クリーニング豆知識

第五十回:+J

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第五十回は、ユニクロが販売していた「+J」ブランドについて


+J

ユニクロが展開していたブランドの一つです

当社では、日々大量の衣類を取り扱っていますが、
その中で
「値段の割に、品質の良いブランドは何?」と問われた場合、
「Maker's shirt鎌倉」と並んで、この「+J」を挙げます


この+J。正直な所、人目見て
「これはすごい!」と思う訳ではありません

しかし、手に取って良く観察して、
部分的なデザインや全体のシルエット、
および洗浄後の形状変化などを総合的に考えると

「価格と品質のバランスが、
非常に優れたブランドである」
と思います

しかし、現在+Jはユニクロに行っても売っていません
ユニクロは以前、+Jブランドを手がけた
ジル・サンダースとの契約が終了した事を正式にアナウンスし、
+Jブランドの終結を発表しました

しかし、このブランドには根強いファンが多く
「+Jの最後の新作」が発売された際には、
銀座店に行列が出来たそうです
ではなぜ、そのような人気のブランドを、ユニクロは終了させたのでしょうか?


このブランドを手がけたジル・サンダースは、
ミリ単位にまでこだわる、という話が、
流通新聞にて以前掲載されていましたが、
その事により商品の開発が遅れ

「秋物が秋に間に合わない」といった事が発生したそうです
冬に秋物衣類は全く売れない、という事はありませんが、
「売る機会」
を大きくロスしてしまう事になります


そのため、+Jに根強いファンが沢山いても、
ユニクロとしてはある程度見切りをつけざるを得なかった、
という記事が流通新聞に掲載されていました

ただし、ユニクロとしては
「ジル・サンダース流の服の作り方」という貴重なノウハウを得たため、
無駄や失敗とは言えないとの事

当社のお客様においても、+Jファンは少なからずいて、
スーツ上下とワイシャツ、全部が+Jという方もいます


Maker's shirt鎌倉にも言える事ですが、良く出来た衣類は、
繰り返し洗っても型崩れが起きず、特殊なボタンや装飾品も付いておらず

非常にシンプルな作りになっており、
正に
「買った時のまま、繰り返し洗って使える」ように出来ています

良い製品を、安定して供給するブランドが消えてしまうのは、
クリーニング業者としても寂しい限りですが、今後のユニクロの商品に、
+Jで培ったノウハウが生きて来る事でしょう