クリーニング店は品物を受付した際、どこを見るか
基本的には品質表示です

その品物がドライクリーニングに適しているのか、それとも水洗いか、
もしくは両方とも可能な場合はどうするのか
各社によって対応は様々ですが、品質表示を参考にしている事は確かです

しかし、その品質表示の一部があまり意味を持たないものであれば・・・
という内容の記事がクリーニングの情報誌に掲載されており、
多くのクリーニング店を悩ませているであろう点がズバリ指摘されていました


水洗い可能のマーク(水の入ったおけ、もしくは洗濯ネットのようなマーク)に、
×がついていないという事は、基本的にはその品物を水洗いすると、
極端に縮んだり、色落ちしたりしない・・・と受け取ります

現在のJIS規格(洗濯表示が含まれる規格)では、水洗い表示の判定の場合、
家庭用洗濯機を使用して、実際に品物を洗った上で、
水洗い可能か不可能かという事を判定します

しかし、ドライクリーニングの表示の場合、ドライクリーニングの機械を使用するのではなく、
染色堅ろう度試験機に、完成製品ではなく生地の一部を入れて、
ドライクリーニングの洗剤に対する「色落ちの度合い」だけを試験するよう、定められています

つまり、生地の一部がドライクリーニングの洗剤に対して色落ちしなければ、
完成製品をドライクリーニングした場合に、
表地が剥がれても、縮んでも、風合いが変化しても、
「ドライクリーニング:○」という品質表示になります


市場に流通している製品の全てがこの考えに基づいているという事はなく、
むしろ逆で、当社で扱う品物のほぼ全ては、
「品質表示通りに洗えば問題ない」というものです
(この辺りは、日本製品の品質の良さが前提であり、外国ではまた状況が違います)

しかし、一度ドライクリーニングしただけで極端に縮んでしまうような品物であっても、
染色堅ろう度試験機の試験をクリアしていれば、
品質表示が間違っているという事ではありません
しかし、一度洗っただけで着れなくなってしまうような品物を、誰が買うのでしょうか


当社は品質表示を確認して洗い方を決めていますが、
基本的には洗う前に色落ちのテストを行い、問題がありそうな品物は、
お客様の確認をいただいてから洗っています
実際に、そうする事で防げた事故、というのものが数え切れない程あります


この品質表示規定は1968年に定められたものであり、それから実に40年あまり
衣類が、大きな変化を遂げない訳がありません

品質表示は確かに、洗い方を決める情報の一つとなります
しかし、鵜呑みにはしない事が重要です




第四十二回:ドライマークの真実

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第四十二回は、洗濯表示のドライマークについて