持ち込まれた衣類が、ドライクリーニングと水洗いの、どちらに適しているのかを、
クリーニング店はどこを見て判断しているのか。
基本的には、品質表示です
クリーニング店だからといって、
「洗いのプロ」みたいな職人さんが、手触りや見た目で洗い方を判断している訳ではなく、
基本的には品質表示に書いてある通りに処理しています
当社の場合、品質表示を見て
『ドライクリーニングのみ』の衣類はドライクリーニング
『水洗いのみ』の衣類は水洗い
『ドライクリーニング・水洗いの両方が可能』な衣類は、
基本的に水洗いをしていますが(その方が汗や埃汚れが良く落ちるため)、
生地の組成によっては、ドライクリーニングをする事もあります
しかし、品質表示の無い場合、どうするのか
クリーニング店側からすると、「どう洗えば良いのか分からない」となります
結果、洗う事により変色・脱色・縮みが発生するかもしれない、
という事をご了承の上で洗う事になります
以前から当社でも対応に苦慮しているのが、この「品質表示が無い」というケース
オーダーメイドなので元々ないものであったり、
肌に触れて気になるので自分で切った、など表示が無い理由は様々ですが、
こういった衣類は、クリーニング店側としても「どう扱えば良いのか」が分からないため、
洗う事により何が起こるか分からないという、非常に「怖い」存在です
クリーニング店に出す事はなく、自宅で洗っている衣類は問題ありませんが、
大事な衣類に関しては、シミヌキの際の処理方法の判断基準にもなるため、
品質表示は切り取らない方が良いでしょう
以下に、前述した3つの表示ごとの特徴を挙げておきます
◎ドライクリーニングのみ
⇒ドライクリーニングは油系の汚れを良く落とす反面、
水溶性の汚れには弱いので、食べこぼしや汗の付着には注意が必要です
特にシャツ系で選択表示がドライクリーニングのみの場合、
エリやソデの皮脂汚れが落ちにくく、気付いたら変色していた、という事も
◎水洗いのみ
⇒水洗いは汗や埃汚れを良く落とし、油系の汚れも付着してすぐであれば、
シミヌキして洗ってしまえば落ちやすい反面、
繰り返し水洗いをしていると、型崩れや縮みが発生する恐れがあります
◎ドライクリーニング・水洗いの両方が可能
⇒こういった衣類の中には、水洗いが可能と言いながら、
水に入れると明らかに色落ちや縮みが発生する衣類もあるので、注意が必要です
毛やポリエステル(あるいは毛・ポリエステル混合)のセーター・ズボンなどのほか、
多少の縮みや色落ちを気にしない、外国からの輸入品にも見られます
ドライクリーニングでの処理が比較的安全ではありますが、
ドライクリーニングのみの衣類と同様、食べこぼしや汗汚れが残留する恐れがあります
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
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第三十三回は、品質表示について