『オアシスだより第13号発行にあたり』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 二十一世紀がスタートしました。
  二十世紀の終わりの盛り上がりぶりとは正反対の静かなはじまりのように思います。浮ついた考えを持っていては生き抜けない。といったところでしょうか。世の中の厳しさが増し、健康に対する見方、とらえ方も、二十世紀とは違ったものになるのは間違いのないところです。

 医療システムは、西洋医学・東洋医学のへだてなく、行なわれるようになるのは、今世紀の早い段階に実現されることでしょう。
  人々は健康に対して深く考えるようになり、街全体が健康な身体づくりに取り組むようになります。地域差は益々なくなることでしょう。当健康研究サークル「オアシス」は来たるべき時代の中心となる人達の集まりだと思っています。どうぞ「オアシス」を充分ご活用下さい。

  また、皆様のご意見を心よりお待ち申し上げております。
平成十三年二月二〇日 現在の会員数 111名

■ 目 次 ■
‥‥……第13回『灸頭鍼法』日本人の生んだ治療法 ……‥‥
 ‥‥……第十三話……‥‥『ツボの取り方』 
 ‥‥……その13 『身体に体温について』前編……‥‥

 ‥‥……Part12 下血……‥‥

 ‥‥……数値6 『血糖値』……‥‥

‥‥……知識(8)『慢性下痢』慢性下痢はストレスが起こす……‥‥
 ‥‥……四の幕牛乳中高年に最適な健康長寿飲料です……‥‥

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 第13回  『灸頭鍼法』 日本人の生んだ治療法  文責 今田開久

 鍼治療は皮膚に鍼を接触したり、皮下や筋肉内に刺入したりして、様々な刺激を与えて治療を行います。灸治療は、皮膚に直接または間接的に艾(モグサ)を置き、温熱刺激を与えて行う治療法です。

 鍼灸治療の起源は古代中国と言われていますが、千数百年前に海を渡り、わが国でも現在まで中国とは少し違った形で発展してきました。その中で中国にはない治療法も生まれて来ています。日本人が鍼と灸の両方の良さを同時に行う方法として考え出したものが「灸頭鍼法」です。これは鍼を刺して、その頭のところに艾を着けてお灸を行うものです。

 灸頭鍼法は、昭和6年に東京の芝で開業されていた、笹川智興先生が始められたと言われています。婦人雑誌に掲載されたことがきっかけで、広く知られるようになったものです。現在は中国でも同様の治療をしていますが、以前に紹介した耳鍼法や低周波置鍼療法(低周波鍼通電療法)などと同様に、鍼灸治療が外国で発達したものの一つと言えるでしょう。

 灸頭鍼は、慢性的で頑固な痛み、特に寒冷が原因で起こるものに大きな効果があると言われています。五十肩、腰部痛、腹部症状、婦人科疾患、神経痛など特に冷えが原因となる症状では、灸頭鍼法を行うと、なんとも言えない心地よさとともに症状が楽になっていきます。

 灸頭鍼は、艾が燃えるときに大量の煙が出ること、火を使うため火傷の危険があることの理由で、赤外線などの電気熱で代用することもありますが、身体の状態によっては艾を使った治療のほうが、効果が高いことがあります。

 当院では、患者さんの体質や症状に合わせて色々な方法を組み合わせて治療を行っております。
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 第13話 『ツボの取り方』   文責 眞野 仁

 最近はうれしいことに東洋医学に対して関心が高まって、健康雑誌のみならず一般の女性雑誌、テレビ番組(スパスパ人間学、あるある大辞典など)にもいろいろな健康増進のツボが紹介されるようになってきました。東洋医学が少しずつ社会に溶け込んでいっていることを表わしていることとうれしく見ています。

 ところで鍼灸の治療家にとってもツボをどう取るかという事は、じつはとても難しいことです。それはもちろん、取り方を覚えていないからではありません(覚えていなかったら大変だ!!)。実は同じツボでも長い歴史の中でいくつか取り方があって、その取り方によって場所が微妙に異なるからです。1、2センチぐらい違うこともあります。それに、人によって、日によっても少しずつ違えないといけません。本に書いてある通り取ればいいというものではないのです。

 江戸時代文政年間に水戸家の侍医をしていた原南陽医師が「叢柱亭医事小言」という本の中で、「骨空、分肉の中に経穴は求める。故に銅人形ばかりを知るのみにて治療の実地に関わらず」と記しています。「骨空」は骨と骨の隙間、「分肉」は筋肉の溝、「銅人形」は経穴(ツボ)を覚えるために作られた銅製の人形のことです。先の文章は、銅人形はツボの方角を知るだけのもの、ツボの部位を記述した成書は方角の道標だけのもので、治療の際にはそこを足がかりにして本当のピッタリの場所を探し出せ!ということです。身体中のどんなツボも、その人にピッタリ合った場所はそこを押すとピンと響くところです。

 テレビや雑誌に出ているツボを使ってみるときは、場所の取り方にあまり神経質にならず、大ざっぱな位置を確認し、その周辺をよく押してみて最も響く場所を選ぶようにするといいと思います。ときどき「効くと言われていたところにお灸をしてみたけど全然効かなかったよ」といわれることがありますが、もう一度このツボの取り方でやってみてください。我々もよく「お灸は効くものでなく、効かすものだ」と言われます。是非やってみてください。

 もちろん我々に聞いて いただくと確実です。
お気軽にどうぞ。
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その13 『身体に体温について』前編  文責 小高 靖

【体温とは】
  皆さんは『体温』という言葉を耳にしたとき、身体のどこの温度をイメージされますか?

 それは「身体の中の温度に決まっている!」なんて声が聞こえて来そうですが、実のところ医学的なはっきりとした定義はないんです。というのも身体の温度というのは、測る場所や条件によって一定ではないからです。例えば身体の内側といっても、肝臓内の温度は他より高いと考えられますし、激しい運動をしているときの筋肉の温度は非常に上がります。(マラソン選手が2時間走り続けているとき、腋の温度は38から39度にもなる。)また案外、脳の温度も高いといわれています。では、どこの温度をもって体温というべきでしょうか?

  身体の熱は身体の各所で行われている、新陳代謝(しんちんたいしゃ)によって作られます。そして、この熱は全身をめぐる血液の温度に反映されます。心臓は全身から血液を集め再び送り出す器官ですから、そこから出る大動脈の血液の温度は体温の代表選手としてよいでしょう。しかし、大掛りな器械でもない限りこんな温度を直接測る事はできません。ですから便宜上、腋の下のくぼみ(腋窩)、口の中(口腔)、お尻の中(直腸)などの温度を測って体温とし、医学的にはあえて『臨床検温』という言葉を使います。(もちろん体温で充分通じますよ) ※代謝とは新しいものがどんどん古いものと入れ替わり、バランスを保ち続けることです。

【体温調節のしくみ】
  身体には熱の産生と放散を調節して、体温を一定に保つ機能があります。間脳の視床下部(ししょうかぶ)には体温調節中枢というところがあり、この働きの親分的存在です。ここから命令を受けた自律神経は身体に働きかけ、暑いときは血管が広がる・立毛筋がのび、毛穴が開く・汗線が開き、汗が出る等の変化を起こし熱が放散されます。寒いときは血管が縮まる・立毛筋が収縮し、毛穴が閉じる・汗線を閉じ汗がなくなる等の変化を起こし熱が逃げないようにします。

【体温の測り方・注意事項】
  一般に腋窩∧口腔∧直腸∧身体の深部の順で温度が高くなります。大切なのは表面の温度ではなく内部の温度ですから、測定するときはなるべくそれに準じた状態をあらかじめつくっておく必要があります。ここでは最も広く利用されている腋窩検温についてまとめてみましょう。

  1. 安静にし、腋はあらかじめ閉めておく。(熱の放散を防ぐ。汗はそのままでよい。)
  2. 検温器は前下方から後上方に向けて挿入し、その先をくぼみの最深部にあてる。(動脈が流れており温度が高い。)
  3. できるなら、同じ側・同じ時間で測る。(だれでも0・1〜0・3度の左右差や1日のうちでの変動がある。)
  4. 横向きになって測る場合、上になっている側で測る。(下になっている側は圧迫され、血液の流れが上に偏る。このため少し温度が低くなる。)

以上、ちょっとした工夫で測定による誤差は少なくなります。今度風邪を引かれたときにでも試されてはいかがですか?もちろん試さなくて済むよう祈っておりますが・・・
※後編は次回、オアシスだより(14号)をご覧下さい。
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Part12 下血 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

痔と即断するのは軽率
便の状態と血液量を報告し治療を受ける

 便にまっ赤な血が混じっていたら、誰もがギョッとし痔だと思うに違いありません。
 ですが素人判断は禁物です。このような時は、まず出血量の多少にまどわされずに、便の色や様子をじっくりと観察することが大切です。もし便に血が混じり、しかも鉛筆の芯のように細かったり絶えず便意があったりする時は、直腸癌の可能性もあります。
 一刻も早く病院に行き、便の状態と血液量を報告し検査を受けましょう。できれば便の一部を持っていくとよいでしょう。
 また、これとは逆に便が真っ黒なコールタール状の場合もあります。ちょっと見たところ血液には見えませんが、これは胃や十二指腸から出血している証拠です。真っ黒になるのは、4メートルもある腸を血液が流れる間に変化したためです。
  この場合は、内臓の中でかなりの出血をしていることが考えられるため、早急に輸血をしなければなりません。
  もし病院まで時間がかかるなら救急車を呼びましょう。
  その間は、安静にしショック防止のため保温して、足を出来るだけ高く(太ももと腹の角度が九〇度近くになるように)上げておきましょう。
  こうすれば血液の循環がよくなり、しかも足に血が行きにくくなるので、その分が心臓や肝臓にまわり、ショック状態をやわらげることができます。
  なお痔は、便と一緒に鮮血が勢いよく出るもので、よく見ると、便の表面に血液が付着しています。
  便はまさに健康のバロメーターです。常に便の状態を観察する習慣をつけておきたいものです。
  なお、緊急の状態を脱したら、その後は鍼灸の治療をうけてみて下さい。不快な症状がみるみるとれて行くことと思います。西洋医療との併用も可能です。お気軽にご相談下さい。
  また、痔出血は寝不足や酒の飲み過ぎのときおこりやすく、鍼灸治療をしますと、1〜2・3回でおさまります。あわてて病院へ行き、薬をのみすぎたり、手術が必要だといわれたり、クヨクヨしないでください。
  皆様の不満にすぐお応えします。
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 数値5.GOT・GPT   清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

空腹時に血液1dl中に80〜100mgで正常
空腹時に120mg/dlを超えると糖尿病の疑いがある

 血糖とは血液中にあるブドウ糖のことで、エネルギーの源になり、生命を維持していくのに大切な役割があります。血液中のブドウ糖の値は、多すぎると血管、神経、その他の臓器に害を与え、少なすぎると脱力感、冷や汗などの低血糖症状をおこします。したがって空腹時に80〜110mg/dlぐらいの正常値を保つためにいろいろなシステムでコントロールされています。

 三度三度の食事時間になると空腹感を覚えますが、これは血糖値の変化によるものです。つまり我々の身体は血糖値がすこし下がると空腹感を覚えます。そうすると食事をとることになるわけですが、その後30〜60分たつと一時的に血糖値は上がります。そうなると膵臓からインシュリンが分泌され、血糖値を正常まで下げてくれるのです。
  糖尿病かどうかを調べるのに糖負荷試験という検査法があります。これは空腹時にブドウ糖50gを飲んで、血糖や尿の糖分が、30分後、1時間後、2時間後にどう変化するか測定するものです。
  これは、空腹時に測った血糖値が血液1dl中に80〜100mgぐらいで、ブドウ糖を飲んだ後、最高値(30分または60分後)が150mg/dl以下で、2時間後に110mg以下にもどっていれば正常といえます。これが空腹時に110以上あり、最高値が160mg/dlを超えると糖尿病の疑いがあります。

 糖尿病がひどくなると、空腹時でも血糖が200〜300mg/dlもあり、50g負荷すると、400〜500mg/dl(正常の3倍)ぐらいになり大量の糖が尿に出てしまいます。

 こうなると濃い血糖を薄めようと患者は水を要求します。ひどい場合は、10分間にコップ10杯もの水を呑むようになります。糖尿病は悪化するといろいろな合併症を起こし、はては昏睡状態に陥り死にいたる場合もあります。
  逆に血糖値が60mg/dl以下になると脱力感、冷汗がでて、はては気を失い、脳障害を起こすこともあります。さらに30以下になるとショックで急死することもあります。

 膵臓の働きをよくする薬はないため、血糖値を下げるためインシュリンを注射する方法が西洋の医療ですが、結果的にはインシュリンを作る働き、つまり膵臓の働きはますます衰えます。
  膵臓は鍼灸治療、特にお灸で働きが回復することがわかっています。
  糖尿病でお困りの方がおりましたらご相談下さい。
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  知識(8)『慢性下痢』慢性下痢はストレスが起こす   清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 急性下痢の原因が割合単純なのにくらべて、慢性下痢は、かなりたくさんの原因によって起こります。おもなものをあげると、つぎのようになります。

  1. 消化障害、消化液の不足、胃の機械的消化の低下、胃腸手術後、慢性肝臓炎、いわゆる消化不良症など。食べすぎ飲みすぎもこのグループにはいります。
  2. 腸内細菌の異常。赤痢とかコレラなどの病原菌は別として、ふだんから腸内に住みついている腸内細菌もバランスのとれた分布がくずれると、いろいろな障害を起こします。例えば発酵や腐敗も、細菌のなせるわざで、その結果発生したガスが大腸を刺激して下痢を起こします。
  3. アレルギー。食物アレルギーで下痢をすることは比較的少ないと考えられます。牛乳で下痢するという人も、牛乳アレルギーというよりも、冷たいものを飲んだために胃が刺激され、それが大腸に伝わって、運動が活発になったためと考えられる場合が多いようです。本当の食物アレルギーは専門家の診断が必要です。
  4. 腸に傷のある病気。腸炎、潰瘍性大腸炎、アメーバ赤痢、腸結核、腸ガンなど、傷がある病気で下痢を起こすことも少なくありません。
  5. 過敏性大腸。腸に特別の傷がなく、大腸の運動だけが過敏になって、下痢をすることが少なくありません。むしろ慢性下痢の半分以上を占めていると考えられます。慢性下痢の場合にも、原因をみわけることが大切で、とくに傷のある病気は早くみつけなければなりません。腸の病気は胃の病気より診断がむずかしく、大がかりな検査も必要となり、入院しなければならないこともあります。

 いずれの場合も内臓の働きが低下し、大腸の 機能が特に正常な範囲からはずれたときに起 きます。
  内臓の疲労をとるのに鍼灸治療が最適です。
  下痢は特によく効きますのでお困りの方が ありましたら是非ご相談下さい。
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 四の幕
牛乳中高年に最適な健康長寿飲料です
                清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 日本人が牛乳を飲み始めた歴史は、意外に古いです。記録では、孝徳天皇(在位645〜654年)の時代に唐からの帰化人が牛乳を搾り、天皇に献上したといいます。その後、貴族の間で牛乳を飲むことが広まり、”酥(そ)”というチーズのようなものも作られたとのことです。最近、発見された奈良朝の左大臣・長屋王(ながやのおう)邸跡から出土した木簡(木の札に文書を書きしるしたもの)にも、当時の貴族が牛乳を飲んでいたことが記録されています。

 こうした歴史があったにもかかわらず、日本人の食生活の中に牛乳は根づいていません。明治になって福沢諭吉が牛乳の持つ薬効に着目し、牛乳を”仙薬”とほめたたえましたが、それでも庶民の飲み物とはなっていません。
  牛乳が一般的に飲まれるようになったのは、第2次世界大戦後のことです。
  実は、牛乳がほんとうに”無比長寿の仙薬”であることがわかったのも、つい最近のことです。昭和50年代に札幌医科大学が北海道の酪農家を対象に、牛乳を飲む習慣と健康との関連についての調査をしたところ、牛乳をよく飲む人には長寿者が多いということが確かめられています。
 
同様な調査は、東京都老人総合研究所でもおこなわれています。同研究所が昭和51年から70歳のお年寄り約400人追跡調査したところ、牛乳を毎日1本以上飲んでいたお年寄りの4年目の死亡率は約8パーセントであったのに対して、牛乳を毎日飲んでいなかったお年寄りは21パーセントと、3倍近い開きが見られています。
  牛乳には血圧を下げたり、ガンを防いだりする作用があることもわかっています。なによりも重要なのは、牛乳には日本人に不足しがちなカルシウムが豊富に含まれていることです。中高年は、骨粗鬆症という骨がもろくなる病気を避けるためにも、牛乳を1日に1本(200ml)ぐらいは飲むようにしたいものです。
  ただし、牛乳を飲むと下痢をする人が日本人には多いです。そういう人は一度に飲む量を減らして何度かに分けて飲むか、ヨーグルトを食べることをおすすめします。
  尚、牛乳はいつも温めて飲むよう心がけましょう。
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