クリーニング豆知識

第三十六回:花粉を吸い込むウール

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第三十六回は、花粉とウールの関係について


花粉の季節がやってきました



マスクや飲む薬だけでなく、
鼻付近につけて花粉をブロックするようなものなど

薬局に行くと関連商品で溢れかえっています
しかし、意外と知られていないのが
「着ている服と花粉の関係」

クリーニングの業界紙において
「一般的に衣類に使用されている素材と、付着する花粉の量の関係」
についての記事がありました


それによると、綿に付着する花粉の量を
「100」とした場合、
絹:150、化繊:180に対して、

ウール:980
と素材によって大きな差があり、ウール(毛)は、
綿の実に10倍近い量の花粉が付着している事になります


この違いは、
ポリエステルなどの化学繊維は表面が比較的「すべすべ」しているのに対し、
ウールは花粉が「引っかかりやすい」構造をしているためです

ただ、スーツの素材はウールがほとんどであるため、
スーツを着て仕事をしている方にとって、
「ウール素材の衣類を着ない」という事は、
現実的には非常に難しいと思います

ただ、蓄積した花粉は、クリーニングする事で除去できます


そのため、花粉が飛散する季節においては、
衣類を定期的にクリーニングする事が、
花粉症対策の一つになります

仕事をしている方は、
「外出を控え、花粉の付着を防ぐ」という対処は難しいため

「付着した花粉を、家の中に持ち込まない」という事と、
「付着・蓄積した花粉を、定期的に除去する」
という事に気をつけると良いでしょう

まとめると、衣類やクリーニングという観点からは、
以下の3点が花粉対策として有効であると考えられます



@一番外側に着る衣類(コートなど)は、なるべくウール素材を避ける

A帰宅時には着ている衣類をよく手で払い、付着している花粉を落とす

B定期的にクリーニングに出す事で、付着・蓄積している花粉を除去する



ただ、この3つだけで完璧という事ではなく、
マスクや薬といった、基本的な対処法が大事である事に変わりはありません
そういった対策を用意した上で、以上の3点に気を付けると良いでしょう