『オアシスだより第12号発行にあたり』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 健康に対する考え方は、人により実に様々です。 治療にいらっしゃる方も、 (1)痛みが止まればよい方。 (2)日常ある程度まで生活できればよい方。(3)内臓の疲労まで取りたい方。(4)強靭な肉体を希望する方。 に分かれます。
いずれの状態にも対応できますが、右の4つはそれぞれの人が考える健康への認識の違いだと思います。 健康研究サークル「オアシス」は、会員の皆様一人一人と健康について考える会です。
どうぞ十二分にご活用ください。

平成十二年十一月九日には、第十回オアシスの集いを行います。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
平成十二年十月二十日現在の会員数 一〇八名

■ 目 次 ■
‥‥……第12回 古くから伝わる鍼の刺し方……‥‥
 ‥‥……第十二話……‥‥ものもらい
 ‥‥……その12 爪について……‥‥

 ‥‥……Part11 くも膜下出血……‥‥

 ‥‥……数値5 GOT・GPT……‥‥

‥‥……知識(7)『下痢』安全な下痢と危険な下痢……‥‥
 ‥‥……参の幕豆腐なぜ日本人に前立腺ガンや乳ガンが少ないか……‥‥

各コーナーは上記リンクでスキップ!!

 

 

 


 第12回  『古くから伝わる鍼の刺し方』 文責 今田開久

 鍼灸治療では、痛みや病気のあるところに鍼を刺すだけではなく、体の状態に合わせてツボ(経穴)を選び、治療に使う道具の種類を選び治療をしていきます。
  東洋医学の古典の一つである『黄帝内経霊枢』のなかには、「九鍼」として九種類の鍼具について書かれています。またそれに加えて、治療の方法として、鍼刺激を与える目的の深さ、病気の種類、症状の出現の仕方や程度によって、「五刺、九刺、十二刺」として鍼の刺し方やツボの選び方の記述もあります。

 ここでは「九刺」と言う九種類の治療法についてお話します。九刺には、ゆし輸刺、えんどうし遠道刺、けいし経刺、らくし絡刺、ぶんし分刺、だいしゃし大瀉刺、もうし毛刺、こし巨刺、さいし_刺と呼ばれる方法があります。
  東洋医学では、体の働きを五蔵六府に分類しています。(五蔵 : 肝・心・脾・肺・腎 、六府 : 胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦。 ここで言う五蔵六府は、西洋医学で言う肝臓・心臓という意味だけではなく、それを含む働きなども意味しています。)
  輸刺は、五臓に病気があるときに用いる刺法です。背中のツボと、肘や膝より先にあるツボを組み合わせて使う方法です。遠道刺は、六腑に病気があるときに、手や足のツボを用いて治療をする方法です。病気の部分から遠く離れた部分に治療をすることから遠道刺と呼ばれています。 経刺は、経脈の流れに障害があり病気が起こった場合に、その障害部位を刺して治療する方法です。
  絡刺は、皮膚に細かな静脈やうっ血があるときに、これを刺す方法です。
  分刺は、筋肉に病気があるときに用いる方法で、その筋肉を狙って治療をします。
  大瀉刺、よう癰やせつ_を切開し排膿する方法です。(癰・_とは、毛包や皮脂腺が感染などにより炎症を起こし腫れた物)
  毛刺は、表皮に病気があるときに、皮膚を一〜二mmごく浅く刺します。
  巨刺は、身体の右側に病気があるときに左側に刺し、左側に病気があるときには、右に刺す方法です。
 
_刺は、筋肉に緊張や痙攣、痛みなどがあるときに、燔鍼(鍼を火で赤くなるまで焼いた物)を用いて治療する方法です。
  これらは、二千年以上前に行われていた方法ですが、この多くは現在でも鍼灸治療をする際には、応用・活用されている方法です。古代中国人の研究の成果には驚かされますね。

メニューへ



 第12話 『ものもらい』   文責 眞野 仁

 最近どこからどうもらったか、「ものもらい」になってしまいました。
  やっぱり一度、眼科で診てもらおうと思い朝から駆けまわってみたのですが、残念ながらその日は木曜日。うちの治療所と同じく、お休みの眼科が多いんです。やっとのことで見つけたところも、中に入るとものすごい患者さんの数。おそれをなして、帰ってきてしまいました。やはり頼れるのは自分の鍼とお灸だけ、と悲壮の決意であれこれ本をひっくり返し調べてみました。自分一人でやるのだから背中や首、頭はできません。手や足でも鍼やお灸が自分でできるところは限られます。そんな都合のいいツボがはたしてあるのか?それがあったんです!それは「沢田流二間」!!。
  ツボの位置は手の人差指の第二関節(近位指節関節)にあり、ここをまげてできる横紋の溝の端。ここなら自分一人で十分できるわい、とそのツボにお灸をすえること五壯。すえてすぐから目の違和感が軽くなり、たつこと半日、気がつくと目の腫れぼったさも目立たなくなっていました。いやはや、治療者の私が弱っている情けない姿を、わたしの患者さん達に見られなくて本当に良かった、と思った次第です。
  そもそも「ものもらい」は正式には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」といって、眼臉(まぶた)の中にあるマイボ−ム氏腺という脂肪を分泌しているところに化膿菌が侵入して、まぶたの内か外の一部が腫れ上がったものとされています。腫れがひどいと結膜が充血してまぶた全体がむくんだり痛んだりして、この間の私の様にうっとうしい思いをします。眼科に行くと、たいてい目薬など処方されて、何日かすると治ることが多いですが、ひどくなると切開してもらう事にもなります。
  この「ものもらい」も、ごく軽いものだとおまじないみたいなものでも治ることもあります。とはいってももちろんそんな軽いものばかりとは限りません。ズキンズキンと痛んで腫れてつらいものには、ぜひ私が使った「沢田流二間」を試してみてください。さきほど書いたツボの位置に米粒半分ぐらいの大きさで、まず五回灸をすえてみてください。だいたいはこれで痛みはほとんど消えることが多いです(私のように)。これでもまだ痛むようだったら、さらにもう一回五壯すえてみてください。
  このお灸は非常に速効性のあるお灸です。これで一日おいてみて、それでも治らないときに眼科にかかってもいいのではないでしょうか。
  お灸はこの「ものもらい」に限らず、いろいろな病気によく効く治療法です。あつくて嫌い!といやがらず、調子が悪くなり出した初期、お医者さんにかかる前に利用されてみることをお勧めします。
  ぜひバンソウコウ、消毒薬、胃腸薬などと一緒にもぐさと線香を!!。お灸が家庭の医療の重要治療法の一つに復権する日を私は夢見ています。

メニューへ


その12 『爪について』  文責 小高 靖

【爪の正体】
  何年も同じ道具を握って仕事をしている職人さんの手には、タコがあります。これは、皮膚を守ろうと皮膚の成分の蛋白質がケラチンという固い組織に変わり厚くなったものです。人間の体はすばらしい能力を持っており、このような防衛組織をつくる仕事もしてくれます。これと同じく蛋白質のケラチンを主成分としているのが爪です。ですから、もともと指先を守るためのタコが、進化の歴史の中で変化したものが爪ではないかと考えられているのです。

【爪の成長】
  爪は根元の爪床(そうしょう)と呼ばれる組織でつくられ、一日に0.08から0.12mmほど伸びます。この速さは、体調の良し悪しはもちろんのことですが、季節・年齢・性別などにも左右されています。例えば昼間は夜間の五倍も速いといった具合です。また一般的に速くなる要素として、夏・青年・男性・右手・手の指・第二、三、四指(趾爪は第一趾)などが挙げられます。逆に冬・高齢者・女性・左手・足の趾・第一、五指(趾爪は第五趾)などは成長が遅いという実験データがあります。

【爪の色】
  爪は本来透明で色はありません。爪が薄いピンク色に見えるのは、爪の下の皮膚に流れる血液が透けたもので、言い替えると爪の色は血液の色です。爪を上から押さえて離したときすぐピンク色に戻れば健康ですが、白いままなら血液の循環が悪いといえます。かなり貧血が進むと、爪の真ん中が凹んでスプーンのようになることもあります。

【東洋医学では・・・】
  東洋医学では肌の色艶、脈、お腹、舌の状態など様々な情報を得て、その人の健康状態を判断しますが、爪もそのひとつになります。健康な爪は、厚すぎず薄すぎず、適度な弾力性を持っています。もし爪に横筋が入っていたらその位置で、いつ病気になったかおおよその見当がつきます。これは病気で爪の伸びが遅くなった為にできたものです。栄養障害・精神的なショック・湿疹・皮膚炎などでも表れます。たとえ本人が病気をしたと自覚していなくても、そのときに肝機能が低下していたことが分かります。
  故事では「楽髪苦爪(らくはつくづめ)」という言葉があります。その意味は楽をすれば髪が伸び苦労をすれば爪が伸びるということです。少しこじつけだとおっしゃる方もおられると思いますので(実は私も始めはそう思ってしまいました・・・。)簡単に説明しますと、東洋医学では髪は腎・爪は肝と関係があると考えます。腎の働きが旺盛になるのは全身が休んでいるときです。休むというのは言葉を変えると楽をしていることですから、髪がよく伸びるのは楽をしている時となるのです。また肝の働きが旺盛になるのは体を動かしているときです。苦労するというのは、精神や肉体をずいぶん使う(動かす)ことですよね。爪がよく伸びるのは苦労をしている時というのは、ここから来ているのでしょう。
 
私自身まだ測ったことはありませんが、興味のある方は実際にご自分の髪と爪で研究されてはいかがですか?
メニューへ



Part11 くも膜下出血 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

上半身が自然に高くなるよう頭を少し高くして安静に

 ひとくちに頭痛といっても痛む場所も原因もさまざまですが、最も恐いのは突然頭がしめつけられるような激痛に襲われることです。この症状では、くも膜下出血が疑われます。
  これは、脳出血の一種で、意識ははっきりとし足の麻痺もないことが多いですが、極めて危険な症状です。
  くも膜下出血は、三十〜四十代の比較的若い人に多く、脳動脈の一部が破れ血液が脳や髄液をたたえているクモ膜のすき間に入り、脳が圧迫されて死亡する恐い病気です。
  まず緊急処置として、絶対に安静にして救急車を呼ぶことです。
  この時、頭を少し高くして寝かせ、肩の下まで枕を当てて自然に上半身が高くなるようにすることです。
  頭だけ高くして首が曲がると、頭から静脈血が戻りにくくなり、かえって脳圧が上がってしまうのでくれぐれも注意してください。
  また、ひどくなると意識がなくなり気道がふさがる危険があります。この場合は横向きに寝かせ、あごを前に引き出す、つまり、昏睡の体位をとらせます。
 くも膜下出血は、一時的に止血しても、二十四時間以内に再出血することがあるので、脳神経外科のある総合病院で、完全に治療を受けるべきです。現在では、手術によって出血しやすい脳動脈の部分を、クリップで止める方法もとられています。
 また疲れやすい、目が黄色い、眼鏡の度が合わないと行った症状は、くも膜下出血の前兆であることも考えられます。 こんな自覚症状があれば、早めに医師の診断を受けてください。
  日頃血圧が高い人は特に要注意です。
  肉体を疲労させ続けると血圧が上がり、くも膜下出血の危険性はかなり高くなります。一旦出血すると1/3の人は死亡、1/3の人は機能障害が残ります。早め早めに身体をチェックしてください。
  東洋医学はそんな皆様のための最高の医療です。どうぞご利用ください。
  また、二〜三週間したら脳も落ち着き、状態によっては退院できますが、万が一機能障害があっても一カ月以内に治療をはじめると後遺症が残らないですむ方も沢山います。
  退院後一日も早く鍼灸院へ通院されることをおすすめ致します。
  全人的医療の東洋医学です。
メニューへ




 数値5.GOT・GPT   清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

  GOTは8〜40
  GPTは5〜35が正常値

  働き盛りのビジネスマンに恐い病気に急性肝炎があります。普通は肝臓病と言うと酒の飲み過ぎが原因と考えられていますが、この急性肝炎はビールスによるものですから、酒を一滴も呑まない人でもこの病気にかかります。最初は、体がだるい、脱力感があるなどの自覚症状ですが、ひどくなると意識障害、腹水貯溜、などが起こってきます。
  この肝臓の働きの正常、異常を知る目安となるものに、血液中のGOT、GPTを測定する方法があります。GOT、GPTとは肝臓の細胞の中にあるトランスアミナーゼという酵素の一種です。肝臓の細胞の中に入っており、その細胞が死んだり、膜の透過性が増すと血液中に流れ出してきます。
  肝細胞は正常なときでも少しずつ壊れているのでGOT、GPTは血液1cc中に8〜40単位ほど含まれています。
  ところが肝臓が障害を起こすと、それだけ多くの細胞が壊れ、血液中に多量のGOT、GPTが流れ込んできますから、肝機能検査に最適です。
  急性肝炎になるとこの数が、50〜500という数値になります。この数値は正常な状態に比べて、2倍から10倍も肝臓組織が破壊されていることになります。こうなったらたとえ自覚症状がなくても絶対安静、食事療法、服薬が必要になります。できれば入院したほうがよいでしょう。
  治療はGOT、GPTの数値が正常になるまで続けることが大切です。この治療を中途半端のままで止めると慢性肝炎に移行し、さらに恐い肝硬変になります。こうなるとGOT、GPTは60〜150くらいであまり上がりませんが、他の肝障害がたくさんでてきて遂には死にいたるのです。
  とにかく急性肝炎のときはGOT、GPTをバロメータにして、完治するまで徹底的に治療することが大切です。この場合GOTは8〜40、GPTが5〜35の数値になれば完治したと考えて良いでしょう。
  この他、肝臓病で恐いものに毒性の強いビールスによる激症性肝炎という病気があります。この病気は肝細胞の破壊が激しくGOT、GPTの数値が、今日は150、翌日は250、300、500、800、1000という具合に見る見るうちに増加し、2000を越えると肝細胞が凄い勢いで壊れ、一週間から十日ぐらいで急死する場合があります。 こうなってからでは遅いので、早い時期に専門家による治療が必要になります。
  肝臓は”沈黙の臓器”と言われるように、内臓の中でも丈夫にできています。それだけに一度壊れると元の状態にもどすのに時間がかかります。
  早い段階での肝炎や激症性肝炎がおちついたら鍼灸治療をおすすめ致します。肝臓に有効な薬は今のところないといっていい状態です。鍼灸治療は内臓の炎症をおさえることが可能ですから、安静にして危険な状態を脱したら是非ご相談下さい。

メニューへ





  知識(7)『下痢』安全な下痢と危険な下痢   清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 便秘とは反対に、水分が多すぎると下痢便になります。分類は、泥状、水状となります。泥状では水分が85%以上で、水様状では90%以上が水ですから、水にウンコの成分が少し浮いているという状態です。しかし、少し下痢をすると大騒ぎする人が多いのですが、実際に心配しなければならないほど激しい下痢はごくまれです。
 下痢が恐れられるのは、次の三つの理由からです。一つは激しい下痢のとき水分が失われることです。人間は急に水分が失われると、体に抵抗力がなくなって危険な病態を引き起こします。乳幼児のように抵抗力が弱いものでは、これが直接死につながるわけです。二番目は下痢を引き起こす原因が全身に悪い影響を及ぼすことです。例えば赤痢は、腸を刺激して下痢を起こしますが、同時に毒素が全身にまわって高い熱を出したり、吐き気をもよおしたりするわけです。最後は栄養障害です。下痢の時には、食べ物が腸を通過する時間が早いため、栄養分を吸収する暇がないからです。一般の人が怖がるのは、この栄養障害ではないかと考えられます。しかし、このような障害が起こるのは、本当にひどい下痢をしたときだけです。一日に二回とか三回泥状の便が出る程度の慢性下痢では、水分の欠乏もなく、栄養の障害も起こってきません。長い間下痢をしている人でも、体重が減らない人が多いことが、それを裏付けています。では、下痢の色々な形を見ながら、それがどんな健康状態を示すものなのか、危険を伴うものかどうかを調べましょう。

 下痢は大きく急性下痢と慢性下痢に分かれます。まず急性下痢からお話をはじめます。 ある日突然下痢が起こる。慌てて薬屋に走って薬を求める。これが平均的日本人ではないでしょうか。しかし、もっと冷静になってもいいのではないかと私は考えます。それには、急性下痢に対する正しい知識をもつことが先決問題でしょう。
 急性下痢の原因は、大きく分けて二つあります。一つは、赤痢のような細菌性のもので、病原菌のために腸の運動が異常に高まって、どんどんウンコを送り出してしまうために、水分の吸収が妨げられる為に起こります。時には、食べたものが二時間くらいでウンコになって出てきます。ひどい下痢に血液などが混ざったら、完全に危険信号です。高熱や激痛を伴うときも同様です。もう一つの原因は、食べ過ぎ、水の飲みすぎ、寝冷えによるものです。胃がオーバーワークになるために、消化不十分になり、それが腸を刺激したり、あるいは冷たいものが胃を刺激し、腸・大腸反射を起こしたりして下痢になるのです。この下痢は絶食して寝ていれば、薬を飲まなくても一日か二日で治ってしまうものです。

 急性下痢のときの食事は、大人も子供も、厳重すぎるくらい制限をした方がよいでしょう。一、二食は絶食とし、ついでにおかゆから次第に固くします。急性下痢の時に食事をすると、てきめんに便意をもよおします。大腸が敏感になっていますから、わずかの胃・大腸反射でも加わると、便意につながるのだと思われます。下痢がたまってもすぐに常食に戻さず、消化の悪いもの、脂肪の多い料理などは一週間くらい控えます。
 下痢に鍼灸治療は大変効果があります。お気軽にご相談下さい。次回は慢性下痢についてお話いたします。  
メニューへ




 参の幕
豆腐なぜ日本人に前立腺ガンや乳ガンが少ないか
                清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 江戸の庶民は、朝から晩まで豆腐を食べることも珍しくありませんでした。それだけ豆腐は安く、おいしい食品だったからです。豆腐料理も今では考えられないくらい贅を極めました。
 豆腐の栄養価が高いことは、江戸のころからよく知られていましたが、今日では健康を守る食品としてもその評価が高まっています。例えば、豆腐などの大豆食品を食べると、その中の食物繊維が腸内で分解されて、イソフラボノイドという植物ホルモンが生じます。 実は、これが男性の前立腺ガンや女性の乳ガンの予防に大いに活躍しているとみられているのです。
 実際、こんな研究もあります。日本人とフィンランド人の前立腺ガン、乳ガンの死亡率を比較するとフィンランド人のほうが二倍以上高いのです。そこで、両者の血液中のイソフラボノイド濃度を測定したところ、日本人の場合、フィンランド人の約40倍も高い値を示しました。
  前立腺ガンや乳ガンのような、男性や女性に特有の臓器にできるガンの発生は、性ホルモンの分泌に関係があります。イソフラボノイドは、こうした性ホルモンの働きに干渉することにより、それらのガンの発生を予防するのではないかと考えられています。
 フィンランドの菜食主義者と比較しても、日本人の血液中のイソフラボノイド量は格段に多いのです。それはいうまでもなく、日本人が豆腐のような大豆食品をいまでもよく食べているからです。
  豆腐に含まれる大豆サポニンにも、抗ガン作用があります。これはまたエイズウイルスを抑えることもわかって話題となっています。
 さらに、大豆サポニンには咽喉の舌咽神経を刺激して、食欲を減退させる働きがあります。豆腐を食べていると、最初はおいしく感じられても、食べ進むうちになんとなく食べられなくなってくるのも、このためとされています。つまり、豆腐は適度に食欲を抑えて、肥満を防止する働きもあるのです。まさに豆腐は健康食品の王様です。
 食事をうまく利用して健康維持に役立てましょう。
メニューへ