第十四回：天敵

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第十四回目は、夏場は特に注意が必要な、衣類の『天敵』について

クリーニング業に従事している者として、
もし「衣類にとっての天敵とは何か？」と問われたなら・・・
汗
と答えます

脱色を引き起こすカビや、
「身近にあるキケンなもの」シリーズでも紹介した

カビ取り剤やハミガキ粉も十分危険ではあるのですが・・・・
厄介なもの、という意味ではやはり汗ではないでしょうか

汗の厄介な特徴として、
「付着した時点では無色透明
しかし時間が経過すると、変色・脱色して出てくる」
という点が挙げられます

「今日、ちょっと汗をかいたかな？」と思って着ていた衣類を見ても、
付着してすぐならあまり目立ちません

そのため、「大丈夫かな？」と思ってそのままにしておいて、
しばらくして着ようと思って出してみたら
・・・・・カビだらけだった！という点が実に厄介です


また、更に厄介なのが、
「『汗をかかないようにする』という事が難しい」点にあります
夏場は特に、どう工夫しても汗をかいてしまいます

カビ取り剤やハミガキ粉は、
衣類に付かないよう注意すれば良いのですが、
「汗をかかない」という事は頑張りようがない

そのため、「衣類に付かないよう注意する」
・・・という事が難しい点において、汗は非常に厄介なものと言えます


対策としては、
「水洗い可能な衣類を選んで買う。
そして、汗をかいたらすぐ水洗い」
この１点につきます

夏場に着るような衣類でも、
実は水洗い出来ないものはたくさんあります（シャツ・ブラウスなど）
そのような衣類は、ドライクリーニングをするしかないのですが

ドライクリーニングで汗は落ちません
結果、汗が残留・蓄積し、気が付けば脱色・変色している、
というケースが、夏〜秋にかけて多く見られます


「汗をかく季節に着るものは、
なるべく水洗いできるもので統一」
・・・・という心掛けが、衣類を長持ちさせる秘訣と言えるでしょう

ただし、黒や紺など色合いの濃いものは、繰り返し洗っていると、
色がすぐに褪せてくるものがあります

そのため、夏場にそのような色合いの濃い衣類を着るという事は、
「すぐに色が褪せてくるリスクがある」ため、注意が必要です