クリーニング豆知識

第百五十七回:「消えるプリーツ」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百五十七回は、「プリーツスカートのヒダ」について




クリーニングの業界紙で、
「洗う、あるいはアイロンをあてると、
プリーツスカートのヒダが消える事がある」

と言う、注意喚起の記事が掲載されていました

プリーツスカートに関して、
事業者はどのようにクリーニングしているのか、

あるいは仕上げを行っているのか、
ほとんどの方は知らないと思われます


まずクリーニングに関してですが、
ひとくちにプリーツスカートと言っても

ドライクリーニングのみのもの、
水洗い可能なもの、両方出来るものと様々です

そして事業者では、基本的に表示通りに洗います


『基本的に』
と言う表現を用いたのは、
ドライクリーニング・水洗いの両方が可能な衣類の場合、
どちらで洗うかは事業者によって判断が分かれるからです


ただし、ドライクリーニングのみ、水洗いのみの場合、
表示通りにクリーニング店は洗っている、と考えて間違いありません



前述の記事では、ドライクリーニングを行った事により、
プリーツが部分的に消失する、
と言った事例が紹介されていました

ドライクリーニングは、
機械内部が50〜60度程度(あるいはそれ以上)になる工程があり、
その際に加わった熱でプリーツが消失したのでは、との事です

クリーニング店によって対応は異なりますが、
この場合
「衣類に原因があり、うちは表示通りに洗いました」と、
クリーニング店側は主張する事が出来ます


また、仕上げに関しては、
『プリーツ』と言ってもヒダの細さは様々であり、
しっかりアイロンで仕上げが出来るものや、
細すぎて部分的な仕上げしか出来ないものもあります

特に、スカートに限らずコーデュロイ生地の衣類は、
しっかりアイロンをあててしまうと跡が残るので、
蒸気をあてて手作業で伸ばす事もあります



プリーツスカートが好きでたくさん持っている、と言う場合
クリーニングや仕上げによって、ヒダが消失する、
あるいは薄くなると言うリスクがある、と言う事を忘れないで下さい

ヒダが比較的大きく、
毛や綿と言った素材の場合、大抵は大丈夫です

しかし、強く触っただけで跡が残る柔らかい生地や、
ヒダが非常に細かいスカートの場合は、注意が必要です


もし問題が発生した場合でも、
クリーニング店側は
「衣類に問題があります」と言い

製造・販売しているアパレル側は

「クリーニング店の処理に問題があります」
と言い
結局は消費者が泣き寝入り、と言うのはよくあるパターンです

大事にしている服の中で、
前述のような特徴のあるものはないか
一度チェックしてみて下さい