『オアシスだより第10号発行にあたり』  清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 一九九七年四月に当院10周年を記念して発足した健康研究サ−クル「オアシス」も丸三年になろうとしております。二十一世紀は「病気にならない身体づくり」が全世界の医学・医療の中心になることは間違いなく、当会はその先駆けとしてモデル的な会であると思っております。

 今年度は、

  1. オアシスだより 3回発行
  2. オアシス通信  3回発行
  3. 講演会   2回開催
  4. 病気相談室   1回開催
  5. 体力測定   1回実施
  6. 健康体操教室  10カ月開催
  7. 健康体操教室合同練習 2回開催
  8. 足型健康測定  2回実施
  9. 当院の端午の節句 5月6日に小学校以下の男児に小児鍼無料体験実施
  10. 当院の敬老の日 9月14日に65歳以上の方を対象に予約無料にて診療実施
  11. 当院の勤労感謝の日 11月22日に18歳〜64歳の勤労者を対象に予約無料にて診療実施
  12. 当院の桃の節句 3月3日に小学生以下の女児に小児鍼無料体験実施
  13. 12月1日〜29日 物品販売1割引

 右記の活動を行なって参りました。たくさんの会員の方々にご利用、ご活用いただき誠にありがとうございました。
 今年度好評だった内容の更なる充実を目指し、来年度(平成12年4月1日より)左記特典を加えることに致しました。
(1) 当院の物品販売の品 一割引  一年中OKと致します。
(2) 予約料(500円)無料 一年中OK  ※予約は前日まで

ただし(2)は平成12年度は今年は清野鍼灸整骨院のみとします。

 会員の方々が、更なるメリットを感じていただければ幸いです。皆様の日常生活にどうぞご利用下さい。 来年度もオアシス会員をご継続下さいますことをお願い申し上げます。
2月15日現在の会員数89名

■ 目 次 ■
‥‥……第10回 鍼灸治療と感染症……‥‥
 ‥‥……第十話 鍼とお灸の考え方……‥‥
 ‥‥……その10 歯について……‥‥

 ‥‥……Part9 鼻 血……‥‥

 ‥‥……数値3 中性脂肪……‥‥

‥‥……知識(6)『ウンコの形 健康診断の第2要素』……‥‥
 ‥‥……(9)子供の発熱……‥‥
 ‥‥……壱の幕 『米-世界が認める成人病退治の主食』 ……‥‥

各コーナーは上記リンクでスキップ!!

 

 

 


第10回  『鍼灸治療と感染症』 文責 今田開久

 ここ数年肝炎、エイズをはじめ感染症が騒がれていますが、鍼灸治療で感染は起こるのでしょうか?
  ここでは最近話題になっている感染症について簡単に説明します。
病原微生物がヒトおよび動物の体に侵入し、定着・増殖して感染をおこすと組織を破壊したり、また、病原微生物が毒素を出して体に害を与えると、一定の潜伏期をへた後に病気となります。
この病気を感染症といいます。
  ウイルス性肝炎は現在、A型・B型・C型と、次々と解明されてきています。
A型肝炎の感染経路は、感染者の糞便に汚染された食物(特に生の貝、生魚、生野菜など)や飲料水などを介して経口感染します。
  わが国では、肥料としての糞尿の使用がほとんどみられなくなったことと、上下水道が整備されてきたことなどの理由で、現在ではA型肝炎の集団発生(昔は流行性肝炎と呼ばれていた)がきわめて少なくなりました。
A型肝炎は感染しても大部分は3ヶ月以内に完治します。
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスのキャリアあるいは慢性B型肝炎患者の血液や排泄物(乳汁、精液、膣分泌物、唾液、汗、尿、糞便など)が感染源となっています。
以前は、輸血や注射器による感染が多く、血清肝炎と呼ばれて恐れられましたが、最近は、ワクチンの開発や、医療機関での予防対策の確立などにより、発症率は少なくなってきました。

 C型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスよりも感染力が弱く血液でのみ感染します。
以前は、血液中の肝炎ウイルスが確認できなかったために、「輸血、血液製剤、注射」などが主な感染ルートになっていました。
しかし、現在では血液中のウイルスが確認できるようになったため、これらの医療行為による感染は防げるようになりました。
したがって、C型肝炎に新たに感染する機会は少なくなっています。
  エイズ(後天性免疫不全症候群)は、一九八一年六月にアメリカのロサンゼルスで確認されてから、その後も世界で増え続けています。
エイズもB型肝炎と同様に血液や排泄物が感染源となります。
発症すると現在は有効な治療法がないため恐れられていますが、感染力は弱いため十分な予防さえすれば感染の心配はありません。
また最近は、抗生剤の乱用による耐性菌の出現が問題になっています。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による院内感染がそのひとつです。
これは細菌感染後、抗生剤を必要期間服用しないことにより、死滅しなかった細菌の中に、抗生剤に対して耐性を持つ菌が現れ広がったものです。
通常は発病しない細菌ですが、体力が低下したりすると発病します。
抗生剤に抵抗力を持つため抗生剤の効果がなく厄介な病気です。
これらの感染症は、現在は感染経路がはっきりしているため、十分な予防を行えば感染の心配はありません。当院においても、ディスポーザブル鍼(使い捨て鍼)を使用し、その他の器具についてもオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)やエチレンオキサイドガス滅菌を行うことにより、感染に対し十分注意しておりますので、感染の心配はありません。

  鍼灸治療は、人間の免疫系に作用し、白血球数の増加と活性化が起こるといわれています。
  鍼灸治療は、病気の治療だけでなく、感染症を始めとする病気の予防にも効果 があるのです。
  しかし、エイズが新しく発見されたように、まだまだ新しい感染症が見つからない可能性はないのです。
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第10話 『鍼とお灸の考え方』   文責 眞野 仁

 今年もまたずいぶん風邪が流行りましたね。
かくいう私も風邪をひきそうになりましたが、早めに同僚に鍼・灸をしてもらって、ひどくならずに済みました。
  皆さんの中にも鍼灸で同じような経験をなさった方もいらっしゃったのでは、と思います。
ところでこの鍼灸と言う治療法は、「何を」「どう」しようとする治療法なのでしょうか。
鍼と灸はどう使い分けられているのでしょうか?
  今回はこんな少し本格的なお話を、特に中国鍼灸医学の考え方についてとり上げたいと思います。
(鍼灸の考え方はこれ以外にもいくつかあります)

 鍼灸の医学は、からだの中に、
(1)「気(元気)」と言うエネルギーが
(2)決められたところを
(3)決められた法則で、流れていると言う考えをもっています
あたかも大地に、水が(1)、川を(2)、上流から下流にむかって、途中の土地を潤しながら、遮られることなく流れるように(3)。
そして「病」とは、この(1)(2)(3)のいずれかに、なんらかの問題が起きている状態とみます。
鍼灸の医学はこの問題を、鍼と灸と言う道具でもって改善しようとする医学だとも言えるでしょう。

 それではこの鍼と灸を用いた問題の解決法にはどんなものがあるのでしょう?
☆まず(1)「気(元気)」と言うエネルギーの問題の場合。これには二つの問題が考えられます。

 (1)一つはエネルギー不足があります。
自然界で言えば、川の水が枯渇している場合と言えるでしょうか。
体の衰弱がひどく、絶対保有量のエネルギーが不足している場合には、当然体にいろいろな問題が現れます。
内臓の働きが悪い、疲れやすい、やる気がでない、等と言った症状のほかに、一種の防衛反応としての全身的な凝りが現れる場合があります。
この凝りによって高血圧や体が火照る等の、一見体力がありすぎるような症状がでることもあります。
このような場合は外部からエネルギーを輸入してやる必要があります。
川の水が足りなくなれば、雨が降ってくれなければならないのと似ています。
このような場合は断然、熱のエネルギーを体に与える灸のほうが適しています。

 (2)二つめに、外部から体にとって好ましくないエネルギーが入ってきてしまった場合。
これは中国医学では天候と関係したエネルギーとしています。
これには六種類あり、風、熱、湿、寒、燥、暑が上げられています。
例えば体に風を当てすぎて、体に入ってきてしまった場合に、それを「風の邪気が入ってしまった」と言い、その病気を「風邪」と言うのです。
この場合はその邪気を取り、抜き、去り、漏らす必要が在り、これには先ほどの(1)とは反対に断然、鍼の出番となります。
  自然界で言えば、川の水が汚染されてしまった状態で、これは汚染物質を取り除くことで正常に戻せるのと似ています。

☆それでは体に適度のエネルギーはあるが、それが(2)決められたところを(3)決められた法則で流れるはずが、そうならずに体の問題が起きている場合はどうするのでしょうか?
  具体的には生活習慣の関わった慢性的な疾患の多くが含まれますが、これを自然界で言えば、川が蛇行したり隣の川同士がつながったりして水の流れが変わってしまったり、一ヶ所岩などで塞き止められてしまい、そこから下の支流の水の流れや量 がおかしくなったような状態に似ています。
また、上流の田畑が水を取り入れすぎて、下流に十分な量の水が流れてこなくなってしまったような状態も考えられるでしょうか。
  このような場合には補修、改修などの灌漑工事が必要となるでしょう。鍼や灸の治療においても考え方は似ていて、(3)気を集め、(4)気をめぐらす/通 すことを目的に鍼と灸を用いることで体の正常化を図ります。
つまり、体のエネルギー(気:元気)の正常な分布及び流れを取り戻すわけです。
この(3)<気を集める>と(4)<気をめぐらす>は鍼でも灸でもOKですが、(4)に関しては鍼のほうがやや向いていると言えるでしょう。

 だいたい以上述べてきたのが鍼灸の治療の非常に重要な考え方となっています。
これらを体の状態に合わせ、一つ、または複数の組み合わせで体の改善を図っていきます。
これを「補瀉(ほしゃ:おぎない、また/そして、もらす)の理論」といいます。
実際の治療では、ある病気をもった体に対し、300以上ある経穴(ツボ)のどれを用いるか?という選択の理論が必要となりますが、それよりもまず、古来より「鍼灸の道は唯(た)だ補瀉にあり」とも言われるほど、この「補瀉」は重要視されてきました。

  上に述べてきたように、鍼と灸にはそれぞれ得意不得意の分野があるので、それぞれお互いが助け合うことでより効果 的に病を治すことができるようになっているのです。
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その10 『歯について』  文責 小高 靖

【歯の数】
  乳歯の数は20本で、永久歯の数は28〜32本です。人間は進化するに従って、歯の 数が少なくなるという仮説を唱える人がいます。それは縄文時代から江戸時代までの頭蓋 骨を調べてみると、歯の数が全部で32本揃っているのに対し、最近親知らずと通 称され る智歯(ちし)の生えない人が増えているからだそうです。

【お母さんの栄養が歯の良し悪しを一生左右する】
  永久歯のうち28本が生え揃うのは15歳位ですが、その「芽(め)」はお母さんのおな かにいる時に生えます。受胎後7週間目で乳歯の前歯が形成され始め、2ヶ月位 で胎児の 歯ぐきの下にはすべての乳歯の「芽」が揃います。そして3ヵ月半から4ヶ月目になると、この乳歯の芽の下になんと永久歯の芽が誕生してくるのです。永久歯の生えるのは15歳 位からだといって、気長に構えているわけにはいきません。赤ちゃんがおなかにいる間の お母さんの栄養のとり方いかんで、乳歯はおろか永久歯の良し悪しまで決まってくるので す。乳歯が歯ぐきから顔を出すのは、生後6ヶ月から8ヶ月ごろが普通です。早い赤ちゃ んでは4ヶ月位から出始めます。この頃、乳歯の下には永久歯が12本も生まれています。 ですから、乳歯が顔を出したら永久歯も本格的に成長を開始したのだと考えて、栄養の与 え方を工夫する必要があります。

【咬む力】
  咬む力は20歳代で1番強くなります。日本人の男性では約65.4kg、女性で46. 8kgほどになります。体重分ぐらいの重さが歯に加わる勘定です。歯は物を噛むため非 常に硬くなっています。ところが硬い歯どうしが隣り合わせになっているため、噛むたび ごとに歯と歯が互いに削りあってしまいます。歯がすり減れば歯と歯の間には当然隙間が あいてきます。この隙間を埋めるため歯は奥のほうから順次、前に傾きながら移動してき ます。この移動の距離は、一生でなんと1.4cmにもなるのです。

【東洋医学では・・・】
  唾液の中には口腔常在菌(こうくうじょうざいきん)という微生物が、4億4000万か ら55億もいます。食べ物のかすをためると、これらの菌に腐食され虫歯の原因になること はよく知られています。ですから歯は磨かなくてはなりませんが、それだけでは片手落ち の見方です。
  東洋医学では『腎は骨を主(つかさど)る』という言葉があります。これは腎機能と骨・歯〈骨余(こつよ)といわれる〉の関係を表した言葉です。植物にたとえると腎の働きは根っこ、骨は全体の幹・枝、歯は腎の華となります。華である歯を丈夫にするためには、虫がつかないよう外から掃除をしてあげるだけでなく、根っこの働きである腎機能を高めてあげる必要があるのです。歯を磨いているのに虫歯ができる、歯ぐきが浮く・痛むなどという方はいらっしゃいませんか?それは腎の働きが弱っていることも考えられます。
  はり・きゅう治療は内臓の働きを高めることができます。そのような方がおられましたらお気軽にご相談ください。

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Part9 『鼻血』 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

高血圧による鼻血は生命に危険がある

不安感を取り除き頭を高くして横にする

  鼻血といっても、かなりの出血をすることもあるので適切な処置を覚えたいものです。
  よく鼻血が出たとき、とっさにティッシュぺ−パ−や脱脂綿をつめる人がいるが、これは後で線維が残り、傷口がふさがらず、再出血の原因になるので絶対に避けてほしいものです。
  また、私が子供の頃、鼻血というとうなじをトントンたたいたものだが、これも効果 が無いばかりか、脳の真下をたたくことになるので時として危険です。
  鼻血が出たときは、まずイスに坐り、少しうつむき加減になり、鼻をつまみ口で息をしてください。同時に鼻のつけ根を冷たいタオルなどで冷やします。
  これで、止まらないなら、清潔なガ−ゼを鼻の穴につめ、もう一度鼻をつまんでください。これで鼻血が止まるはずです。
  鼻血の80%は、鼻の入り口に近い薄い粘膜(キ−エルバッハ部位)からの出血です。ここには、毛細血管が多く集まっているので指で傷つけたり、血圧の変動などちょっとした刺激で出血しやすくなっています。そのかわりに、正しい処置をすれば止血も簡単です。
  ただし気をつけたいのは、高血圧による鼻血です。この時は生命にもかかわるので、慎重な処置を必要とします。
  高血圧の出血は激しく続くので、びっくりしますが、まず心を落ち着かせることが肝心です。そして頭を高くして横になり、前述した止血をします。ここで気をつけなくてはいけないのは不安感が、出血をよけいにひどくするということです。
  もし定期的に飲まなければならない降圧剤の服用を忘れていたら、すぐ服用し、救急車の来るのを待ちましょう。
  この時、耳鼻科医のいる病院を確かめて行くと良いでしょう。電気メスを入れるなど、特別 な処置が必要だからです。病院にいっても耳鼻科医がいなければ、患者も不安になるし、治療も遅れてしまいます。尚、あまり頻繁に鼻血が出るようなら、鼻や血液の病気が疑われるのでぜひ検査を受けてみてください。  

 鼻血とはり・きゅうは結びつかないと思いますが、どうしても止まらない(1〜2時間)時などに鍼をするとピタリと止まることがあります。そもそも鼻血が出るときは身体がとても疲れているときです。近くに鍼灸院があったり、鍼治療を受けることが可能な状態でしたらぜひお試し下さい。
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 数値3.中性脂肪    清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 成人の死因もガン、脳溢血、肝硬変などさまざまだが、中年になったら注意しなければならないものに動脈硬化があります。
  これは血管が針金のように硬くなってしまう病気です。初めはコレステロ−ルだけが動脈硬化の犯人のように思われていましたが、科学の発達でいろいろな脂肪が分析されるようになった結果 、新たに中性脂肪という容疑者も浮かび上がってきました。現在ではコレステロ−ルと並んで中性脂肪が動脈効果 の重要な犯人とされています。
  この中性脂肪の正常値は、血液1デシリットル中に170ミリグラムです。しかしこの中性脂肪は食後2〜3時間で2〜3倍に増える。だから、中性脂肪値は空腹時に測らないと一定した数値が出てこないのです。
  したがって食後、すぐに測って、すごい数値が出たからといってあわてる必要はないのだが、空腹時の中性脂肪値が200を越したら動脈硬化に注意しなければなりません。
  中性脂肪は動物性脂肪以外にも糖分やアルコ−ルにも含まれています。したがって脂肪を取らないように注意していても、思いがけない食べ物に含まれていることがあるので非常にやっかいです。したがって脂肪という字に惑わされず、食事にはコレステロ−ル以上に気を配らなければなりません。
  最近はゆっくり食事をしている暇がないという人が多く、ファ−ストフ−ド・コンビニ等で済ませている人が多いようです。中性脂肪が特にたまりやすい人は常に外食をしている人。俗にいう「一品食い」の人はその傾向にあります。ラ−メン、カレ−ライス、かつ丼、天丼、ついでにお酒、赤ちょうちん通 いとなれば20代でも中性脂肪が400〜500はあっという間です。時間の不規則な仕事をしている人に見られがちです。
 身体の中で一番大切な血管を長持ちさせるためには、コレステロ−ルと同様、中性脂肪にも神経を配ることが必要でしょう。
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  知識(5)
『ウンコの形 健康診断の第2要素』   清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

◎便秘は下痢よりもこわい
 4回にわたりウンコの色について述べてきましたが、今回からウンコの形についてしばらくお話したいと思います。

 ウンコの形を最も大きく左右するのは、水分の量です。正常のウンコは全体の70〜80%が水です。80%を超えると下痢便になり、70%より少なくなると便秘と呼びます。
 では、便秘からお話しましょう。「便秘とはウンコが硬くなりすぎて出なくなることをいう。」とは、フランス十九世紀の作家フロ−べ−ルが少年時代に書いた文章の一節だそうです。この前半は正しいのですが、後半に誤りがあります。普通 便秘というと、何日もウンコが出ない状態だと考えます。しかし医学的にいうと、たとえウンコが毎日でても、正常以上に硬いと便秘とするのです。ひどくなると、ウサギの糞のようにコロコロになります。これは、水分が少ないために大腸の中でウンコがスム−ズに移動できず、少しずつ、断続的にしかもゆっくりと動いたことをものがたっています。ときには、このコロコロのウンコが肛門の出口にひっかかかって、後続のウンコが外に出るのをはばんでいることがあります。ちょうど錠剤のたくさん入ったビンを逆さまにすると、お互いにじゃましあって出てこないのに似ています。こうなると、ウンコは、ますます長いあいだ大腸の中に滞在して水分を奪われ、より硬くなります。このように、大腸内に長逗留しているウンコを宿便と言いますが、昔の人はなかなかうまい表現を使ったものです。大井川に橋がなかったころ、増水のために川を渡れず、宿場に滞在して天を仰いでいる旅人といったところでしょう。

 ところで、私は、ここで便秘の恐ろしさを訴えたいのです。私たちのまわりには、ウンコが一週間でなくても平気でいる人がめずらしくありません。日本人は、ちょっとでも下痢をすると大騒ぎをしますが、便秘には無関心です。これには理由があります。今でこそ日本も衛生設備が良くなり、伝染病の発生が文明国なみに減りましたが、二十年ほど前までは、未開社会なみに蔓延していました。昭和二十五年ごろ、東京・駒込の伝染病院では、毎日三、四人の腸チフス患者が死んでいきました。その頃、日本人の死亡原因の首位 を占めていたのは、乳幼児の下痢腸炎です。このような状態ですから、下痢に対してみんな大きな恐怖感を持ち、教育されてきました。この頃では、腸チフスはまったくといってよいほどなくなりましたし、乳幼児の下痢腸炎も減ってきました。それでも、下痢に対する恐怖感は根づよく残っています。赤痢や食中毒はあまり減っていませんから、もちろん警戒するのに越したことはありませんが、下痢に敏感になるあまり、便秘の恐ろしさを無視するのは大変困ったことです。私に言わせると、一日二回や三回の軟便よりも、便秘のほうがはるかに有害です。

 便秘の害は、新聞の下剤や成長在の広告に見られるような、肩がこる、腹がはる、頭が重い、じんましんができる、肌が荒れるなどの症状を引き起こすばかりではありません。血圧の高い人が便秘をすれば、ますます血圧が上がって、脳溢血の原因にもなります。余談になりますが、トイレでいきんだために脳溢血で倒れるのは、日本人の専売特許のように言われます。しかし『エミ−ル』や『民約論』の著者ジャン・ジャック・ルソ−もトイレで倒れて死にました。彼も高血圧症患者で、いきみがさらに血圧を上げ、脳の血管が破れてしまったのです。便秘が胆石症や腎う炎、膀胱炎などの誘因になることもありますし、子供が夏に三日くらい便秘すると、ひどいときには、高い熱を出し、引きつけを起こすことさえあるのです。 会員の皆さんは一日一回排便するように心がけていただきたいものです。

 次回は、便秘のいろいろな種類のお話をしたいと思います。
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(9)子供の発熱

 Q…最近よく子供が熱を出します。氷枕や氷のうを使うこともありますが正しい使い方がありましたら教えていただきたいのですが。主婦 A・Kさん

A…ご質問ありがとうございます。熱は身体の異常を教えてくれる最も分かり易いサインです。37度台なら休んでいれば下がることが多いですが、38度以上になりますとからだがほてり大人ならとてもつらくなります。39度以上の熱に小児ですと脳障害を起こす危険性も出てきますので、氷枕や氷のうを使用する必要性が出てくると思います。  その時は次のようなことに注意して見て下さい。

【まず穴が開いていないか確かめる】
 風邪などで熱が出たときに、気分をよくするために、氷のうや氷枕を利用します。
  こんなとき、ちょっとでも穴が開いていたらそれこそ大騒ぎになります。布団が水浸しになっては、気分をよくするはずの病人は寝ているどころではありません。
  当たり前のことのようですが、しっかりと使う前に切れているところ、穴のあいているところがないか、水を入れて確かめておきましょう。

【氷は角をとって入れる】
  氷は氷枕や氷のうの二分の一〜三分の一ぐらい入れるのが適当です。また、氷がゴツゴツして大きいと病人としては気持ちがいいものではありません。氷を砕くときは、親指大ぐらいにして、水道の水をかけ、角をとって使うようにいましょう。
 また、水は氷と同時に入れるようにして、量は氷枕にはコップ一杯、氷のうには少量 が適当です。

【空気は冷たさを半減する】
  水と氷を入れる時に、空気が入ってしまうと氷が早く溶けるので、そのうえ、氷枕や氷のうの上部に空気が集まり、冷たさが半減してしまいます。
  水と空気を入れたときに斜めにして、口もとまで水を押し上げ、空気を抜きます。そして氷の量 によっても違いますが、氷枕は三時間、氷のうは一時間半ぐらいたったら氷を取り替えるようにするのがよいでしょう。

【氷枕、氷のうの正しい当てかた】
  当て方は、氷のうの場合、直接肌に当てないようにしましょう。身体が冷えすぎると良くないので、必ず乾いたタオルを巻くようにするとよいです。  また、頭だけが当たるようにして、肩まであてないようにくれぐれも注意しましょう。なお、氷のうをのど、耳、歯などが痛んだときに冷湿布として使う場合は、三角巾に包んで患部に巻くとしっかり固定できます。

 氷枕や氷のうを使用しますと高熱の際は楽になりますが、熱は身体が冷えすぎたための反動によって生じたものですから、くれぐれも身体を冷やしすぎないようにしてご使用下さい。
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                     《清野鍼灸整骨院  院長 清野充典》




  壱の幕
『米』-世界が認める成人病退治の主食 清野鍼灸整骨院 院長 清野充典

 病気知らずの身体を作る一番のポイントは食生活にあります。今回より長寿国日本の食生活にスポットを当て、しばし皆様と考えてみたいと思います。

 今でこそ電気炊飯器のおかげで一日中暖かい飯が食べられますが、昔は違いました。江戸では朝、飯を炊いて、暖かいうちに食べ、昼はその残りの冷飯を、夜はお茶漬けを食べました。京都や大阪では昼に飯を炊いて、夜はお茶漬け食べて、翌朝、残りを朝粥にして食べました。
 このような日本人の米食文化が、一時批判されたこともありました。しかし、それでも日本人が米を主食とする文化を守り続けたのは正解でした。今では、日本人の米を主食とする食事が、健康を守る理想の食事として世界的に絶賛されているからです。
 1970年頃から、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの多発に苦しむアメリカは、食事の改善に取り組み始めました。彼らが改善目標に掲げたのは「炭水化物が多く、脂肪が少ない」食事でした。実はこれは日本人の食事にほぼ近いものなのです。
 エネルギーを供給するタンパク質、脂質(脂肪)、炭水化物などの栄養素別 構成比のことを「PFCエネルギー比」といいます。先進国の中で、このバランスが取れているのは日本だけです。アメリカはもちろん、フランス、ドイツ、イギリスも脂質が多いのです。なぜ日本人だけバランスが取れているかというと、米を中心にした食事をしているからです。

 現代の日本人の食事パターンは、主食、主菜、副菜から成り立っています。このパターンで主食となる米から炭水化物を取り、主菜となる魚、肉、大豆製品などからタンパク質を取り、さらに副菜となる野菜、海藻、小魚などからビタミン、ミネラルを補給しています。
 こうした食事のパターンは、日本独自のものです。欧米の食事は主菜と脂肪・砂糖中心の食事パターンであり、パンを食べるとしても付け足しのような存在です。こうした食事パターンでは脂質が多くなり、成人病の多発へとつながっていきます。米は先祖から引き継いだ、日本人の生命を守る貴重な財産なのです。

 日本食の理想的な食事は、五大栄養素をふくむ玄米に豆・麦を入れた主食と、ヨーグルトやカルシウム分の含まれる海草類、ビタミンの豊富な野菜類の副食です。
 なんといっても、最大拮抗生成を営んでいる植物食が最高の長寿健康食といえるでしょう。
 また、基礎体力を作る成人を過ぎたら、動物食、魚介類はあまりとらないほうが身体にかかる負担は少ないでしょう。
 特に玄米は、五大栄養素の糖質・脂質・タンパク質・無機質・ビタミン群を他の食物に比べて豊富に含んでいて、さらに線維素がたくさんあります。
 線維素を毎食食べることは、どれだけ胃腸のぜん動運動をはじめ、内臓筋を活発にするかわかりません。
 五大栄養素は、玄米以外の食品にもたくさん含有されているので、玄米を特別 に食べなくともかまいませんが、この玄米に含まれている線維素だけは、ほかの食品には含有されていないすばらしいものです。
 その証拠には、胸焼けもせず、ガスもこもらず、どんな頑固な便秘でもピタリと治ります。しかし、玄米の量 以上にほかの糖質分を飲食して、胃腸の筋肉を弛緩させてしまえば、玄米の効力は消されるので注意しましょう。
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