当社のビルは、
1階が受付および奥にドライクリーニング機器
2階に仕上げ機械および水洗機が配置されており、
基本的に仕上げ作業は全て2階で行っています

そして、クリーニングの仕上げ機械というものは、多くが蒸気を使用します
これは、「蒸気で伸ばす⇒熱で固定」、という作業を効率的に行うためです
そのため、機械から高温の蒸気が噴出し、夏場はかなりの暑さになります

1階受付の天井部分に冷房があるため、
1階・2階の各所に冷房があると思われがちですが、実は1階受付部分にしか冷房はありません
つまり、高温の蒸気が噴出す機械が何台も置いてある2階には、冷房がありません

代わりに、「スポットクーラー」と呼ばれる、
機械からつながった送風口から、風を送る装置のようなものが設置されています

真夏ともなると、2階の温度は35〜38℃程度まで上昇しますが、
何故2階にクーラーを設置しないかと言うと、
天井埋め込み式であれ、壁に設置する形であれ、そのための場所が無いからです


ただ、クーラーを設置すれば良いかと言うと、そうでもありません

以前、クリーニングの仕上げ機械を製造しているメーカーの工場見学へ伺った際、
その工場では、いくつかの場所にクーラーが設置されており、
夏場であったにもかかわらず、それほど暑さは感じませんでした

ただし問題点が一つ
クーラーの近くは寒く、遠くは調度良いのです

スーパーでは、人が一箇所に留まるレジ付近に、
天井埋め込み式の冷房を設置している所が多く見られますが、
外から来た買い物客は涼しくて調度良いと感じても、
その場所でずっとレジ打ちをしている従業員は寒い思いをしている、
という事は多いのではないでしょうか

そのため、当社においても「暑いから冷房を設置しよう」という訳にもいかず、
ずっとスポットクーラーに頼っています
これは、多くのクリーニング店の作業場にも言える事です


ただ、この蒸気
冬場には、適度な加湿効果があり、加湿器いらずの便利な機械とも言えます

冬場は風邪対策になるが、夏場は暑さの原因となる
蒸気との上手い付き合い方は、クリーニング店の永遠のテーマと言えるでしょう


第四十一回:夏場の作業場

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第四十一回は、夏場におけるクリーニングの作業場について