暑い日が続いておりますが会員の皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

 体温が高くなると人間は、毛穴を開き汗を出すことで体熱を調整します。
暑いからといって冷たいものを多く飲んだり食べたりすると、からだの中が冷えます。
その結果からだの内に熱を産生します。この熱のことを内熱といいます。

 体がほてり、喉が渇きやすくなるため、たびたび冷たいものを欲するようになります。
このような状態を長く続けますと、体がだるくなり疲れやすくなります。
  人間の身体は元来、熱を奪われやすくなっています。必要以上に身体を冷やすことは避けなければなりません。

 「オアシスだより」では、皆様の健康に役立つようなそんな知識をご提供できたらと思い、作成しております。
  ご意見、ご要望などがございましたら、どしどしお申し出下さい。

■ 目 次 ■
 ‥‥……第2回 日本鍼と中国鍼……‥‥
 ‥‥……第二話 強情灸……‥‥
 ‥‥……その2 運動を長く続けると疲れるわけは?……‥‥
 ‥‥……Part1 骨 折……‥‥
 ‥‥……2の巻 沐浴と養生……‥‥
 ‥‥……(2)カゼをひくと『セキ』や『クシャミ』がでるのはなぜ?……‥‥

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 第2回    『日本鍼と中国鍼』    文責 今田開久

 漢の時代に完成したといわれている鍼治療ですが、今日治療で多く用いられている毫鍼(ごうしん)も歴史の中で変化し基本形は同じですが、治療の目的によってその材質、太さや長さには沢山の種類があります。
よく『中国鍼』と言う言葉を耳にすることがありますが、どんなものかご存じですか?中国鍼という言葉には鍼具の意味と学問的な意味とがあるので、まずここでは日本式の鍼(以後「日本鍼」と呼ぶ)と中国式の鍼(以後「中国鍼」と呼ぶ)の形と刺し方の違いについてお話します。

 形の違いでいえば、一番違う点は鍼柄(右手で持つところ)です。日本鍼は鍼柄の長さは2cmか3cmで、鍼体に鍼柄をハンダや接着剤でつけるようにして作られます。中国鍼は鍼柄が3cm〜5cmと長く、鍼柄は針金を巻いて作られています。(下図参照)

 針を刺す方法では、日本では撚鍼法、管鍼法等の方法があり、管鍼法が多く用いられます。管鍼法は江戸時代の盲目の鍼医であった杉山和一が考案したもので、細い日本鍼を刺すときに大変適しています。(鍼を細い管に入れ、トントントンと上から叩くのがそれです。)
 また鍼の抜き刺しを容易にするのと皮膚の変化を知るために、左手を患者の体に当て親指と人差指で体に接する鍼を保持する様にする「日本式の押手」を作るのが特徴です。これは中国では挟持法と呼ばれる方法ですが、日本独特の方法に変化したものです。
 中国では、鍼体を挟む「日本式の押手(挟持法)」はあまり行なわず、針を刺す部分の皮膚をつまんだり、伸ばしたりまたは指を当てたりし、そこに直接鍼を刺すことが多いようです。
日本では普通細めの鍼(直径0.16〜0.20mm)が好まれるため、針を曲げずに刺すには「押手」が必要となるのです。
中国では太めの鍼(直径0.22〜0.38mm)を使うことが多いため、あまり「押手」を使わないのです(但し病気によっては日本でも太い鍼を使うこともありますし、中国でも細い鍼を使うことがあります)。
 本来中国で生まれた鍼治療ですが、日本に伝わって日本独自の鍼具と技術が生まれました。
それによって日本鍼、中国鍼といった区別が生まれたのです。日本式も中国式も元は同じ鍼治療です。当院では、患者の体質や症状に合わせていろいろな鍼を使い分けています。


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 第2話 『強情灸』   文責 眞野 仁

 今回の「お灸のはなし」では、前回のおはなしに出しました『強情灸』という落語をご紹介したいと思います。これは故志ん生の十八番でした。弘法様の灸とならび、熱くて有名な横浜の峰の灸という家伝灸をネタにつくられた落語です。 『強情灸』
「よう!今日は朝から出かけてたみたいだったけど、どこにいってきたんだい?」

「うん、峰の灸をすえに行ってきたんだ」

「ふ−ん、峰の灸をね。あつかったか?」

「あついかあ、かあ?おめえは全然知らねえな」

「まあね」

「なにしろ、見た目はこれっぽっちの灸だろ。なんでもねえと思うが、これがまたあついんだ。気の小せえやつなんざあ、飛びあがって天井やぶってどこかにいっちまうくれえだ」

「そんなにあついのか」

「あっついとも。それをおれが今すえてきたんだ」

「へ−え、えらいもんだね。その灸てえのは、今すいてんだろう」

「いやあ、やたらと混んでるよ。体に効くてえからみんな行くんだ。で、しょうがないから、番号札を出してる」

「ふ−ん」

「おれは最初、えらい後の方だったんだけど、根性ないやつがいるんだね、順番きたけどあつそうだから帰る、なんていってるんだ。つかまえてそいつとかわっちゃった」

「うまくやりやがったな」

「するってえと、こっちにあっちにず−っとまってるやつがいるんだ。そんなか通 ってったら、おもしろくねえ顔して『あの人、がまんできますかねえ』『さあ、どうでしょうねえ』なんていってやがる。おいらそこでケツまくって肌ぬ いで、『オウ、すえてくんねえ』ってこういってやった。そうすると、すえるやつがこっちを見て『ええ、このお灸はすこしあつうございますが、体のためになりますから我慢なすってございまし、途中でやめる方もずいぶんありますが』ときやがった。『なんでえ、たかが灸じゃねえか、ええ?どこえいくつすえるんでえ。何、十六つ、ふた側三十二ばかり…。なんだいそれだけかい。めんどうくせえ、いっぺんにすえてくんな』ってこういってやった」

「フ−ン」

「なんせ一つでもあついってとびあがっちまうのに、それをおめえ、いっぺんに三十二すえるっていったんだからそいつも驚いたね。『あなた、三十二いっぺんにですか!そんな乱暴なことしてよろしいんですか?』ってやがるから、『おれの体だ、かまわねえからはやくすえてくれ』っていってやったんだよ。まさかすえやあしねえと思ってさあ」

「うん、なるほど」

「そうしたら『さいでございますか』ってやがって、おれの背中にモグサをつけはじめた。いやに人のいうことを信用する野郎でね、ほんとうに三十二、いっぺんにすえやがって、あついのなんの、まるでカチカチ山のたぬ きだよ。腕をギュウッと組んでウ−ンとうなってると、人が大勢周りにたかって見ていやがる。格好つけて、こう我慢していると、『へえ〜っ、この人はなんて我慢強いんでしょう』『本当に男の中の男ですねえ』なんて、みんなさすがにうなったね」

「なんだよ、こんちきしょう。いやな野郎だね。そんなお灸すえてきやがって。お前ばっかりがお灸すえるんじゃねえや。おれもすえようと思っていたとこだ。おいっ、もぐさあもってこい。…やい見とけ。豆粒みたいなお灸すえてきやがって、なにいってやがんでい。こちとらすえようと思ったら、男らしく、こう腕まくって、ほら、これだ、こう腕の上に山のように盛るんだよう」

「めちゃくちゃだな、おい」

「なにいってやがんでい。こうやってな、のっけておくだけじゃねえんだ。火をつけるんだぞ。見ろ、なんでもねえじゃねえか。てめえなんざ大仰でいけねえ。いくらあついっていったてな…うん、うん。これが灸ってえんだ。さあどうだい。だいたい石川五右衛門を見ろ。油が釜ん中でぐらぐら煮え立ってるなかにドボ−ンと飛び込んで辞世の句まで詠んでらあ。石川や浜の真砂は尽きぬ とも、むべ山風を嵐といふらむ、となあ。灸なんてえものは……うむ、石川……石川五右衛門には………うむ、うむ、…ウッ、へへへへへ、う−ん、なんでえ、石川五右衛門…石川五右衛門には……ウワッ……ウアッ、ウアッ、タハハハハハ………アア、石川五右衛門、石川五右衛門……………」

「なんでえ。石川五右衛門がどう した」

「うん…、石川五右衛門も、さぞあつかっただろうなあ」
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その2 『運動を長く続けると疲れるわけは?』 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

◎疲れるわけは?
長く運動を続けていくためには、筋肉はそのエネルギ−の源として大量のブドウ糖と酸素を必要とします。
ブドウ糖が足りなくなったら、肝臓に貯えてあったグリコゲンをブドウ糖に変えて補給します。
こうして、エネルギ−源の補給は続けられますが、厄介なことに、グリコゲンをブドウ糖に変えるとき、乳酸という疲労物質が生じ、筋肉に運ばれるのです。
この乳酸が、筋肉にたくさんたまってしまうと、いわゆる「疲労」の状態となって動けなくなってしまいます。
しかし、一休みすると、酸素が補給されて乳酸は水と二酸化炭素(炭酸ガス)に変わり、疲労が除かれるのです。

◎空腹を感じるようになるのは?
肝臓に貯えられてあったグリコゲンも使いはたすと、エネルギ−源のブドウ糖がなくなるため、元気がなくなり、空腹を感じます。
しかし食事をとると、やがて消化・吸収が進んで血液中にブドウ糖が送り出され、元気になるのです。

◎鍼治療をすると…?
疲労した筋肉は硬くなり痛みを伴います。マッサ−ジをするとある程度軟らかくなりますが、持続しません。鍼治療は肝臓の働きを活発にすることとあわせて、筋肉を柔軟にすることが可能で、疲労の回復がはやくなり持続性があります。スポ−ツ選手がよく鍼治療をうけるのはそのためです。
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その1 『誰にでもできる救急法』 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

◎『骨折』〜すばやく副木をあて、患部を固定する。

 転んだり高いところから落ちて、手や足を打ち声が出ないほどの痛みを感じることがあります。
この痛みが徐々にやわらいでいくならよいのですが、動かそうとすればするほど痛みが増し、患部が腫れてきたらまず骨折とみて間違いないでしょう。
腫れ上がるのに5分とかからないことが多いようです。

 このような場合は、すみやかに副木(そえぎ)をあて、患部をしっかりと固定する処置が必要となります。なぜなら、もし骨折した部分を乱暴に動かすと、神経や血管が切れて麻痺をおこすことがあるからです。
ただし、骨折した時は内出血して腫れるわけですから、あまり強く副木で固定すると、血管を圧迫しうっ血を起こす原因になりますから注意が必要になります。

ちなみに内出血の量は、太ももの骨が折れた場合は約1リットル(人間の全血液の25%)になります。ですから固定が強すぎるとそのうちに神経も麻痺して取り返しのつかないことになりかねないのです。

 もし、医療機関に行くまで時間がかかるようなら、副木をあてて包帯をした箇所に30分位 ごとに指をいれ、締まり過ぎていないかどうかを確認しましょう。
  副木には木の棒、物差し、板、杖、厚い雑誌などを使い、その周りにタオルなどを巻いてパットをします。
この時、患部だけに副木をあてただけでは効果はありません。
上下あるいは両側の関節まで固定しなければ、必ず患部が動くからです。
副木をあてるときには、靴下、洋服、シャツなどははさみで切り取るなどして、患部の動揺を防ぐようにするのも配慮として大切です。
  骨折や脱臼は早ければ早いほど処置が楽になります。
一時間以内に来院されますと整復(折れた骨をもとの正しい位置に戻すこと)するにも時間はかかりません。
それに患者さん自身も痛みをあまり感じずに治療は終わります。
医学上、受傷後6時間以内をゴ−ルデンアワ−と称します。
遅くともこのくらいの時間以内に近くの医療機関を受診されることをおすすめします。

 尚、骨折の処置法は
(1)観血的手術(メスを入れる方法)
(2)非観血的手術(徒手整復法ともいい、メスを入れないで元に戻す方法)とがあります。
(3)
は主に開放性骨折(折れた骨が皮膚をやぶって外に出た状態)や骨がぐちゃぐちゃに折れた時に行なう方法です。
(4) は骨が二本に折れたり、剥離したときに行ないます。
(5) の場合は当院で処置が可能です。

また来院できず遠方で外傷をした場合などお電話でもご相談に応じますので、お気軽にご連絡下さい。
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 2の巻  『沐浴と養生』   文責 伊賀裕一  

 沐浴は筋肉を弛緩させ、血液の循環を高め、皮膚を清潔にして新陳代謝を促進し、精神を安静にします。中国ではこの沐浴は、民族的にも宗教的にも行なわれていました。

 元旦には「五香湯」を煎じて湯あみをすることが行なわれました。
この五香湯とは青木香を煮て作ることです。
その他に蘭香、荊芥、白檀、木香なども用いられました。
これらは神おろしの目的や、辟邪や頭痛の治療などのほか、疾病予防の働きもあったようで、蘭香の代わりに甘松も代用されました。

●上巳沐浴節
陰暦三月上旬の巳日に人々が近くの川に行き、洗濯したり、体を洗ったり、辟邪・祈福をしましたが、これを「祓禊(ばつけい)」といいました。
この風習は中国では周の時代からありました。
わが国では、神道でいう「みそぎ」や「斎戒沐浴」などもこの「祓禊」と同じ意味でしょう。
滝に打たれたり、河に入って身を清めたりするのは少し宗教的行事かもしれませんが、やはり養生という意味を考えてみる必要もあるようです。

●端午薬浴
五月五日は重要な沐浴日です。
中国前漢時代の「夢書」には、
「蘭湯で湯あみをすればしらみなどが取り除かれ諸々の病気が癒る」としるされています。
この薬浴は現在の中国でも愛用され、たとえば、関節リウマチでは防風・艾葉・透骨車が、できものには青蒿・天泡草・艾葉などが実際に用いられていることを思えば、その歴史も古いと言わざるをえません。
わが国の端午の「菖蒲湯」も民族と疾病予防が結ばれた養生の一つのサンプルでもあります。

●洗毛虫毒(六月六日)
この頃夏至近くになると、暑さが増してきます。
中国湖南省の農村では、子供に沐浴させるだけでなく、「洗毛虫毒」といって、牛・犬・猫などの家畜を河で洗う行事があるといいます。
しらみ退治の目的で行なわれるそうです。

以上述べたところから更に追加すると、「黄帝内経素問」五蔵生成篇に「腎痺という下腹部に気がたまった病気には、清水で沐浴して寝るのがよい」とあることから、沐浴がすでに治療目的ですでに用いられていたことがわかります。

「千金月令」では「二月二日、枸杞湯で湯あみすれば人の顔はつやつやとして、不病不老となる」とあります。
枸杞は不老長寿のための代表的薬物でもあります。
 沐浴について詳細をきわめ、それを儀式的に高めたのは、「雲笈七籖」(巻四十一、沐浴)でしょう。
道教の斎戒としての沐浴、その吉日、髪を洗うなど細かくしるされており、浴室は清らかで香わしくなくてはならず、便所、かまど、汚い土地、牢獄、死体安置所などの近くはよくないなどと書かれています。
たとえば、「立春の日の天気の良い朝、白?・桃皮・青木香の三つを煎じて沐浴するのは吉」「七月十一日枸杞湯を煎じて湯にいれ、沐浴すれば不老不病。
二十三日にすれば髪の毛は白くならず、二十五日にすれば長寿を保つ」としるされています。

 最近はやりのアウトドアやオ−トキャンプは一種の沐浴なのでしょうか?
いずれにしてものんびり日光浴するのは養生の重要な一つのようですが、忙しい日本人には最高の贅沢のようですね。
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Q カゼをひくと『セキ』や『クシャミ』がでるのはなぜ?

Q…「食べ合わせが悪い」とよくいいますがどんなくみあわせをいうのですか。

A…今日はお腹が痛いなあ、昨夜の食べ物が悪かったかなあと思われることの一度や二度は誰でも経験があると思います。
これは二つの食物が体内で悪影響をおよぼすことを意味しています。
古くから要注意とされている食べ合わせを御紹介致します。

【1】中毒症状

  1. 茸とほうれん草
  2. 蛤と密柑
  3. 小豆飯とふぐ
  4. 生梅と黒砂糖
  5. 簿荷と馬鈴薯
  6. 蛸と梅の実
  7. うずらと茸
  8. 鯰と豚肉
  9. 蟹と柿
  10. 鰻と梅干
  11. 卵とにんにく

【2】腹痛を起こす

  1. そばと田螺
  2. 松茸とあさり
  3. 西瓜と天ぷら
  4. 枇杷と小豆
  5. そばとなつめ
  6. 胡爪とこんにゃく
  7. 筍と黒砂糖
  8. 牛蒡と鮎

【3】下痢をする

  1. 椎茸と天ぷら
  2. もろこしと田螺
  3. 鰌とところてん
  4. 蟹と氷水

【4】その他

  1. 鮒と辛子菜(痔が起こる)
  2. にらと蜂蜜(癪を起こす)
  3. 馬肉と山芋(虫がわく)
  4. 豚肉と田螺(毛が抜ける)

これから暑い日が続きます。新鮮でないものや冷たいものの飲み過ぎなどにご注意下さい。
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