『オアシスだより第15号発行にあたり』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 小泉内閣の構造改革推進により、医療制度も大きく変わろうとしています。
 患者さんの自費負担分が増えていくことは避けられないところだろうと考えています。
  この時代を乗りきるために病気にならない身体作りがキーポイントとなります。
  皆様の身近な手足となるよう「オアシス」を育てていきたいと思います。
  お気軽にご意見、ご要望をお申し出下さい。
 十一月十五日(木)に「オアシスの集い」を行います。お時間の都合が付く方は是非お出かけください。


平成十三年十月三日 現在の会員数 118名

■ 目 次 ■
 ‥‥…第15回『針と鍼』 …‥‥
 ‥‥……第十五話『(もぐさ)の作り方』……‥‥
 ‥‥……その15 『鼻について』……‥‥

 ‥‥……Part14 『脳貧血』……‥‥

 ‥‥……数値8 『血小板』……‥‥

‥‥……知識(10)『ウンコの長さ』……‥‥
 ‥‥……六の幕『味噌汁』日本古来のすぐれた健康食……‥‥
‥‥……新連載『小児はり』“「小児はり」は何に効くの?”……‥‥

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 第15回  『針と鍼』  文責 今田開久

 「はり」と呼ばれるものには多くのものがあり、たとえば、鍼灸治療の鍼、縫製針、釣り針、外科手術の縫合針、注射針などです。
 辞書などを引くと「鍼」は、鍼治療で用いられる器具のことを指し、また、針治療の行為自身も意味しています。「針」は多くの場合、縫製針を示します。注射針、縫合針は西洋医学とともにありますので、西洋医学の歴史とともに発展してきました。
  鍼灸治療の「鍼」は、「_石(へんせき)」と呼ばれ、石器時代より見られることを以前ご紹介しました。ここでは、皮や布を糸(ひも)で縫い合わせて衣服などを作るための道具としての「針」縫針needleについて少しご紹介します。
  縫針は、旧石器時代後期には出現しており、石から骨や角で作ったもの、そして金属製のものへと発展してきました。日本では福井県鳥浜貝塚で縄文前期頃と思われる骨針が出土し、古墳時代中期には鉄針の出土例もあります。古代の針については、正倉院に実物が残っているほか、平安時代の巻物「延喜式」のなかに、都の東西の市で売られていたことが記されています。鍼灸治療の「鍼」以上に、身近に使う道具としての「針」の、歴史の古さに驚かされます。
  鍼灸治療の鍼は主に人間に、縫製の針は布や皮に使いますが、釣りの針は生きている魚に、縫合針は手術に用います。共通 した特長がいくつかあります。 ・折れない (折れにくい) ・ばね製が強い (腰が強い) ・耐酸性がよい (錆びにくい) ・刺入性がよい (刺通性・通 りがよい) ・切れ味がよい (線肌の滑らかさ) ・しなやかさ (運針し易い)
  縫針では、あんな細い針によく穴を開けるものだと感心しますが、最近は糸を通 す穴も工夫され、簡単に糸を通せる針もあります。鍼灸治療の鍼では、特に痛くないという事を要求されるため、針先の形が工夫されています。現在は松葉形と言われる物が多いですが、古来より針先にはスリオロシ形、ノゲ形、卵形、松葉形などがあります。いかに職人達がその業種のなかで、安心して使われるようにと考え、伝承と創意工夫をもって苦心してきたかが理解されます。

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 第15話 『(もぐさ)の作り方』   文責 清野 充典

 艾の作り方ですが、実際に見てみると気の遠くなるような作業をして作っています。蓬(よもぎ)の葉っぱの裏についている繊毛のみが上質の艾として利用されている事実からして大変なことです。艾には何種類もの製品の質があるのですが、最高級の物は蓬の葉っぱ全重量 のたった3パーセントしか製品になりません。270kgにして900gです。工場には米俵のように270kgの蓬の葉が積み上げられていましたが、この量 からたった900グラムしかできないと聞くと誰もが驚くのではないかと思います。
 製造作業は手作業の部分が多く、職場の環境も細かな粉塵と強い臭いで息がしずらく、艾を作っている人に深く敬意を表したい気持ちになります。その製造過程は、

1.
艾を乾燥させます。乾燥にムラができないように集荷した蓬の葉をほぐします。270kgの束はすごい量 です。
2. ほぐした蓬の葉を7kg位づつ籠に分けて乾燥室にいれ、80℃から90℃の熱で4〜5時間乾燥させます。(上質の艾は最も寒く乾燥している1〜2月に作りますがそれでも中は暑い)
3. 乾燥した葉を取り出し、機械にかけて細かくします。
4. 長どおしにかけてほこりを落とします。
5. 少しづつ手で石臼にいれすりつぶしてさらに粉砕します。
(石臼の重さは約300kg、昔は水車の力で回していたそうです。いまはモーターを使用しています)  ちなみに手で細かくひねるような艾(点灸用)を作る時は、石臼に3回入れて細か〜くします。おおざっぱに使用する艾(温灸用)は石臼に2回しか入れません。
  もう一度長どおしにかけてほこりをとります。
6. とうみにかけてさらにほこりを取り除きます。 (竹でできたとうみは身長の2倍もある大きな物で、長い時間をかけ、ゆっくりゆっくりほこりを取り除きます)
7. 最終的に人間の眼で混ざり物が無いか確認します。

 以上がおおよその作業内容です。文字で読んだだけでは想像もつかないと思いますが、とにかく大変な細かい作業です。この艾に使う蓬は日本でも中国でもいたるところで取れますが、上質の艾は中国の蓬では作れません。そのため中国では艾を細かくひねりお灸する技術がありませんし、お灸でいろんな病気を治療することは発達しませんでした。はり・きゅうといっても灸の技術は日本独自・日本のみといっても過言ではありません。細かな艾を作りだした古人の技術が医療技術を発展させたのです。
  では、どこの蓬が一番いいのかといいますと、新潟県の名立町付近です。寒いうえに、海からの風が強く大きく育たない、湿気が少ないという気候風土が幸いしているようです。

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その15 『鼻について』  文責 小高 靖
【鼻の役目】
 鼻の役目は吸い込まれた空気をきれいにすることです。鼻毛は空気中のゴミを取り除き、奥にある粘膜は、ほどよく空気を温めたり、湿らせたりします。こうする事で冷たく乾燥した空気から肺を守っているのです。
 もう一つ大切な役目はにおいを嗅ぎわけることです。この嗅覚は、他の感覚とは異なり疲労しやすいという性質があります。においを嗅いでいると、そのにおいに対する感覚がすぐに弱まるのです。逆に北極探検でもしてにおいのない環境で過ごすと、においに対する感受性が高まります。人の嗅覚は、他の多くの動物と比べると非常に鈍いのですが、それでもいろいろなにおいを嗅ぎわけることができます。お茶・コーヒー・香水・ワイン・お酒の専門家のように特別 敏感な人もいます。

【鼻のかたち】
 
西洋人の鼻が高いのは先祖が北の寒い地方で生まれたから、という説があります。これは冷たい空気を温めるために大きくなったもので、反対に南洋の黒人は暖かい空気を呼吸するため鼻が低いというのです。しかし、江戸時代に描かれた絵を見ると、庶民の鼻は低く将軍や大名の肖像画は立派な鼻の持ち主が多いことから、栄養との関係を指摘する人もいます。将軍や大名は庶民より栄養のあるご馳走を食べたから、鼻をかたちづくる軟骨が発達したというのです。現代の日本人はたくさん栄養をとるので、欧米人のような高い鼻になるだろうというのですが、皆さんはいかがでしょうか。

【においの感じ方】
 鼻の中の天井には切手一枚ほどの大きさで嗅覚受容器(きゅうかくじゅようき)という、においを感じる場所があります。鼻に入ってきたにおいのもととなる化学物質は、ここで粘液に溶かされ嗅覚細胞を刺激します。それが大脳に伝わってにおいとして認知されるのです。この神経の通 り道は感情や自律神経をつかさどる脳の辺縁系(へんえんけい)と呼ばれるところと密接に関係しています。その結果 においの感覚は長く記憶に残り、感情に大きな影響を及ぼすのです。あるにおいから、何かこれまでの状況を連想したという経験はありませんか?例えば、アップルケーキのにおいがそれをよく焼いてくれたおばあちゃんを思い出させるとか、あるタバコのにおいがおじいちゃんを思い出させるとか、ある香水の香りが懐かしい人を思い出させるとか・・・。

【東洋医学では・・・】
 鼻の通りを良くしたり、鼻炎を治そうとしたりする時、印堂(いんどう)というツボを選ぶ事があります。このツボは眉間の中央にあるのですが、昔から気力を集中するツボとして有名です。仏像には、みな眉間の中央に丸い印が描かれたりしますが、これも天地のエネルギーである“気”が印堂から入っていくとされていたためです。眉間に縦ジワのある顔のことを古人は“破相(はそう)”と呼び嫌ったそうです。実際、落ち込んでいたり何か悩み事が続いたりすると、この縦ジワが現れることが多いようです。鏡を見て眉間の中央がなんとなく青白く、元気の無い方はおられませんか?恐らく内臓の働きも低下し、疲れがたまっていることでしょう。
  新たな気を送り込みリラックスするには、はり・きゅう治療が最適です。はり・きゅう治療は血液の流れや、内臓の働きを良くし、身体の抵抗力を高めてくれます。人間、悩みは付き物です。健康になって体力を付ける事から始めませんか。

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Part14 脳貧血 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 脳貧血は、脳を流れる血液が
      一時的に不足して起きる失神です。

 学校の朝礼中に倒れる子供とか、コンサートで興奮状態が極限に高まった女性が失神するのも、この脳貧血の症状です。
 ごくありふれた一時的な症状です。しかし脳貧血で頭を打って重症などという事態が起きたら大変です。
  ここは是非正しい応急処置を覚えておきたいものです。 まず気分が悪くなり心臓がドキドキして、ジワッと冷や汗がにじみ出るなどの自覚症状を感じたら、どんな場所にいても、頭を下げてかがみこむことです。これならもし失神しても頭を打つことはないでしょう。
  すでに失神している人を見つけたら、衣服をゆるめ、脚をできるだけ高く上げて、寝かせましょう。この時、身体中をよく調べて、ケガがないかどうか確かめるのを忘れないようにしましょう。出血などがあれば、すぐに止血の手当てをしましょう。なお、たびたび貧血を起こすような時は、脳の異常など重大な病気にかかっていることがあります。1度病院に行き、検査を受けましょう。
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 数値8.『血小板』   清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 鼻血が出て止まらない人や、ちょっとぶつけただけで
      すぐアザができる人がいます。

  これは血液中にある血小板の数が少ない人の特徴です。 普通ケガなどをして出血すると、傷口にバイ菌を退治する白血球がサッと集まってくると同じように、出血を止めるために血小板が集まってきます。その血小板がワッと集まって、出血を止めるための理想的な数は、血液一・中十五万〜三十万個で、血小板の正常値の検査方法は耳に針を刺して約二〜五分ぐらいに血が止まるのが一つの目安になっています。
 この血小板が五万を切ると出血傾向が出てきます。自然に鼻血が出たり、歯ぐきに血がにじんだり、皮下出血が始まったり紫色の斑点が出てきます。突発性血小板減少症、再生不良性貧血や白血病等で、血小板が3万以下になると前記の出血のほか腸から出血したり、血尿が出たりして、血が止まらなくなります。悲惨なのは、白血病の中でも前骨髄球性白血病です。この病気の末期になると、それこそ身体中の穴という穴から出血します。例えば婦人科的に出血する、鼻から出る、吐血する、舌から出血する。こうなるとどんな止血剤を使っても止めることはできません。
 しかし、こういう例はそう多くあるわけではありません。それよりも血小板が今問題になっているものは別 にあります。それは血小板の働きが強すぎて、血液を固めすぎるということで、それが脳栓塞、脳血栓を作る原因になっているということです。
 もうひとつ、減少とは逆に血小板が多すぎても問題があります。この場合もやはり出血しやすいという傾向があります。手術などで大量 出血すると、一時的に血小板が増えることがあります。ただそんな場合は、止血作用が低下し数が減った場合と同じ状態になるのです。
 こんな時はまず血液検査を受けましょう。大事に至る前に適切な処理が必要です。よく自己分析できないときはお気軽にご相談ください。
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  知識(10)『ウンコの長さ』 
                             清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 ウンコの長さですが、これもウンコの固さと量に関係します。量 が多く、ちょうど良い固さの時、ウンコは一番長くなり、10〜15センチにも達します。これに対し、ウンコがあまり固くなると、ウサギの糞のように、球状の小さなウンコが出ます。
 ウンコの長さを決めるもう一つの大きな要素は、その人の生活です。ウンコの長さは、ある程度まで意志で左右できるので、せっかちな人は短く、気の長い人はウンコも長くなる傾向があります。例えば、昔の軍隊では、便所に行く時間が制限されてましたから、みんな早ぐそをしました。早く出そうとすると、何度も括約筋をとじたりゆるめたりするので、ウンコは小さくこまぎれになって出てくるようになるのです。
  また痔がある人は、痛みに対する恐怖から、ウンコを柔らかくする努力が重なるためか、ウンコは短くなる傾向があります。逆に、便所を思考の場としている人達のウンコは、一般 に長くなる傾向があります。のんびりと別なことを考えていて、ウンコを途中で切ろうとする意志が働かないので長くなるのです。
 理想的なウンコは、バナナ型にすっと出てお尻を拭く必要がありません。一分もしないうちにトイレから出ることができたら超健康体です。 さて貴方はいかがですか?

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 六の幕
味噌汁日本古来のすぐれた健康食
                清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 室町時代の昔から、日本人に親しまれてきた味噌汁も、今から二十年程前に始まった減塩運動の槍玉 に挙げられたことがあります。味噌汁に含まれる塩が、脳卒中やガンの発生に関連があることがわかってきたからである
 しかし、脳卒中と胃ガンの死亡率が全国でもトップクラスの秋田県と岩手県を詳しく調べてみると、意外な結果 が出ました。同じ県内でも、具の多い味噌汁を食べている地域では、むしろ脳卒中や胃ガンによる死亡率が低かったのです。
 味噌汁は、作り方によっては立派な健康料理になります。要は、海藻や野菜などの具をたくさん入れて、味噌汁を作ればいいのです。例えば、青森の津軽地方では、旧正月の十六日に無病息災を祈って、粥汁を食べます。粥汁とは、大豆、高野豆腐、ニンジン、ゴボウ、大根、しいたけ、ワラビなど10種類近くの具をお粥のように柔らかくなるまで煮た味噌汁のことです。こんな味噌汁は、間違いなく生活習慣病や老化を予防します。
 それに、味噌汁のもとになる大豆は、ガン、動脈硬化を防ぐだけでなく、エイズにも効果 があることで、今、注目されている食品です。
 確かに、塩分のとりすぎは高血圧につながります。しかし、もともと味噌には、それほど塩分は含まれていません。しかも、野菜をたくさん使った味噌汁には、カリウムが豊富に溶けています。減塩を心がけるなら、塩分のとりすぎを防いでくれるカリウムを、積極的に摂取することも大切なのです。
 落語の「みそ倉」では、みそ屋の主人があまりにもけちで、店の者に食べさせる味噌汁があまりのも薄かったそうです。それで、ある日、味噌汁に移った自分の目を田螺(たにし)と間違えるという話があります。薄い味噌汁は、塩分は少ないかもしれなけれども、味気ないものです。味がよく、具の豊富な味噌汁が、やはり健康への近道でしょう。

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 子供(2)“「小児はり」は何に効くの?”

                清野鍼灸整骨院 主任 小野寺 啓

  前回は、小児はりの歴史について簡単にお話ししたと思いますが、今回からは具体的に小児はりの内容について触れていきたいと思います。  小児はりといっても、どういう時にするものなのか?どのくらいの年齢から治療を受けることができるのか?と疑問をもたれるかもしれませんね。
 では、どういう時に小児はりを受けたら良いかをお話していきましょう。
 まず、第一に挙げられるのは、誰でも聞いたことがあるでしょう「疳の虫(カンノムシ)」。詳しくはまた今度お話しようとは思いますが、簡単に言うと子供がとても興奮し易い状態で、キーキーいったり、行動が乱暴だったり、いつもと違う行動をとったりする状態です。(便秘や下痢といった症状なども含むのですよ。)  西洋医学的に、小児神経症といわれる場合もあるのですが、こういうとき、小児はりを受けるとたちまち状態は回復に向かいます。
 他にも、喘息・アトピー・扁桃腺炎・気管支炎・肩こり・頭痛・結膜炎・中耳炎・鼻炎・蓄膿症・成長痛・腹痛・チック・どもり、挙げればきりがないほど子供がかかる病気は沢山ありますが、小児はりをすると殆どといって良いほど子供の病気の状態は改善していきます。
 前回もお話ししましたが、大阪を中心に関西圏では、小児はりは小児の保健や病気の予防などに広く活躍しています。
 治療は生後二〇日〜一ヶ月より受けることが可能です。ご自分のお子さんや、知り合いのお子さんのことでいろいろなお悩みをお持ちの方、お子さんの健康を望まれている方、ぜひ一度ご相談下さい。
 きっと、良い答えが見つかると思いますよ。
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