現象が始まる20代の腰椎椎間板でよく発症し、腰、お尻、脚に痺れや痛みがおこります。椎間板ヘルニアは、それ以後の年齢での発症は減少します。これは、40代・50代になると輪状線維の老化だけではなく、髄核中の液も失われ、飛び出しても圧迫症状を起こす影響力がなくなるからです。しかし、髄核に力がなくなると椎間板は形を保つことが困難になります。すると、椎間板自体が変形して骨髄や神経根の方向にはみ出して圧迫し、その神経がつながっている部位に痛みや痺れを引き起こすことがあります。また、椎間板の弾力性がないために、脊椎骨に不要な力が加わり変形し腰痛を起こすことや、脊椎骨が不安定な状態になり、まわりの筋肉に緊張を与え腰痛を引き起こすこともあります。椎間板の損傷や変性によって起こる腰痛は広い範囲の年齢で様々な腰痛を引き起こす可能性があるのです。

 椎間板の障害によって起こる腰痛を防ぐためには、前号と同様に、腹筋と背筋を鍛え自然のコルセットを装着していただくことが大切です。また、普段の生活の中でも出来るだけ椎間板に負担がかからないように行動することも忘れてはいけません。膝を曲げて下にある重い物を持つことや、坐っているときや立っているときに猫背にならず正しい姿勢でいることを意識するといった何気ないことが腰痛にならない第1歩なのです。
    
     

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