昨年(2011年)の12月に放映された、TBS系「がっちりマンデー」にて、
このコラムでも度々取り上げている「クリーニングの業界紙」、
全ドラが取材を受けていました

内容は、「各業界紙のイチオシニュース」のようなもので、
そこで取り上げられていたものが、テイクネットの「ルナマジック」です


このルナマジック、要は「血のシミヌキ剤」です

番組では、馬の血液で染めた小さな布を、ルナマジックの中に漬けて、
血のシミが落ちていく過程が紹介されていました

番組放映後、取材を受けた全ドラには、
「あのシミヌキ剤はどこで買えるのか?」という問い合わせが殺到したそうです


た・だ・し

こちらで説明していますが、血のシミは大抵、石鹸で落ちます
(いきなり強くゴシゴシこすると、衣類を傷めます。まずは弱めにやってみて下さい)
ルナマジックを使用するような、大量の血のシミが頻繁に付く環境というのは、
病院など一部の場所だけではないでしょうか


当社でも、一般には流通していない、
クリーニング店向けのシミヌキ剤を販売している会社から購入した、
シミヌキ剤がいくつかありますが、毎日フル活用しているか?というとそうでもありません

そういったシミヌキ剤に頼らずとも、少しついた程度のシミであるならば、
身の回りにある洗剤や石鹸など、一般家庭にあるようなもので大抵は対処可能です

クリーニング店のシミヌキ、というと、すごく専門的な事をしているように思われがちですが、
基本的には「このシミには、これ」という対処法を理解し、
シミヌキ用の機材を揃えているというだけで、
「一部の、特殊な技術を持った人しか出来ないシミヌキ」のようなものは殆どありません


ただ、「この素材に、このシミヌキ剤は、絶対にNG」という組み合わせがあるので、
いきなり漂白剤をかけてみるといった、「強めのシミヌキをいきなりやる」のは、
基本的にリスクが非常に高いです

こちらで、「日常生活の中で付きやすいシミと、その対処法」をまとめてあるので、
「しまった、シミつけちゃった!」という場合、
まずはいきなり自分で何も見ずに何とかしようとするよりは、
インターネット上の情報を集めて対処法を理解した上で、
それでもダメならクリーニング店に相談する、という事を習慣付けるようにして下さい

そういった、「情報を集めた上で、正しく対処する」ことが、
結果として、お気に入りの服を長く長く使える事につながります


参考として、当社で最も多い血のシミヌキ『ワイシャツのカミソリ負け』の、
シミヌキ前とシミヌキ後の画像を掲載します
使用したものは水と石鹸のみ。作業時間は約3分程度でした


まず水で十分に濡らした後に石鹸をこすりつけ、シミヌキ用のブラシで軽くこすります
それだけで大体の血のシミは取れていますが、血が直接付いた部分には残っています

そのため、動物の骨で出来たヘラで、血が残っている部分を、
一箇所ずつ「血のシミを繊維の中から外へ押し出すように」こすって、
最後にもう一度水で濡らしてブラシでこすって完了

写真のシャツは色柄物ですが、こういったシャツはあまり強くこすると、
その部分の繊維が弱って非常に目立つため、弱めに、何度もこすりました

第四十八回:ルナマジック

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

バックナンバーは、こちら


第四十八回は、テレビで取り上げられたシミヌキ剤について

シミヌキ後

シミヌキ前